王子エンジニアリングでは、経理からプラント現場まで、様々な部門で300の帳票を扱います。そのため、直感的に使え、管理がしやすい電子帳票システムを探していました。
王子製紙グループの総合エンジニアリング会社である王子エンジニアリング株式会社(以下:王子エンジニアリング)では、FileVolanteを利用して 電子帳票基盤(電子保管、FAX/メール、出力)を構築しました。その導入経緯や選定理由、製品の活用状況などについて、川上是好氏に詳しくお話を伺いしました。
王子エンジニアリングについて
- はじめに、王子エンジニアリングの会社概要と特徴を教えてください。
王子エンジニアリングは、プラントのコンサルティング、設計、建設から管理、保守までの一連の活動を展開している総合エンジニアリング会社です。製紙や環境関係のプラントに強く、最近では震災復興のお手伝いや再生可能エネルギー分野等、長年にわたり培ってきた総合的な技術やノウハウを活かし、お客様の多様なニーズにお応えしております。
電子帳票基盤を再構築した理由
- どのような理由で、従来あったシステムを構築し直されたのでしょうか。
従来使っていたシステムの保守期間が切れるのを機に、以下の課題を改善するため、再構築することにしました。
1.電子帳票の検索/処理スピードの低下
サーバーの老朽化もあり、帳票の検索処理スピードが低下していました。 決算時には1年分の帳票データを検索して必要なデータを抽出しますが、検索処理に時間がかかっていました。
2.取引先への帳票郵送
従来のシステムは社内で完結しており、2,000社以上ある取引先には、支払通知書はFAXし、請求書は郵送するなど紙と人手で運用していました。そのため、送信作業/印刷/封筒詰め/郵送にかなりの工数とコストを割いていました。
3.印刷コストの負担
プラント現場の担当者は、工事の損益をチェックするため工事台帳を頻繁に確認します。工事台帳は帳票数が多く、現場担当者が間違って印刷してしまうと、 あっというまに 1,000枚単位で印刷ミスが発生してしまいます。このようなミスを回避する仕組みが必要となっていました。
これらの課題を解決し、10年後でも使用に耐えうる将来を見据えた電子帳票基盤を作りたいと考えました
FileVolanteを選んだ理由
- 電子帳票基盤の構築にあたっては、どのような条件で製品を選びましたか。
前述の問題点を解決でき、以下の3つの条件を満たす製品を選定しました。
1.基幹システム(IBMi/AS400)と連携できること
システムの運用・管理負荷を軽減するため、基幹システムと容易に連携して使える製品であることが、まず第一の条件でした。
2.帳票を自由にハンドリングできること
様々な帳票を、簡単に電子保管、FAX/メール、出力などの用途に利用でき、かつ帳票の追加・変更にも柔軟に対応出来ることも必要でした。
パソコンに詳しくない担当者でも、簡単に使える製品を希望しました
(川上氏)
3.操作が煩雑でなく、簡単に利用できること
パソコンに詳しくないプラントの現場担当者でも簡単に扱えるように、直感的に使えるユーザーインターフェースを持っていることも必須条件でした。
複数のソリューション・製品を検討しましたが、なかなかこれらの選定条件をみたす製品が見つからず困っていたところ、偶然参加したセミナーで FileVolante、UT/400、@TOVASを組合せたソリューションに出会い、これならばと、一気に導入に向けて検討が進みました。
- 電子帳票システムは他の製品も選べたと思いますが、なぜFileVolanteだったのでしょうか。
FileVolanteには、電子帳票を管理・利用するにあたって必要な機能が、全て盛り込まれていたからです。
当社では、帳票数が約300と多く、またパソコンに詳しくないユーザーもいるので、誰にでも簡単に操作が出来るシステムを採用する必要がありました。その点、 FileVolanteは、帳票の属性によって階層化で管理できたり、登録日別で管理できたりと、初心者でも簡単に必要な帳票にたどり着けるよう工夫がされていました。また、複数帳票の串刺し検索もでき、検索速度も速く、検索結果をエクセルへ出力することでデータの2次加工を行うことも可能でした。管理のしやすさと利便性の高さがFileVolante採用の理由です。

