フンドーキン醬油株式会社フンドーキン醬油株式会社 様

取材日:2021年01月

MerQurius
導入事例

業種
食品
キーワード
  • 食品業向け 統合データマネージメント
フンドーキン醬油株式会社

原料・商品情報管理はいつかシステム化しなければいけない。 ずっとそう思いつづけて、ついに実現しました。

フンドーキン醬油株式会社 商品開発部 開発課 係長 阿部 圭輔 氏にMerQurius NetとMerQurius Entry Editionを導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。

フンドーキン醬油について

フンドーキン醬油は、大分県臼杵市で醤油・みそ・調味料を製造している企業です。創業文久元年(1861年)、従業員数500名、年間の醤油生産量は18,000kL、みそは15,000tです。九州における、みそ・醤油業界では最大手となります。

「ゴールデン紫」「生きてるみそ」など、一般消費者向け商品のほかに、業務用の食品・原料、つまり外食産業での調理用途や、食品メーカーで原料として使うみそ・醤油なども、製造・販売しています。商品分野は、醤油、みそ、ドレッシング、ぽん酢や柚子こしょうなどのその他の調味料の4分野。近年では、醤油本来のおいしさを追求し、天然醸造による長期熟成を実現するため、高さ9メートル、直径9メートルの巨大木樽の中で醤油を3年間醸造するという、時間も効率も一切考えず、300年前の醤油づくりを再現する「世界一木樽醤油」プロジェクトを開始しました。

フンドーキンという社名の由来は、かつて、みそ・醤油を計り売りしていた際に使用していた分銅(フンドー)と、創業者の小手川金次郎の名前から一字を取って合わせたものです。コーポレートマークは左右対称で、ウラオモテがないこと=確かなモノづくりと偽りのない正直な商売を信条とすることを表しています。)

高さ9メートルの世界一木樽

高さ9メートルの世界一木樽

フンドーキン醬油社屋

フンドーキン醬油社屋

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

MerQuriusシリーズで原料情報と商品情報を管理

— フンドーキン醬油(以下 フンドーキン)ではMerQuriusシリーズをどう使っていますか。

フンドーキンでは、自社の原料情報・商品情報を管理するために、MerQuriusNet原料規格書サービス(以下、MerQuriusNet)と、MerQurius Entry Editionを使っています。概要は次のとおりです。

【MerQurius Net】

MerQuriusNetを使って、大豆や塩など約900種の原料情報を収集管理しています。原料サプライヤーからの原料規格書の提出は、原則MerQuriusNet(インターネット)を経由しており、収集した原料規格書のデータをMerQurius Entry Editionに連携し、原料情報の参照や定期的な情報更新をしています。

【MerQurius Entry Edition】

MerQurius Entry Editionを使って、社内の商品情報を一元管理しています。商品アイテム数は現在約1,000種。管理している情報は、「原料規格書(MerQuriusNetから収集)」「配合情報」「商品パッケージ上に記載する情報」「社外に提出する商品情報」など。つまり「商品に関わる情報」は、すべてMerQurius Entry Editionに集約しています。

【システム概要図】

【フンドーキン醬油:システム概要図】

システムによる情報管理に取り組み始めた経緯

— フンドーキンが原料・商品情報管理のシステム化に本格的に取り組み始めた経緯を教えてください。

従来、商品情報は各工場、各部門とメールや電話で最新情報を確認しながらエクセルなどの所定文書に入力していました。各工場、各部門で個別に情報を保管していたので、顧客から問い合わせがあった際は、関連する各部門から情報をかき集めて回答していました。これでもとりあえずは、何とかなっていました。

しかし数年前に頻発した産地偽装などの食品事件を契機に、社会全体で、食の安全・安心への関心が高まってきました。世間で何か事件が起きれば、弊社にも当然、問い合わせが入ります。そのときはもちろん全力で対応しますが、いつまでもそんな「力づく」の対応でよいのか。もっと体系的な情報管理体制を整え、流通と消費者に必要な情報を正確、迅速に提供する、それが食品企業として「あるべき姿」ではないか・・・こうした思いはずっと持っていました。

