雪国まいたけでは、J-CCOREsをパッケージ標準機能で導入し、
原価管理システムをわずか5カ月で構築。
トラブルもなく本稼働をスムーズに開始することができました。
まいたけやエリンギ、ぶなしめじなどのきのこを人工栽培されている株式会社 雪国まいたけ(以下、雪国まいたけ)では、東京証券取引所市場第一部(現・プライム市場)の上場申請にあたり、原価計算の精度向上のためにJ-CCOREs(ジェー・シー・コアーズ)を導入されました。その経緯と効果について、経営企画本部 経理財務部長兼IR・広報部長 岩谷 俊一郎 氏(写真中央)、同本部 経営企画部 課長 柳 憲太郎 氏(写真右)、同本部 経理財務部 経理係長 笛木 宏亮 氏(写真左)に詳しくお話を伺いました。
さまざまなきのこを大規模に栽培している雪国まいたけ
- 雪国まいたけの事業内容を教えてください。
雪国まいたけでは、まいたけ、エリンギ、ぶなしめじ、本しめじ、はたけしめじ、マッシュルームなどのきのこを大規模に栽培しています。独自の技術で他の追随を許さない高品質のきのこを栽培しているのが特長です。例えば、当社の「雪国まいたけ極」は一株が人の頭ほどの大きさでありながら肉厚で、味の良さに加え食べたときの歯ごたえもあり、お客様からご好評をいただいています。
健康的で豊かな食生活の創出と、健やかな社会の実現に貢献すべく事業を推進しています。売上収益は31,016百万円(連結2023年3月期)です。
【雪国まいたけが生産している各種きのこと健康食品】
J-CCOREsの活用状況
- J-CCOREsをどのように利用されていますか。
J-CCOREsの実際原価計算モジュールを導入しています。2019年6月からプロジェクトを開始し、2019年10月度から本稼働しています。現在は、新潟本社の経理財務部を中心としたユーザー8名で、J-CCOREsを活用しています。
【システム概要図】
J-CCOREs導入の経緯
- J-CCOREsを導入する前はどのようにして原価計算をされていましたか。
J-CCOREs導入前はエクセルを使って手作業で原価計算をしていました。それにより次のような弊害が生じていました。
1.業務負荷が高くなっていた
四半期決算は実際原価計算を行っていましたが、運用負荷が高く月次決算では処理が間に合わないため標準原価計算で原価を算出していました。その結果、四半期決算時に標準原価と実際原価の原価差異が発生し、原価差異の調整のため業務負荷が高くなっていました。
2.属人化していた
各部署から提供してもらった情報から必要な情報を原価計算担当者が抽出し、エクセルの適切な項目にデータ入力するには経験が必要で、作業が属人化していました。データ入力後のチェックもダブルチェックを行っていましたが、ヒューマンエラーが発生するリスクを無くすことは難しい状況でした。
J-CCOREsに取り込むことができるようになれば活用の幅も広がると考えています」(岩谷氏)
3.上場申請に際して原価管理システムの導入が求められた
雪国まいたけでは、国際会計基準(IFRS)による農業会計を適用しており、収穫前の培養中のきのこを前倒しで利益計上するため、損益へのインパクトが大きくなります。そのため、上場申請に向けた監査法人のチェックにおいて、エクセルを用いた手作業では製造間接費の計算ロジックの精度やデータの正確性等の証明は難しいとして、原価管理システムの導入を求められました。
そこで監査法人と協議して原価管理システムを早期に導入することにし、3つの製品を比較検討しました。
導入の要件
~スケジュールを厳守できるベンダーのパッケージ製品を
- どのような条件で製品の比較検討をされましたか。
2020年度の上場を目指していましたが、審査においては直前期である2019年度第3四半期から原価管理システムで算出した正確な決算が不可欠でした。そのため2019年10月には原価管理システムを本稼働する必要がありましたが、製品検討を始めたのが同年4月でしたので、半年以内に本稼働までこぎ着ける必要がありました。 それを踏まえて、以下の3つの条件で比較検討しました。
1.スケジュールが厳守できるベンダーであること
2020年度の上場審査に間に合わせるためにも2019年10月という稼働スケジュールを厳守できるベンダーであることは必須でした。スケジュール通り進めるためには、パッケージ製品の基本機能の良さはもちろん、原価管理を熟知し手厚いサポートが期待できるベンダーであることが重要でした。
2.従来と同様の原価計算が実現できること
原価管理システムの新規導入にあたっては、構築期間の制約から原価計算の考え方は従来を踏襲することにしました。そのため従来のエクセルで行っていた原価計算と同様の計算ができることが条件でした。
3.将来の拡張性があること
