株式会社百五銀行株式会社百五銀行 様

取材日:2007年08月

FileVolante(ファイルボランチ)
導入事例

業種
銀行
キーワード
  • 電子帳票
株式会社百五銀行

ファイルボランチは情報セキュリティを基盤とした業務改革に大きな効果をもたらしました。その取り組みの内容とは…。

1878年の創業以来、三重県を代表する金融機関として堅実な経営基盤をもつ百五銀行。
他業種からの参入など、金融機関を取り巻く環境が大きく変革するなか、オープン技術を全面採用した日本ユニシス社提供『Bank Vision(バンクビジョン)』による、勘定系を含む基幹業務システムを構築。
従来より定評のある既存のサービス提供力をベースに金融商品の開発スピードの向上、システム運用コストの削減、周辺システムとの連携など、革新の姿勢を見せる。
そんな中、百五銀行が「Bank Vision」構想の一環として製品の開発企画に携わった、オープン系電子帳票システム『File Volante(ファイル ボランチ)』。 この製品に織り込まれた「特長」とは…。
システム統括部 システム管理課 課長 杉浦 浩氏(写真左)、事務統括部 事務統括課 課長代理 岸田 秀幸氏(写真中)、システム統括部 システム開発課 課長代理 門前 孝明氏(写真右)に詳しく聞いた。

本店所在地:三重県津市岩田21番27号
ホームページ:http://www.hyakugo.co.jp

製品の選定 ~百五銀行が求めたもの~

選定は、「誰もが納得できる高機能」と「導入実績」を重視

- 電子帳票システムの導入に到った経緯を教えてください。

基幹システムの刷新(さっしん)に伴う既存帳票システムの見直しが、検討を開始したきっかけです。

銀行業務を円滑に行う上で帳票システムは重要な機能の一つですから、基幹業務が新システムによって効率化されるのに併せて、帳票業務も適切なシステム化が必要だと考えました。

門前氏

製品の選定では誰もが納得できる高機能と導入実績を重視しました。 (門前氏)

- では、電子帳票システム開発ベンダーは、どのように選定されたのでしょうか?

「Bank Vision」の主幹企業である日本ユニシス社の提案でJFEシステムズ社、他一社が対象候補に挙がりました。ベンダー選定のポイントは以下の3つでしたが、特に難航することなくスムーズに決定しました。

  1. (納得の高機能)電子帳票機能の高機能・高品質
  2. (圧倒的な実績)電子帳票市場での数々の実績
  3. (信頼の技術力)企業としての高い技術力・提案力

- では、次に「選定の過程」を詳しくお聞かせください。

選定で重視したことは、「Bank Vision」構想は非常に大きな枠組みであり、オープン系技術がそれほど浸透していない業界(=銀行業界)での取り組みでもありましたから、何より「誰の目から見ても十分に納得できる高機能」であることと「導入実績」を重視しました。

また、多数の要望が生じることも考えていましたので、迅速に対応できるだけの「技術的なバックボーン」が選定する企業に備わっていなければならないという点も重視しました。

S-BITSコンソーシアムの最適性を意識

百五銀行は複数の地銀から構成される、S-BITSコンソーシアム(*1)のモデル行です。

「Bank Vision」を媒介(ばいかい)に他の地銀様が帳票システムの導入を検討した場合、「金融業務でのニーズを適確に捉えた電子帳票システム」の存在が不可欠だと考えました。

なぜなら、「自行の帳票業務を最適化する」といった目的こそ変わりありませんが、その一方で「コンソーシアム全体の利便性も意識する」といった点も考慮しなければ、本当の意味でのシステム協同利用には結びつかないからです。

ですから、S-BITSコンソーシアム全体の最適(全体最適)を意識しつつ、自行の帳票業務の最適(部分最適)に活用できるシステムを目指したのです。

(*1)S-BITSコンソーシアムとは (=Succeeding Banking Information Technology for Success consortium) 勘定系システムを含む基幹システムをひな形化し、地方銀行が利用可能な情報インフラの提供を目指し、同組織参加行に提供することを目的とする。次期バンキングシステム検討・検証コンソーシアム。 (日本ユニシスと日本ユニシス地方銀行勘定系ユーザで構成)

「業務効率の向上」と「情報セキュリティーの強化」を徹底して練り込む

- 次に、機能の実装はどのように取り組まれたのでしょうか?