実はMerQurius Entry Edition以前に、別の商品情報管理システムを導入したことがあります。その時は正直なところ、価格優先で選びました。しかし、その製品は使い勝手が悪く課内での運用にとどまったため、原料や商品の情報を更新するたびに手入力や転記が必要でした。時を経るにしたがって、その情報が本当に最新のものか確証が得られなくなり、結局、元のエクセルでの管理に戻ってしまいました。こうして最初のシステム化は頓挫しました。それでも“いつかは「あるべき姿」を実現したい”と情報収集を続けている中で知ったのがMerQurius Netです。

MerQuriusNetで原料情報の管理を始めた経緯

— MerQurius Netはどういう経緯で知ったのですか。

フンドーキンは、食品メーカーに対して、原料として、みそや醤油を納入しています。その中で複数社から「今後、原料規格書はMerQuriusNetを使って提出してほしい」と言われたのがきっかけです。つまりMerQuriusNetは、「それを使って原料情報を記入、提出する側」として使い始めたことになります。

最初は正直、「項目が多くて記入がめんどうだな…」と思いました。MerQuriusNetでは起源原料や原産国を1つずつ選択する形式のため、「東南アジア」のような大きな括りができなかったり、提出前のチェック機能によって、空欄のままでは提出ができない仕組みになっていたりと、慣れないうちは時間と手間を要しました。

阿部 圭輔氏情報管理の効率化が必要だと以前から考えていました
阿部 圭輔氏

ただ、提出する側の立場で「めんどう」と思う一方で、「原料規格書を受け取る側」の立場からすれば、これは実に優れたシステムだと思いました。正確な原料規格書が一発で提出される。煩雑なメールのやりとりをしなくてよい。その後の保管、検索、更新も全てMerQuriusNet上で一元管理できる。これは原料情報の管理方法として「あるべき姿」だと感じました。

そして原料規格書の提出を重ねるうちに、実は原料サプライヤー側にもメリットがあるしくみだと分かりました。MerQuriusNetでは、全ての食品メーカーが共通のフォーマットを使用しています。そのため、MerQuriusNetを利用する複数社から同一原料の規格書を求められた際は「コピー」して短時間で提出することができます。また「数年前に提出したものと『ほぼ』同じ内容の規格書」を作成したいときも、履歴情報を読み出して、テンプレートを流用できる。提出した情報はMerQuriusNet内で一元保管されるので、散逸、混乱の恐れもない。最初はめんどうに思えても、それは慣れの問題で、長く使えば使うほど便利になる。関わる全員にメリットがあります。このMerQuriusNetを、原料規格書を受け取る側としても利用したいと考えるようになりました。

JFEシステムズに提案とサポートをいただきMerQuriusNetの導入が決まると、弊社の原料サプライヤーへ、「以後、原料規格書は、MerQuriusNetを使って提出してください」と伝えました。多くはこの合理化を歓迎しましたが、中には慣れないシステムの利用を渋るサプライヤーもありました。そこに対しては「最初は手間に思えても、だんだんと楽になりますよ」と、自身の体験も交えて伝え、理解を得ました。

こうして、フンドーキンの原料情報の管理は合理化されました。しかし、それ以外の部分は相変わらず非効率な状態が続いていました。

商品情報の合理化にも乗り出す

— どのように非効率だったのでしょうか。

商品情報は各工場、各部門からエクセルや紙文書で提出してもらったものを自社書式もしくは提出先のフォーマットに転記して作成していました。特に原材料の詳細情報を入力する欄は、フォーマットによっては非常に煩雑で、手間がかかるうえに記入ミスや漏れが起こりやすく手を焼いていました。そのような中で、食品関連法規の改定や食品関連の事件・事故が発生し、顧客からの問い合わせは増加。提出する商品情報もますます厳格化していく傾向で、根本的な解決の必要性を感じていました。

そうこうしているうち、放置されていた先の商品情報管理システムのサーバ更新の時期を迎えました。これは好機と捉え、商品情報管理の合理化を実現すべく、社内関係部署や経営層に向けてシステム刷新を呼びかけました。経営層からは、すぐに理解を得られましたが、一部からは、システム化を渋る反応もありました。