2で述べた通り今回のシステム構築では従来と同じ原価計算ができることに絞りましたが、将来的には計画原価の作成や差異分析、原価シミュレーションなどを実現したいと考えていました。そのため、導入後に機能拡張が実現できる製品にしたいと考えていました。
時間との勝負でしたので、スムーズに進められるように以下の2つのことをポイントにプロジェクトを進めました。
1.プロジェクトメンバーを絞った
時間が限られている中で、社内の意思決定やJFEシステムズとのコミュニケーションのスピード感を維持するために、原価計算に用いるデータやパラメータが分かっているメンバーから5名を選抜してプロジェクトを進めました。結果として、予定通りのスケジュールでのシステム構築を実現できました。
2.手戻り防止のため、JFEシステムズと小まめにやりとりした
事前に確認できることは確認し、後工程で手戻りが発生しないようにするため、要件定義の期間中に、エクセルの管理データをJ-CCOREsのフローに落とし込んでもらい計算結果の違いがないかを事前にチェックしてもらうなど、JFEシステムズとは小まめにやりとりしました。 プロジェクト期間中は連日のようにメール等で問い合わせをしていましたが、いつもスピーディに対応していただけました。結果として、後工程で大きな手戻りなく本稼働を迎えることが出来ました。
導入効果
~5カ月で精度の高い原価管理システムを構築
― J-CCOREsの導入効果について教えてください。
J-CCOREsを用いて原価管理システムを構築したことで、以下の3つの効果を実感しています。
1.上場の実現
予定通り2019年10月度からJ-CCOREsの本稼働を開始し、2019年度 第3四半期の決算書類等を提出して審査をクリアすることができました。おかげさまで2020年9月に上場を果たすことができました。
2.決算業務のスピードアップ
月次決算が実際原価計算で行えるようになったため、四半期決算で原価差異の調整が不要となり、決算業務のスピードが上がりました。また、原価計算の属人化も解消することができました。
3.原価計算の精度向上
工程別、品目別、工場別の原価内訳を見える化でき、原価計算の精度がアップしました。また、原価内訳の分析を細かくできるようになり、経営分析に役立っています。監査法人からの指摘もなくなりました。
― J-CCOREsに対する評価をお聞かせください。
分かりやすい構造になっており、特別なスキルが必要とされない点が評価できます。 導入後に合併した子会社分もJ-CCOREsで原価計算を行うことになりましたが、子会社は雪国まいたけと生産方式が異なっていたため雪国まいたけと異なるパラメータをマスタ設定する必要がありました。JFEシステムズにテスト環境を提供してもらいましたが、JFEシステムズの作業は必要なく、社内でマスタ設定を行うだけで運用できています。設定変更に特別なスキルが不要なので、今後もコストをかけずに設定変更などの対応を実施できると考えています。
JFEシステムズのサポート
~打ち合わせのために何度も新潟本社まで足を運んでくれた
― JFEシステムズのサポートはいかがでしたか。
JFEシステムズのSEは、雪国まいたけでも一部の担当者しか理解できないエクセルの管理データを短期間で解析し、J-CCOREsに取り込みました。その様子を見て「そんなに簡単にできてしまうの?」と驚きました。 また、JFEシステムズは、コミュニケーションを重視し、雪国まいたけの新潟本社まで足を運び、丸一日の打ち合わせを何度も行ってくれました。それ以外も連日メールでやりとりしてサポートしてもらえました。時間が限られた中、トラブル発生もなくスムーズに進めることができたのは、スピード感をもった対応があったからだと感謝しています。
今後の取り組みとJFEシステムズに対する期待
― 今後、どのような取り組みをしていくご予定ですか。
今後、時間をかけて管理会計に繋げていきたいと考えています。 オプション機能を追加して計画原価の作成や差異分析による生産活動の評価を行う予定です。また、原価シミュレーションを行って経営計画に活かせるようにできればと考えております。
― 今後のJFEシステムズに対する期待について教えてください。
雪国まいたけの原価の捉え方として、本来的には、お客様に届けるまでのコストをすべて原価に含めるべきだと考えています。とはいえ、それらすべてのコストを算出して比較するのは容易ではありません。JFEシステムズには、生産から配送まで一気通貫でコストを計測して、シミュレーションできるソリューションを提案してもらえればと思います。 他にも、いろいろな生産情報(気温・湿度・きのこの増産率)と原価をリンクさせて分析できる機能があればいいですね。
今後の機能拡張の際も、これまで通りの手厚いサポートを期待しています。よろしくお願いいたします。
- お忙しい中、貴重なお話しをありがとうございました。
※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。