株式会社リコー株式会社リコー 様

取材日:2011年10月

FiBridgeII (ファイブリッジ ツー)
導入事例

業種
電気機器
キーワード
  • 電子帳票
株式会社リコー

この10年間に決算の早期化、環境保全、情報漏えい対策など次々に課題が浮上しましたが、FiBridgeIIを使っているだけで、どの問題も解決できました。

株式会社リコー(以下、リコー)は、デジタル複合機、プリンター、デジタルカメラなどの開発・生産・販売・サービス、リサイクル事業を展開するOA機器メーカーです。リコーは、1997年にコスト削減や業務効率化を目的として帳票電子化に着手し、それ以来10年以上FiBridgeIIを運用されてきました。
その過程で生じた課題や成果について、リコーIT/S本部 IT/S技術センター サーバーグループ リーダー 中俣幸二氏、スペシャリスト 藤原稔氏にお話を伺いました。

リコーおよびIT/S本部について

- リコーおよびIT/S本部の業務内容について教えて下さい。

リコーは、デジタル複合機やプリンター・デジタルカメラなどの製造・販売を行うOA機器メーカーです。リコーは古くから環境問題に取り組んでおり、会社の利益創出だけでなく環境保全も重視し、リサイクル事業にも積極的に取り組んでいます。
また、IT/S本部は、リコーグループ全体の業績や品質を向上することを目的として、グループ全体の業務改革を推進する部門です。

FiBridgeIIの利用状況

- 現在、どのようにFiBridgeIIを利用されていますか。

リコーでは、1977年に導入して以来、10年以上帳票の電子化にFiBridgeIIを活用しています。現在は業務に関する帳票をFiBridgeIIで電子化しています。

  • 販売、物流、サービス保守(汎用機)…ユーザ数 730人
  • 生産系システム(AS/400)…ユーザ数 280人
  • 会計、サービス保守(オープン系システム※)…ユーザ数 4,100人

※サービス保守については、現在、汎用機からオープン系に移行中。

- 10年以上利用されて、利用状況はどのように変化しましたか。

1997年の導入当時は汎用機がメインの時代でしたが、現在はオープン系へと変わってきました。それに伴い、IT/S本部が扱う帳票類も汎用機からオープン系に移行しつつあります。当時は大部分だった汎用機帳票の利用ユーザも、現在は全体の約14%になりました。
帳票の電子化は確実に進み、電子帳票数は、1997年に43万1,000枚でしたが、2010年には271万6,700枚と6.3倍に増えました。
リコーとグループ各社の経理業務を横断的に行うため、2004年にグループ共通経理システム「CUBIC(キュービック)」をOracleベースで構築しました。こちらの帳票もFiBridgeIIで電子化しています

導入の目的 コスト削減と業務改善

- 導入当時はどのような目的で、帳票の電子化を図られたのでしょうか。

導入時は、コスト削減や業務改善のために、経理関係の帳票を電子化することが目的でした。
リコーでは、継続的に業務改善活動を進めており、導入当時は、改善活動テーマとして「帳票の出力・搬送及び各拠点でのファイリングのコスト削減と業務負荷の軽減」が取り上げられていました。リコーは環境保全に力を入れており、業務計画を立てる際には、業務改善・利益創出だけでなく環境保全にも配慮した内容にする必要があります。
当時の帳票の処理は、IT/S本部がホストコンピュータに入っていた経理関係の帳票を印刷し、それを各支店に配送するというプロセスをたどっていました。これらの帳票を電子化することで、出力やファイリングに伴うコストと業務負荷が圧縮・軽減できる上、紙の削減は環境保全にもつながるため、FiBridgeIIの導入に踏み切りました。

中俣氏

当初は、経理関係の帳票電子化によるコスト削減を目的として導入しました。(中俣氏)

製品選定の4つのポイント

- 帳票の電子化製品の選定はどのような条件で行われたのでしょうか。

以下の4つの条件で比較検討しました。

1.帳票サーバを1拠点で集中管理できること
管理コストを抑えるためにも、電子化した帳票は、汎用機と同じく1拠点で集中管理するつもりでした。複数拠点に分散してしまうと、別の業務担当者にも帳票を管理してもらう必要が生じ、業務の効率化、負荷の低減という目的にそぐわない事態になってしまうからです。

