システム更改にあたって、データ配信のフロントシステムを構築しました。情報の格納場所を一本化することで業務効率がアップし、ユーザーの評判も上々です。
北陸3県及び北海道に主要地盤を置き、全国に約200店舗を持つトップクラスの地方銀行である北陸銀行。共同利用システム(MEJAR)への移行に伴い、データ配信システムを構築されました。
その経緯と効果について、北陸銀行 総合事務部 副部長 寺田光紀氏(写真右)、同部 マネージャー 富永英司氏(写真左)、システム更改に携わった北銀ソフトウエア株式会社 開発部 グループ長 堀洋人氏(写真中央右)、同部 桶谷早智氏(写真中央左)に詳しくお話を伺いました。
北陸銀行について
- 北陸銀行について教えてください。
北陸銀行は、北陸3県(富山県・石川県・福井県)と北海道を主な地盤とする地方銀行です。明治期の北海道移住者には富山県出身者が多かったことから、北海道にも営業地盤を持つのが特長です。国内では東京、大阪、名古屋などの都市圏や海外でもニューヨーク、ロンドン、上海など広域店舗網の展開を図っています。
2003年に北海道銀行と経営統合して『ほくほくフィナンシャルグループ』を設立し、グループ全体として横浜銀行に次ぐ地銀2位の規模を持つようになりました(設立当時)。北陸銀行はシステム投資には以前から積極的に取り組んでおり、2011年には横浜銀行、北海道銀行と勘定系システムの共同化を実現しました。
全帳票を電子化しつつ、緊急性の高い帳票は印刷
- FiBridgeIIはどのように活用されていますか。
現在、北陸銀行のコンピュータセンターにFiBridgeIIサーバを置き、ネットワークを介して本部及び全営業店の端末約3,000台で利用できるようにしています。
今回のシステム更改にあたって、全ての帳票を電子化しましたが、集中部門(為替の受付などの処理)向けの帳票は消し込み業務をする必要があるため、電子帳票として保存するのと並行してコンピュータセンターの大型プリンタで印刷したものをユーザーに提供しています。
また、営業店で使うリスク管理系の帳票などは必ず目を通してもらえるように、電子化された帳票をプリンタ管理ソフトと連携し、朝一番に営業店のネットワークプリンタで自動印刷される仕組みにしています。
これらの仕組みは、2011年のサーバ切替え、勘定系システムの共同化プロジェクトと同時に再構築したものです。
- システムを更改されたときに重視された事項はありましたでしょうか。
従来もFiBridgeIIを使った電子帳票システムを導入(2003年)していましたが、一部の帳票で利用されているに過ぎませんでした。そのため、対象帳票数も36と少なく、その他の帳票は大型プリンタで印刷して、本部・全営業店に配送していました。
よって、電子化比率は数%に留まっており、印刷、配送、保管に掛かるコストはかなりのものでした。
また、帳票とは別に、各営業店で利用するデータを、ホストで処理して各営業店のファイルサーバに配信していました。そのため、利用者からは「紙帳票」、「電子帳票」、「データ」それぞれの入り口が分散してしまい、使いづらい環境となっていました。
そこで、以下の2点を目標として電子帳票システムも勘定系システム共同化とあわせて更改することにしました。
「開発コストを抑えつつ、全ての帳票を電子化できました。」寺田氏
1.全帳票の電子化
事務帳票やチェックリストはもちろん、お客様に送付する帳票の控えなどを含めた全帳票の電子化を推進しました。更改前は「紙帳票」か「電子帳票」のどちらかとしていましたが、更改後は「全帳票を電子化して、紙が必要な場合は印刷する」方針に切り替えました。
2.電子帳票とデータ配信の統合
今回の仕組みとは別に、元々ホストから各営業店のファイルサーバを経由して、CSVデータを配信するシステムを構築していました。このシステムをFiBridgeIIの再構築のなかで統合的に管理できればと考えていました。
そのために更改にあたっては、オプションの「DataDelivery」や「汎用データダウンロード」も導入しました。
FiBridgeII選定の理由
- 更改の際に、FiBridgeIIを選ばれた理由は何だったのでしょうか。
更改にあたっては、複数の電子帳票システムを比較しましたが、以下の点からFiBridgeIIを継続利用することにしました。
1.安定性
2003年からFiBridgeIIを使っていましたが、障害の発生もなく安定稼働していました。その安定性は非常に魅力でした。
2.過去データの継承(移行の容易性)
別システムを導入した場合は、既に電子化していた帳票を含めイチから移行する必要が生じます。ハードウェアを含めた大規模なシステム更改だったので、できるだけ余分なコストは抑えたいと考えていました。
「ユーザーが必要な形式でデータを自由に加工・利用できるようになりました。」
富永氏
3.JFEシステムズの対応
当時のFiBridgeIIではまだ実現されていなかった機能に関して、JFEシステムズの担当者にユーザ要望として伝えたところ、次バージョンで機能追加されました。JFEシステムズは改善意識が強いので、長く付き合っていけると判断しました。
結果的には、「選ばない理由がなかった」ということです。
導入にあたって
- 全ての帳票を電子化することに対して、反対などはありませんでしたか。
電子化については、利用部門から紙帳票の方が使いやすいという反対意見などがでることを予想していました。
