全国で1万ヵ所以上ある支社・店舗で扱う帳票をFiBridgeIIで電子化し、年間約3,000万枚の紙を削減できました。
『 私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします 』 という企業理念に基づき、全国47都道府県にコンビニエンスストア「ローソン」を展開する株式会社ローソン(以下:ローソン)。先進的なITを効果的に適用しているローソンは、「帳票共通基盤」としてFiBridgeIIを採用。ローソンの本部、支社、店舗の帳票の電子化に取り組みました。電子化に取り組んだ経緯、製品選定の理由、導入効果などについて、ITステーションコーポレートシステム部長 小畑康治氏(写真右)、同コーポレートシステムマネージャー 秦野芳宏氏(写真中央)、同CVSシステムマネージャー 川添宣昌氏(写真左)に詳しくお話しを伺いました。
ローソンの概要・ITステーション部門の取り組み
- はじめに、会社概要とシステム部門の取り組み、役割をお聞かせください。
ローソンは、1975年4月に1号店(大阪府豊中市/桜塚店)をオープンし、全国にコンビニエンスストア「ローソン」をフランチャイズチェーン展開しています。現在では、国内47都道府県に店舗数は9,982店(※1)を有しており、来店者数は1日約800万人、販売商品点数は1日約3,200万点(※2)にのぼります
※1 日本国内のみ。ローソン、ナチュラルローソンと、ローソンストア100、SHOP99の店舗数の合計です。2011年2月現在。 ※2 2011年2月現在
一般的には情報システム部門と呼ばれているローソンの「ITステーション」は、ITを使って、より便利で快適なお客様へのサービスのご提供、店舗のオペレーションを少しでも楽にする、またお取引先様、並びに本部スタッフの業務をサポートするシステム・サービスを所轄し、幅広い範疇を担ってます。
ITサービスの創出・提供への取組みは、「ITを軸にしたお客様サービスの向上」を掲げており、お客様はじめクルーやオーナー、社員からも 『選ばれるローソン』 を目指し、実践しております。
また、コンビニエンスストアという特性から、24時間365日、システム・サービスを安定して安心して利用できる環境が求められるとともに、妥当なコストの追及もたゆまぬ探求を継続し、最適なコストパフォーマンスを実現していくこともITステーションの役割です。
帳票の電子化に取り組まれた経緯
- 帳票の電子化に取り組まれた経緯は、どういったものだったのでしょうか?
導入前(2004年当時)は、在庫・売上げに関する帳票は紙で管理しており、店舗と管理センター等との連絡や伝票等は全て紙で交信されていました。店舗のバックヤードは決して広くなく、大量の保管帳票がスペースを圧迫し、また、出力や配送にかかるコストも莫大な額に積み重なってきていました。これらを電子化することで一掃するとともに、コスト低減も図ることにしました。
実際に着手するにあたっては、ホストコンピュータ上で稼働する電子帳票システムで導入していた実績をもとに、機器の保守サポート終了期限を機に、安心して導入が図れ、長く使えるITソリューションを調査・検討することとなりました。
ローソンがFiBridgeIIを選んだ理由
- 導入にあたっての選定条件を教えて下さい。
全社的に共通化・標準化して同じ操作性・同じシステム機能、そして仕組みをシステム横断的に展開できることをシステム基盤の機軸として考えており、主に以下の3つの条件で、比較検討しました。
(1)使い勝手がよいこと
長く利用してきた 「紙」 から、スムーズに 「電子帳票」 に移行するために、使い勝手がよいことが重要でした。システムは、使われてはじめて、効果が発揮できるものなので、使うユーザが、直感的に操作できるシステムを希望しました。この観点はきわめて重要と捉えており、各社から製品の貸出しを受けて、実際に利用者も交え、触れてみて、じっくり検討しました。
ローソングループ全社で使える電子帳票システムにしたいと考え、FibridgeIIを導入しました。
(小畑氏)
(2)安定的に稼働すること
本部のスタッフはもちろんですが、100以上ある事務所のスタッフが使うことになります。運用の効率性を確保しつつ、安定稼働することが必須条件でした。 そこで、安定稼働が特に重視される金融・流通業界での導入実績が多く、安心して導入できる製品を選ぼうと考えていました。
(3)サーバ化に対応できること
ローソンでは、ホストコンピュータの機能を縮小し、サーバに移行していく予定でした。そのため、サーバ化して利用できるシステムを選ぶのも条件の一つでした。
上記の主な選定条件を元に、5製品の中から、FiBridgeIIを選定しました。また、製品機能はもちろんですが、提案内容も、「ローソンの業務の流れをイノベーションしてくれる提案」 を評価しました。
具体的には、24時間365日稼働するというコンビニエンスストアの特性を考えた内容となっていました。万が一、システム障害があっても、数分で復旧可能の構成となっており、万が一の場合のサポート体制もしっかりとしており、心強い内容でした。
また、ネットワーク負荷対策として、10分間アクセスがなかったら、自動的に接続遮断する仕組みを提案してくれました。私たちはネットワーク負荷を気にしていたのですが、ここに発生してくる課題・対応策の提示にも安心感を感じました。
スムーズに電子帳票システムを導入するコツ
- 導入時のことについてお伺いしたいのですが、まず、導入スケジュールを教えて下さい。
段階的な導入を進めまして、初期導入が2005年3月からスタートし、約半年で約300帳票を電子化しました。その後、2010年に100帳票の電子化を2ヵ月半で行い、対象帳票を拡大しました。
これにより、現在では、本社及び支社の全ての帳票と店舗の一部の帳票をのぞいて電子化を実現しています。
- 導入時に苦労されたことは、ありましたか?