企画をゼロから開始するのではなく、機能の面でも導入実績の面でも定評があるJFEシステムズ社の既存製品『FiBridgeII』をベースに検討を始めました。

具体的に、『業務効率の向上』と『情報セキュリティーの強化』という2つのキーワードを軸に徹底して機能を練り込みました。

『業務効率の向上』は、金融機関が電子帳票を効率的に利用するために必要となる機能を中心に検討。 『情報セキュリティーの強化』は、個人情報保護の施行を視野に必要となる機能を中心に検討しました。

岸田氏

2つの検討項目はどちらも重要・必達の要件でした。
(岸田氏) 

これらの要件は両方とも妥協のできない検討項目なので、バランスにはとても神経を使いました。

第1のキーワードは“業務効率の向上” ~データを「揺りかごから墓場まで」利用し尽くすには~

これは、「当日に参照する帳票」、「当日に出力する帳票」などの業務ステータスを集中的に管理・把握が可能となる機能のほか、「ファイリングする帳票」、「確認後廃棄する帳票」などの作業分類をヘッダー部に印刷表示するといった機能となります。

「業務効率の向上」については、金融業務で効率的に「電子帳票システム」を利用するため、機能実装に必要な技術的なアドバイスをJFEシステムズ社に求めました。

この機能実装により、従来紙で処理する業務をスムーズに電子帳票に移行できた上、印刷すべき帳票の印刷状況などステータスをログ情報から取得し「未出力アラーム」をあげることが可能となりました。

これにより、「今日やるべき確認作業」の抜け漏れの防止に結びつき、また業務効率も格段に向上しました。

第2のキーワードは“情報セキュリティーの強化” ~毎週のように要件が修正・追加~

「情報セキュリティーの強化」は、時期的にも「個人情報保護法」の施行と要件定義が重なったこともあり、行内の帳票業務を含む全ての情報漏洩リスクポイントを総点検しました。

検討している間にも、行内より様々なリスクポイントが「要件」として挙げられたため、毎週のように要件が修正・追加されることになりました。

結果的に非常に厳しい要望をさせて頂くことになりましたが、日本ユニシス社、JFEシステムズ社の積極的な協力により、数々の難題を解決することができました。

しかも、決められた納期に遅れることなくご対応頂いたことに関しては、とても感謝しています。

すぐにあらわれた「導入の効果」

事前シミュレーションでは、想像以上の効果を予感…

- 次に、導入の効果についてお聞かせください。

導入効果の測定は、帳票出力に関係する業務を徹底してシミュレーションすることから入りました。

まず、システムが展開される前の営業店テストにて、全支店に紙で配布する帳票を本部に回収しました。

全支店分の帳票の量を前に関係者一同、想像していたよりもかなり少なくなっていたので、大変驚いておりました。

実運用において、三ヶ月で約100万枚の印刷削減!

後日改めて、実際の本部運用部署での印刷量を計測してみました。

岸田氏

帳票出力量は、想像していたよりもかなり低減されたという印象です。
(岸田氏)

  システム導入前 システム導入後
前年5月期 399,745枚 265,022枚
前年6月期 425,309枚 189,758枚
前年7月期 635,282枚 195,106枚
小計 1,460,336枚 649,886枚

前年同時期の3ヶ月間だけで、削減量は -810,450枚という結果となり、年間では相当量の帳票が削減できそうです。当初の感覚面でも測定した事実面でも、この導入効果面は予想以上でした。

また、出力される帳票量が減ることで、業務的な能率の問題も物理的な配送の問題も一気に解消しました。

情報漏洩のリスクが格段に低減できたことが最大の効果

近年、「個人情報保護」に対する社会からの要求レベルがどんどん高くなっており、銀行の果たすべき社会的な責務も重くなっています。

そういった状況において、今回の一連の取り組みの成果として当行が評価している点に、コストの削減といった経済的な効果はもとより、『情報漏洩リスクが低減できたこと』があげられます。

従来の仕組みですと、どうしても帳票の出力、発送、受取、編綴、保管といった工程で作業負荷と共に情報漏洩のリスクが生じてしまい、例えば、編綴や保管の場所を1つ誤っただけでも、その帳票を探すための労力は大変なものになってしまいます。

杉浦氏

経済効果はもとより、情報漏洩リスクが低減できたことが非常に大きな効果です。
(杉浦氏)

そういう意味合いからも、「情報セキュリティーの強化」とお客様に向けた「サービス時間の確保」が両立できたことは、『真にお客様から頼りにされる銀行』を目指す当行にとって大きな効果であると考えています。

今後の期待と新たな展望

- 今後のJFEシステムズへの期待などありましたらお聞かせください。

当行は、今後も中期経営計画「温故革新2009」にもあるとおり、“攻め”と“スピード”の体制づくりを更に推進してまいります。

その中で、基幹系システムとの連携による新電子帳票システム「FileVolante」に対する要望や要求も出てくると思います。 そうした「良い意味での無理難題」をぶつけ合って、お互いが研鑽(けんさん)し合える関係を期待しつつ、日本ユニシス社と弊行のシステム化を支えていただきたいと考えます。

- お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。

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