2.導入負荷を抑えられること
できるだけスムーズに導入し、電子化を進めるためにも、導入負荷を抑えられることを条件に入れました。
具体的には、

  1. インストールが簡単であること
  2. アプリケーション側の設定工数が抑えられること
  3. ユーザ側の設定が不要であること
  4. 市販の仕分けソフトと連携できること

といった条件を満たす製品を選定したいと考えていました。

3.帳票の表示や検索といった動作のレスポンスが良いこと
帳票を開くまでのタイムラグがあったり、大量の帳票の検索に時間がかかっては、業務改善につながりません。そこで操作のスピード感を求めました。

4.低コストであること
システム構築のコストだけでなく、システム化にあたって必要なサーバなどのハードウェアも含めたコストを、できるだけ低く抑えたいと考えていました。

これらの4つの条件で、合計4製品を比較検討しました。 その結果、相対的に要件を最も満たしていたFiBridgeIIを導入することにしました。

約3,000万円のコスト削減に成功

- 導入当初の目的は果たせましたか

トータルで、約3,000万円のコスト削減に成功しました。印刷コストや運送費、開封や保管・処分といった事務処理コストを全て計算すると、書類1枚当たり9円のコストを削減できたと考えています。
また、電子化することで、帳票の利用頻度が見える化できる為、利用していない帳票は一部の例外を除いて削減するようにしています。その結果、印刷数だけでなく帳票自体の数も減りました。導入前の1996年の総帳票数(総印刷数)は886万6,000枚でしたが、2010年には帳票数281万3,957枚、印刷枚数24万7,216枚に減りました。帳票数は約69%、印刷数は約97%削減できた計算になります。
電子化により、使いたいときに目的の帳票をすぐに探せるようになり、これも業務改善につながりました。帳票の印刷・仕分け・発送などを行っていたオペレーターは導入当時25名いましたが、現在は13名になりました。2011年の下半期にはさらに1名減り、12名になる予定です。

- 1997年当時は、まだ電子帳票についての認知度は低かったと思います。
どのような点に苦労されましたか。

導入時には、電子帳票を利用してもらうこと自体に苦労しました。それまでと全く違った形式になるので、普及活動が必要になるだろうと予想はしていました。IT/S本部から出向いて、各地で研修を行ったり、IT/S技術センターから帳票を出す際に、紙で出すときは課金し、電子帳票の場合は無料とするなどの工夫をしました。そうすることで、徐々に電子帳票への理解を得ることができました。

時代を先取りして問題を解決

- 10年以上お使いになって、IT/S本部では、どのような課題の変化がありましたか。

特に直面する課題は変わっていません。確かに世の中では、時代時代によって、スポットが当たる課題は変わっていきます。リコーでも、導入当初はコスト削減・業務改善が取り上げられましたが、次いで決算の早期化、環境問題、情報漏えい対策と課題は変わっていきました。経営層は時代の流れに敏感ですので、それらの課題に対して対応するように指示を出してきます。
しかし、IT/S本部では特別な対応をする必要はありませんでした。FiBridgeIIを普通に使っているだけで、それらの課題は既に克服できていたからです。対応の準備は進んでいるのかと聞かれて、既に対応ができていますということが3度ありました。導入時に評価され、特別な対応をすることなく、その後、3度も評価されました。1粒で3度も4度もおいしいのがFiBridgeIIです。
今後もスポットが当たる課題は変わってくると思いますが、特別に何かを意識することなく普通に取り組んでいけば、世の中でクローズアップされるようになった時点では既に対策できているだろうと考えています。

藤原氏

決算の早期化、環境保全、情報漏えい対策など様々な課題が浮上しましたが、FiBridgeIIを普通に使っているだけで自然に解決できました。(藤原氏)

- それぞれの課題について、お聞きします。決算の早期化とはどのような問題ですか。

情報化が進むにつれ、決算関係の資料を早期に公開することが、市場の要請として強まり、優先的に取り組む必要がありました。リコーは、いつでもどこでも必要な情報にアクセスできるための共通基盤を確立し、さらに電子帳票により、リコー内部での情報の伝達が早くなりました。その結果、決算書類の修正サイクルも短くなり、決算確定までの時間を短縮できました。