システム化への合意形成

— 「システム化を渋る反応」とは具体的には。

必要性は理解しているが、自分たちの業務に直接的なメリットは少ないため、システム化による運用変更に対して腰が重くなっているようでした。商品情報管理が煩雑で手間がかかっているのは、私たち商品開発部だけであって、立場が違えば、現状のエクセルや紙文書の管理でも、実はそれほど問題はない。部門間で温度差があるわけです。

これについては社内でミーティングを重ねて、各部門での課題や不満点を抽出し、できるだけそれらを解消できるようにする、なるべく運用を変えなくて済むように導入後の業務フローを構築する等、一歩ずつ合意形成していきました。

こうしてシステム刷新が決定し、MerQuriusEntryEditionをはじめ数製品を比較検討することになりました。

システム製品の比較基準

— 各製品はどのように比較しましたか。

新たに導入する商品情報管理システムには、次の要件を求めました。

要件1.「商品にかかわるすべての情報を統括管理できること」

新たに導入する商品情報管理システムには、原料から商品そして社外に提出する「すべて」の情報を統合管理できることを求めました。MerQuriusEntryEditionは、これまで多くの大手食品メーカーで導入されたMerQuriusの普及版ということで、全体的な統括管理の性能は十分でした。

要件2.「操作画面が自社でもカスタマイズ可能であること」

使いにくいものは使われなくなる。システム化に消極的な現場では特にそうなります。そのため操作画面がカスタマイズ可能なことは必須要件でした。パッケージ製品は、操作画面上には、たとえば「輸入者について」「脂肪酸組成」など、「自社では使わない項目」がどうしてもある。それらを削除して、誰でも迷いなく使える操作画面にしたいわけです。MerQuriusEntryEditionには、デザイナー機能があり、操作画面を「自社でカスタマイズできる」「JFEシステムズに依頼してカスタマイズができる」柔軟な仕様でした。

要件3.「ベンダーの信頼性、一体感」

原料・商品情報システムを導入することは、つまり「新しい仕事のやりかた」を導入することです。それを社内に定着させるには、システムベンダーに「手厚いサポート」「一体感のある取り組み姿勢」が必要です。売りっぱなしでは困るわけです。
JFEシステムズは、検討段階において、無償で製品トライアルをさせてもらえました。これは、MerQuriusEntryEditionを借り受けた上、実際の商品情報や原料情報を入力し、社内の実環境で一定期間の仮運用ができるという制度です。この時JFEシステムズのSEから構築アドバイスも受けられました。JFEシステムズにとってはSEの人的費用などが「持ち出し」になりますし、こうした制度や体制が用意されていたので、信頼できるベンダーだと思いました。

以上の3つの要件で比較したところ、JFEシステムズの製品、提案、支援体制が総合的に最も優れていたので、MerQuriusEntryEditionの導入を決定しました。

MerQurius Entry Editionの導入効果

— 今まで実感したMerQuriusEntryEditionの導入効果を教えてください。

大きくは次の5点です。

1.「原料産地の検索の高速化」

2.「原料詳細情報の作成の迅速化」

3.「原料規格書の更新の効率化」

4.「一括表示の作成の合理化」

5.「原料の選択肢が増える。開発期間に余裕ができる」

導入効果1.「原料産地の検索の高速化」

— 効果1.「原料産地の検索の高速化」とは。

従来、顧客からの問い合わせにおいて、原料産地の特定、たとえば「中国産にんじん」の使用有無の調査があった際は、にんじんを使用している原料に目星をつけ、片端から規格書を開いて確認していました。しかし、この方法ではどれだけ時間を費やしても、絶対と言い切れない側面がありました。しかしMerQuriusEntryEditionでは、拡張検索画面で各階層の原料の項目に「にんじん」と入力するだけで、瞬時に、にんじんを使用している原料を抽出できます。必要に応じて、原産国で検索をかけることで「中国産にんじん」をさらに絞り込むことができます。調査時間は従来の数時間から5分程度に短縮されました。
なお、この精確な検索は、MerQuriusNetで管理している原料規格書の段階で「人参、にんじん、にんじ」のような、漢字やかなによる用語の揺らぎ、誤記をしっかり取り除いているからこそ実現するものです。