ローソンの帳票は、罫線が多用されていました。これを全部、電子帳票化してしまうと、見映えの面や帳票作成のコストがかかってしまうので、対策を考えていたところ、FiBridgeIIに網かけ機能があるとJFEシステムズから聞き、罫線を廃止して網かけとしました。
プロジェクト全体としては、各ベンダーの協力体制もあり、短期間でプロジェクトを遂行できました。
- スムーズに電子帳票システムに移行するためのコツは何でしょうか。
電子化について、ユーザの理解を深めてもらうことです。ローソンでは、導入が決まった時点から、現場のユーザに直接、電子化のメリットなどを伝えるなど、周知の仕方に気をつけました。試用時にはユーザに参加してもらい、操作してみた感想などを聞くなど、ユーザの意見を尊重しました。導入当初は、ユーザ側から電子化に対して、すこし抵抗があるかなと考えておりましたが、問題なく社内に浸透していきました。今、振り返ってみると、元々 「紙である意義はなかった」と考えております。
また、システム面でも帳票保管期間をあえて、短く設定しました。一定期間が経過しますと、ユーザからは、表示上、見えなくなりますので、「使わざるを得ない」仕組みをいれました。
電子化についてユーザの理解を得られるように、早い段階から調整したのが良かったと思います。
(川添氏)
導入効果 ~ 年間約3,000万枚を削減 ~
- 導入効果について教えて下さい。
本社、支社への配布帳票は全て電子化し、店舗へ配布している帳票の一部を電子化しました。その結果、年間約3,000万枚の紙を削減でき、出力、配送に関わるコストを大幅に削減することができました。また、紙の場合は、保管費用がかかるため、保管期限が過ぎたら破棄していましたが、電子化することで保管期限を気にする必要がなくなり、整理の手間もかからなくなりました。
ユーザ側の評価も高く、検索もスピーディーで、必要なときに必要なものをすぐに見つけられると喜んでいます。店舗のオーナー様からも、限られたバックヤードで大量の紙を保管する必要がなくなったと評価していただいています。
FiBridgeII導入で、狙った以上の効果が出ました。(秦野氏)
また、ローソンでは環境保護にも積極的に取り組んでおり、ローソン全体の取り組みと比べるとわずかではありますが、ITステーションとしてもエコへの取り組みができることをうれしく思います。
FiBridgeIIへの評価
- FiBridgeIIに対する評価を教えて下さい。
システム自体の障害らしい障害は、利用開始から記憶にありません。障害発生時に24時間対応できる体制をとっていますが、これまで連絡が来たことはありません。本当に安定稼働しています。
また、使いはじめての副次的な効果としてFiBridgeIIには、ユーザ側の「操作ログ」の情報を取得できる機能があります。この情報を使うことにより、利用されていない帳票を把握することができますので、帳票を廃止する際に利用できます。
今後の抱負と期待
- 今後の電子化の取り組み予定について教えて下さい。
対象帳票を継続的に拡大して、さらなる電子化に取り組みます。これから、構築する新システムの帳票については、原則、電子化を前提に進める予定としております。
- 最後に、JFEシステムズへのご要望がございましたら、お聞かせください。
FiBridgeIIは数多くの導入実績があるので、電子帳票化のノウハウをJFEシステムズは持っていると思います。ローソンとしては、FiBridgeIIという「帳票の電子化ツール」の紹介にとどまらず、数多くの導入実績を通じて培ってきた、「電子化に向けてのベストプラクティス(最も効果的、効率的な実践の方法)」もあわせて提供して欲しいと考えています。どのような帳票は電子化した方がいいのか、あるいは電子化しないで廃止してしまってよいのか等、実現へのイメージやアプローチの方法など蓄積されたノウハウから厳選された提案を期待しています。
また、今回の導入においては、FiBridgeIIを含むソフトウェアやハードウェアを購入し、資産化しています。昨今、ローソンは、ITに関する投資について資産化する意味、持ちかた、あり方について、検討をはじめております。
今後は、「ローソン自体がすべきこと」、「委託先様にお願いすること」の選別、また「資産として持つもの」、「資産化せずサービスとして利用するもの」の選別を進めていきたいと考えております。JFEシステムズでも、サービスの特性に応じたシステム提供を展開していただきたいと思います。
最後に、時代の流れは携帯電話がスマートフォンに、ノートパソコンがiPadに代表されるタブレット・コンピュータに移行しつつあります。そのようなデバイスの変化によって、業務のあり方・システムのあり方が変化するのではないかと予測しています。JFEシステムズには、それらの変化の流れをくんだ環境に対応してもらうことを期待しています。
- お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。