FileVolanteは、属性によって階層化管理したり(左)、登録日別に分けて管理することができる(右)
導入・運用にあたって工夫した点
- 導入・運用において、工夫された点があれば、教えてください。
まずは、現場のユーザーに、ストレスなく電子帳票を利用してもらうことが重要でした。操作方法が変わってしまうと、それだけで戸惑ってしまい、使わなくなってしまうケースもありますので、事前の説明を丁寧に行いました。これらの努力の甲斐もあり、混乱もなく、当初の予定通りにカットオーバーすることがで きました。
システム構築に関わる設計、導入時の環境設定など、全て私1人で行いましたが、UT/400やFileVolanteの設定が簡単だったので、1人でもスムーズに導入できました。

「私1人でもスムーズな導入ができました」
(川上氏)
FileVolanteの活用状況
- 現在は、FileVolanteをどのように利用されていますか。
月次決算帳や工事台帳など、販売管理、管理会計、原価計算管理で毎日利用する帳票管理のために、FileVolanteを電子帳票基盤の一部として活用しています。
電子帳票基盤の概要、イメージ及び利用状況は以下の通りです。

基幹システムであるIBMiのスプールデータを、UT/400でPDF変換し、それをFileVolanteに自動転送します。ユーザーは、ビューアを使い必要な帳票の検索・抽出を行います。
内容 | 備考 | |
---|---|---|
対象帳票 | 売管理、管理会計、原価計算管理に関する帳票 | 月次決算関係帳票、工事台帳など) |
帳票数 | 約300 | - |
ユーザー数 | 150ユーザー | スタッフ部門担当者 プラント現場担当者 |
導入効果
- 電子帳票基盤を構築して、どのような効果がありましたか。
1.電子帳票の検索/処理スピードが向上
FileVolanteでは、複数の大量帳票からでも素早く該当した帳票を検索し、表示することができるようになりました。これにより、仕事のスピードが上がり、業務改善が図れました。
2.運用がシンプルになった
基幹システムのスプールデータは、UT/400を介してPDFファイルにすることで、電子保管、FAX/メール、出力などと連携できるようになりました。結果として運用がシンプルなものとなり、システムの安定性・信頼性も向上しました。現在は、私ひとりで 運用・管理業務を行っていますが、ほとんどトラブルはありません。
JFEシステムズのサポート
- JFEシステムズのサポート面の対応は、いかがでしたか。
リリース当初、2カ月程度、JFEシステムズのサポートデスクとは密にやり取りをしました。データ変換できない文字を使っていたことなどが原因で、変換エラーが多発したからです。毎日、2・3件の電話をかけていたため、実は自分でもどのようなことについて問い合わせをしたのか忘れてしまうこともありました。
しかし、サポートデスクは、私が忘れてしまっている内容も含めた全ての問い合わせをキチンと管理していて、重要度に応じてフレキシブルに優先順位の提案をしてくれました。おかげで、緊急性の高い問い合わせから順に解決でき、非常に助かりました。
今後の取組みとJFEシステムズへの期待
- 今後の取組みについて、教えて下さい。
見積書、工事進捗管理表、工事番号管理台帳など事業部が独自仕様で管理しているExcelファイルの標準化と電子化を進めていきたいと考えています。
また、王子エンジニアリングの子会社4社にもFileVolanteを含めた電子帳票基盤を展開していく予定です。2012年中には、全社ともカットオーバーしたいと考えています。
- 今後の期待について、教えて下さい。
王子エンジニアリングでは、今後も電子帳票化を進め、業務改善に取組む予定です。FileVolanteは、設定が細かくできるので、さらに使いこなして、社内の様々なニーズに応えるようにしたいと考えています。
JFEシステムズには、世の中の流れに遅れることなく、iPadやスマートフォンなどのスマートデバイスで利用できる機能を搭載するなど、Filevolanteをより使いやすいものにしてもらえることを期待しています。
今後ともよろしくお願いいたします。
- お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。