先入先出法に対応しているJ-CCOREsを採用し、アドオンせずに低コストで原価管理システムをリプレース。
品種ごとの原価を正確に分析できるようになりました。
世界有数のチタン素材加工メーカーである東邦チタニウム株式会社(以下、東邦チタニウム)は、J-CCOREs(ジェー・シー・コアーズ)を活用して原価管理システムの刷新をされました。その経緯と効果について、経営管理本部 経営企画部 経理グループ グループマネージャー 藤田 英治氏(写真左から2番目)、同経理グループ 参事 阿部昇氏(写真中央左)、同経理グループ 係長 齋藤 篤氏(写真右端)、同経理グループ 沖山 大志氏(写真中央右)、同企画グループ 経理グループ チタン事業統括本部総括室 住吉 祐哉氏(写真右から2番目)、チタン事業統括本部総括室 櫻井 哲也氏(写真左端)に伺いました。
東邦チタニウムの業態
- 東邦チタニウムの事業内容について教えて下さい。
東邦チタニウムは、1953年に茅ヶ崎の地で金属チタンメーカとして創業以来、その製品・サービスの提供を通じてチタンと関連技術の限りない可能性を追求し続けてきました。当社では金属チタン製品(スポンジチタン、チタンインゴット、高純度チタン、チタン紛、チタン加工品等)のほか、チタンの製造プロセスで得られる原料や関連技術を利用した製品として、ポリオレフィン製造用触媒、電子部品材料向け高純度酸化チタン、積層セラミックコンデンサ(MLCC)向け超微粉ニッケルなどを製造・販売しています。
従業員数は 859名(連結 2019年3月末現在)、売上高は 436億48百万円(連結 2019年3月期)です。
J-CCOREsを活用して原価管理システムを刷新
- J-CCOREsはどのように活用されていますか。
J-CCOREsのベースモジュール、実際原価計算モジュールを活用して、原価管理システムを刷新しました。原価管理システムは、決算システムと見通し・予算システムからなり、2013年4月に決算システムを、続いて2014年1月に見通し・予算システムをリリースしました。
J-CCOREs導入前の課題
~非累加法や品種別の原価計算ができなかった
- 原価管理システムを刷新された理由について教えて下さい。
従来使っていた原価管理システムは、決算のためだけに大くくりの品種で原価を算出するシステムで、決算以外の予算・見通し計算はできなかったため、様々な支障を来していました。
「これまでできていなかった精緻な原価分析ができるようになり、経営判断に必要なデータを出せるようになりました」(藤田氏)
まず、従来システムは、非累加法での原価計算ができず、発生原価に加工過程で生じた様々な費用を合算して入れていました。また、品種別の原価計算や細かい原価分析をすることができないため、事業内でどの品種が利益を上げているのか、どのコストがかかっているのかを説明できない状況でした。
次に、原価計算するために必要なデータをエクセル等で計算し、手作業で原価管理システムに転記する必要がありました。そのため、担当者はそれぞれ月8~9時間は入力作業を行っていました。担当者は合計4名おりますので、月に計32~36時間、転記作業に費やしていたことになります。 そのうえ、データがシステムで連携されていないので、見通し・予算と決算に一貫性がなく、どうしても齟齬が出てしまっていました。その齟齬は、担当者が経験に基づいて推測し、修正していました。
このような課題を抱えた状態の原価管理システムを10年以上使ってきましたが、保守期限が切れるのを機に刷新することにし、5つの会社の原価管理システムを比較検討しました。
「品種を細分化してもデータ取得や計算処理速度が遅くならない対応方法を教えてもらえると助かります」(齋藤氏)
導入の要件
~先入先出法の評価計算ができる製品であること
- どのような条件で製品の検討をされましたか。
以下の4つの条件で選定しました。
1.“先入先出法”の評価計算ができること
東邦チタニウムは、棚卸資産の評価計算に先入先出法( 以下、FIFO)を採用しており、FIFO対応は必須でした。
2.配賦機能が豊富にあること
計算に用いる配賦係数が多数あるため、相互配賦、製品別配賦等、配賦計算のパターンが豊富にあることも条件にしました。
3.科目明細が多いこと
非累加法、累加法で同時に原価計算ができ、科目明細が多い製品にしたいと考えていました。
「今後、原価計算システムとERPとを自動連携して、さらなる業務効率化を図りたいと考えています」(阿部氏)
4.データ取り込み方法が複数あること