- 環境問題については、いかがでしょうか。

環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14000シリーズを取得するにあたり、リコー内部で環境問題についての取り組みが大きくクローズアップされることになりました。各部門でどのような環境問題についての取り組みがなされているかを報告する必要が生じました。IT/S本部では、FiBridgeIIを活用し、紙の使用量を削減していましたので、特別な取り組みは必要ありませんでした。

- 情報漏えいについては、いかがでしょうか。

ISMS認証取得の際に、情報漏えい対策がクローズアップされました。ちょうど個人情報保護法が制定され、情報漏えいについて世間の関心が高まってきていた頃です。それまでは、帳簿類などを宅急便などで送ることのリスクについて誰も考慮していませんでしたが、そのリスクなども考慮してリスク管理を行うことが必要になりました。この際もFiBridgeIIを使うことで、紛失や盗難のおそれもなく、自然と情報漏えい対策も行うことができました。

- 長期間運用して、初めて気づいたことは何かありますか。

10年経過して、法定の保管期間も過ぎ、不要な帳票が出てきました。FiBridgeIIの帳票についてはデータサイズが小さいこともあり、導入当初は全て保存しておけばよいと考えていました。そのため、削除処理については考慮しておらず、保存日数の設定をしていませんでした。
なぜなら、古い帳票でもまれに参照されることがあるため、一律に削除してしまうと業務に支障がでる可能性もあると考えていたからです。そのため、実際に削除しようとすると、削除対象ファイルの選別・調整に時間がかかりました。
実際に削除する際にも、本当に削除できるのかと思うほどの大量のファイルがあり、初めてデリート処理するときなどは、負荷がかかりすぎてしまった程です。今は、1年に1度定期的に削除するスケジュールを組み、1年単位でフルバックアップを取って帳票データを保存し、必要に応じて復元できるようにしています。
また、10年もたつと担当者は代っているので、引き継ぎをした人が全容を把握するのが困難になります。適切に長期保管するために、必要な運用方法を定めるのが今後の課題だと考えています。

FiBridgeIIの評価

- 10年以上、利用されてきた感想をお聞かせ下さい。

一言で言うなら、おとなしいソフトです。10年使ってこれといったトラブルもなく、手間がかかりません。担当者としては非常に楽です。一般的なシステムの場合は、汎用機からオープン系に移行するのは一苦労ですが、FiBridgeIIは特に何の苦労もせず、そのまま移行できました。リコーでは全ての帳票がFiBridgeIIに保存される仕組みを構築していますので、帳票作成元のシステムが更改され、汎用機からオープン系システムに代わっても、使い勝手が変わることなく、利用者は帳票を使い続けることができます。
問題があるとすれば、バージョンアップがしづらいということです。これまで安定して動いていたため、バージョンアップの必要性を認めてもらいにくい状況にあります。システム担当者として気にかかるところではありますが、ぜいたくな悩みなのかもしれません。

今後の課題とJFEシステムズへの期待

- 今後の取り組みの方向性とJFEシステムズへの要望をお聞かせください。

現在、当社における電子帳票システムの運用は成熟期に入っており、今後は、次の2つのニーズがあると考えています。
1つは、FiBridgeIIで帳票データを簡易的なBIツールのように活用できないかということです。これができるようになると、より利用の幅が広がるだろうと思います。
もう1つは、帳票システム全体の見直しによる、更なるコスト削減です。例えば、仮想化技術の利用によるサーバ台数の削減や、どのようなシステムの帳票にも対応できるように帳票の取り込み部分を共通化することなどが挙げられます。当社ではこのように帳票システム全体のコスト削減に取り組み始めています。
その他、グループ各社にも電子帳票の利用が行き渡った現在では、監査のコスト削減にも有用なツールが欲しいと考えています。
例えば、SOX法ではデータの改ざんをできなくするなど、システムとしての信頼性を求められます。FiBridgeIIを活用して、各システムの操作履歴などSOX法の監査に使えるレポートを簡単に作成できるようになると便利ですね。
JFEシステムズには、そのようなシステムも提供してもらえるとうれしいですね。期待しています。

- お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

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