そこで、利用部門には、帳票は全て電子帳票システムに格納することに加えて、必要に応じてセンター印刷や営業店・本部ネットワークプリンタでの自動印刷に切り替えられることを説明しました。それと同時に、電子帳票のみに還元している帳票も、翌日には印刷、配布できるインフラを整備して、依頼があった場合には対応できるようにして、電子帳票化を推進しました。
また、「汎用データダウンロード」を活用し、コンピュータセンターで作成している帳票に加え、ユーザーで作成したオフィス文書(エクセル資料など)をFiBridgeIIサーバに登録し、全ての帳票・データを電子帳票システムに格納することで、営業店の利便性を向上できると考えています。
「今後はユーザーからもデータを配信できる仕組みにしていきたいと考えています。」堀氏
- 今回のシステム更改で、「DataDelivery」を導入された理由は何でしょうか。
従来のデータ配信の仕組みは、ホストから各営業店のファイルサーバを経由して、営業店の活動に役立てるように、様々な切り口の実績データをCSV形式で配信していました。しかし、どのデータが活用されており、どのデータが活用されていないのかまではこちらでは把握できませんでした。
また、CSVデータのため、内容を確認するためにはファイルをその都度開く必要があり、業務の効率化を妨げていました。さらに、先程お話ししたデータの収納場所が異なっているという問題もありました。
導入効果
- 実際、導入効果はいかがでしょうか。
1.業務効率の向上
従来であれば、お客様から問合せを受けた場合には、必要な帳票を探すために書庫に行き、1枚1枚指でめくりながら探していましたが、今はパソコン上ですぐに検索、対応できています。
また、「帳票」と「データ」を全てFiBridgeIIで統合的に管理することで、探す手間が減りました。さらに、「DataDelivery」は、条件検索が可能で、データダウンロードも簡単なため、ユーザーが欲しい形でデータを利用することができるようになり、現場の評判も上々です。
2.開発期間と工数削減
「DataDelivery」を導入することで帳票開発であれば必要となるオーバーレイや帳票定義の作成が不要となり、開発期間の短縮と工数削減を実現できました。現在では、約300種類を「DataDelivery」に格納していますが、本当に助かっています。
また、閲覧やダウンロード履歴情報も確認できるのでユーザー側の利用状況も把握できます。この情報から不要な帳票が明確になるので、今後の帳票の廃止・整理が効率的にできるようになりました。
3.帳票運用に関わるコスト削減
全ての帳票を電子化することで、帳票の印刷、仕分け、箱詰め、配送という一連の作業や帳票保管スペースが不要になり、それにかかるコストを削減することができました。
今後の予定と期待
- 今後のご予定についてお聞かせください。
今回、FiBridgeIIや「DataDelivery」を使ったデータ配信システムを構築したことで、「帳票」と「データ」のフロントシステムを一本化することができました。ですが、本部から各営業店へ送信されるデータには、帳票データ以外に電子メールや通達などもあります。ユーザビリティを考えると、配信されるデータは1つのフロントシステムで閲覧できるようにするのが好ましいと考えています。今後は、必要な情報は「ここさえ見ればよい」というポータル形式にまとめて行きたいと考えています。
- JFEシステムズとFiBridgeIIに対する今後の期待について教えて下さい。
今回のシステムでは、従来はコンピュータセンターから一方的にデータを送信するだけでしたが、「汎用データダウンロード」を活用し、ユーザーが作成したデータを本部のユーザーが自ら営業的に配信できるような仕組みを構築しました。ただ、ユーザー側が登録する機能については、インターフェースをわかりやすくしてもらえれば、より使い道が増えると思います。
「誰でも簡単に、必要な情報にたどり着けるようになりました。」桶谷氏
今回、FiBridgeIIや「DataDelivery」を使ったデータ配信システムを構築したことで、「帳票」と「データ」のフロントシステムを一本化することができました。ですが、本部から各営業店へ送信されるデータには、帳票データ以外に電子メールや通達などもあります。ユーザビリティを考えると、配信されるデータは1つのフロントシステムで閲覧できるようにするのが好ましいと考えています。今後は、必要な情報は「ここさえ見ればよい」というポータル形式にまとめて行きたいと考えています。
- JFEシステムズとFiBridgeIIに対する今後の期待について教えて下さい。
今回のシステムでは、従来はコンピュータセンターから一方的にデータを送信するだけでしたが、「汎用データダウンロード」を活用し、ユーザーが作成したデータを本部のユーザーが自ら営業的に配信できるような仕組みを構築しました。ただ、ユーザー側が登録する機能については、インターフェースをわかりやすくしてもらえれば、より使い道が増えると思います。
「誰でも簡単に、必要な情報にたどり着けるようになりました。」桶谷氏
また、現状、帳票の利用状況を分析するにはログの解析が必要ですが、もっと簡単に参照状況が簡単に分かるようになれば、より活用しやすくなると思います。
総合事務部としては、今後もお客様が安心してご利用いただける金融機関であり続けられるよう、システム面からバックアップしていく所存です。JFEシステムズには、製品とサポート両面からバックアップしてもらえることを希望します。今後ともよろしくお願いいたします。
- お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。