作業の効率化のため、生産管理システムとインターフェースの連携ができること、また、エクセルのデータを容易に取り込めることなど、データ取り込み手段が多いことも希望しました。
以上の条件で比較検討した結果、J-CCOREsを採用することにしました。
- J-CCOREsに決定された主な理由は何ですか。
製品選定時に、FIFOに標準機能で対応しているのはJ-CCOREsのみでした。アドオンで追加できる製品もありましたが追加コストが高く、J-CCOREsのコストを大きく上回りました。また、J-CCOREsはエクセルからコピーアンドペーストでデータを取り込むことができ、エクセルを使うことが多い東邦チタニウムでは工数削減を図ることができると判断したことも大きな理由です。
導入効果
~入力作業時間が1/4以下になるとともに、品種別の原価分析ができるように
- 導入効果について教えて下さい。
非累加法の原価計算など、従来やりたくてもできなかったことが可能になったことに加え、大きく以下の3つの効果が出ています。
1.入力作業時間が1/4以下に
チタン事業ではインターフェース連携で生産管理システムからデータの取り込みができ、機能化学品事業(連携システムがない)ではエクセルのコピーアンドペーストでデータ取り込みができるようになりました。そのため、手入力が大幅に減り、作業時間が従来の1/4以下になりました。また、システム刷新後、品種を細分化して原価計算ができるようになりましたが、従来から比較して作業量は増えておらず、これも作業効率のアップを物語っています。
2.細分化した原価管理ができるように
細分化した原価管理ができるようになったので、コストを削減すべき部分、品種間や工場間の原価率の違い、利益率の高い品種などが把握できるようになりました。経営層に精緻な分析結果を提出できるようになり、経営判断にも役立っています。
「グループ会社への導入にあたっても、現場の要望を吸い上げてよい仕組みにしてもらえると嬉しいです」(沖山氏)
3.見通し・予算と決算に一貫性を持たせることができた
一気通貫にデータが流れるようになったことで、見通し・予算と決算に一貫性を持たせることができるようになり、精度が上がりました。また、システム間のデータ齟齬の修正にとられていた作業時間も削減できました。
入力工数削減のためにテンプレートを利用
- スムーズな運用のために工夫されたことはありますか。
原価管理システム刷新にあたって、棚卸する品種を細分化したため、従来のようにJ-CCOREsに手入力をしていてはその分、工数が増えてしまいます。そこで、入力工数を減らすために、エクセルベースでテンプレートを作り、J-CCOREsに一括入力できるようにしました。
- JFEシステムズのサポートはいかがでしたか。
JFEシステムズは、東邦チタニウムの原価計算に関するプロセスや作業内容を踏まえ、具体的な改善提案をしてくれました。入力工数削減のためのテンプレートもそうですし、アドオンを追加することなく、オペレーションを少し変更して対応する方法や、東邦チタニウムの特殊な原価計算に関してもJ-CCOREsでの対処法を提案してくれました。JFEシステムズのサポートがあったので、コストをかけることなく、やりたかったことがJ-CCOREsで実現できたと考えています。
「J-CCOREsを活用して細かく原価管理をしていきたいと考えています」(住吉氏)
今後の展望と期待
- 今後の取り組みのご予定について教えて下さい。
現在、ERPを更改しており、J-CCOREsと連携する予定です。最終的に、生産管理情報やコスト情報を自動で取り込み、入力工数をゼロにしたいと考えています。また、J-CCOREsをグループ会社にも導入し、グループ全体の原価管理精度も上げたいと思っています。
- JFEシステムズに対する今後の期待について教えて下さい。
先ほど申し上げた、今後のJ-CCOREsとERPとの連携やグループ会社への展開にあたって、J F Eシステムズにはより手厚いサポートをお願いしたいと考えています。また、将来的に会社組織の再編もあると思います。そういった場合でもご助言や運用等の見直しのお手伝いをお願いしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
「より実態に近い原価計算ができるように、J-CCOREsを使いこなしていきたいと思います」(櫻井氏)
- お忙しい中、貴重なお話しをありがとうございました。
※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。