導入効果2.「原料詳細情報の作成の迅速化」

— 導入効果2.「原料詳細情報の作成の迅速化」とは。

得意先へ提出する商品仕様書を作るとき最も大変なのが、原料の詳細情報・明細の作成です。みそのように大豆・米・食塩だけの単純な構成の商品はまだよいのですが、ドレッシングなど加工度合いの高い商品では、階層が深くなり原材料詳細の項目は複雑になります。これを手作業で入力するのは、膨大な時間がかかり、記入ミスや漏れのリスクも高い。従来の体制では、力量ある人にしか任せられない、属人性の高い仕事でした。
しかしMerQuriusEntryEditionの導入後は、原料情報と配合情報を入力さえすれば、原材料詳細情報の項目を自動で作成できます。1品あたり、これまで4時間かかっていた仕様書作成が、20分程に短縮されました。キャリーオーバーされる食品添加物なども出力されるため、1クリックは言い過ぎですが、感覚的にはそれぐらいラクになりました。

ドレッシング工場

ドレッシング工場

導入効果3.「原料規格書の更新の効率化」

— 導入効果3.「原料規格書の更新の効率化」とは。

フンドーキンでは、原料は通常、同じサプライヤーから長期間、調達しつづけており、原料規格書は、原則3年に1度(特別な物は年1度)の頻度で更新しています。ただこの作業、従来はメールや電話のやりとりで1件1件こなしていたので、膨大な時間と手間が発生していました。
MerQuriusNet導入後は、数十社分のやりとりをシステム上で一括管理できるようになりました。また更新を依頼した原料規格書が現在、作成中なのか、提出済みなのかなど進捗管理も一目瞭然です。手間と確認時間の削減、正確性の向上を同時に実現できました。

導入効果4.「一括表示の作成の合理化」

— 導入効果4.「一括表示の作成の合理化」とは。

「一括表示」の作成もMerQuriusEntryEditionの導入により、完全に自動化されました。配合を入力して、表示形式を選べば終わりです。これまで表示作成は、法令に精通している社員に負荷が集中していました、今は誰でもできる「標準化された業務」になりました。

導入効果5.「原料の選択肢が増える。開発期間に余裕ができる」

— 導入効果5.「原料の選択肢が増える。開発期間に余裕ができる」とは。

従来、原料規格書は4工場で個別管理をしていました。現在、一元管理ができるようになったことで、それぞれの工場で使っている原料が簡単に「見える」ようになりました。これまで工場間において、原料の調達ルートの新規開拓や規格書収集などの重複していた手間もなくなりました。
これは小さな改善に見えますが、レシピを考える立場からすれば、このような効率化によって、原料の選択肢が増え、開発期間に余裕が持てるようになります。商品開発は期限との闘いなので、地味なようでこういう時短は嬉しいです。

先行ユーザーからのアドバイス

— 現在、MerQuriusを検討している企業向けに、先行ユーザーとしてアドバイスなどあればお聞かせください。

2点あります。

【一体感のあるベンダーを選ぶ】

システムは「一体感のあるベンダー」から導入したほうがよいと思います。どのベンダーも「一体となってやります」と言うかもしれません。しかし、実際に、製品トライアルやSEによる支援など、制度や体制が充実しているかが重要です。もう一つは単純に「よく連絡してくる会社、よく来る会社」でしょうか。弊社は大分県にあり、JFEシステムズの拠点がある東京からは遠方です。しかしJFEシステムズは九州地区のパートナー企業と連携して、頻繁に来訪し、導入をサポートしてくれました。

【システム導入は小さく始めてもよい】

はじめからMerQuriusシリーズを全体導入できればよいですが、予算や社内体制の関係で難しい…という場合は、まずMerQurius Netを先行導入し、原料関連の合理化から小さく始めてもよいかもしれません。特に原料規格書を収集するのは、想定以上に時間がかかる場合もありますので、全ての原料規格書を揃えてから、その先を検討しても遅くはないと思います。

今後の期待

— JFEシステムズへの今後の期待をお聞かせください。

フンドーキンは、引き続き、おいしい醤油、おいしいみそ、調味料をつくりつづけ、みなさまのお役に立てる企業でありたいと考えています。JFEシステムズにはそうした弊社の取り組みを優れた製品、提案、サポートを通じて支援いただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。

- お忙しい中、貴重なお話しをありがとうございました。

※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。

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