尾西食品株式会社尾西食品株式会社 様

取材日:2023年08月

MerQurius
導入事例

業種
食品
キーワード
  • 食品業向け 統合データマネージメント
尾西食品株式会社

尾西食品では、自社商品情報のスムーズな連携を目指してMerQuriusを導入。
品質保証業務を効率化し、少人数で原材料・商品情報管理を行っています。

尾西食品株式会社(以下、尾西食品)は、アルファ米を中心とした長期保存食を製造・販売する食品メーカーで、国内の防災食品でトップシェアを誇ります。高い品質の同社アルファ米は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙日本食にも採用されており、国際宇宙ステーション(ISS)にも供給しています。尾西食品では、品質情報管理システムのリプレイスにあたってMerQuriusを採用。その経緯と効果について、同社取締役 商品開発部長 伊藤 秀朗氏(写真右)、同部 管理栄養士 三宅 由紀恵氏(写真左)に詳しく伺いました。

アルファ米のパイオニア、尾西食品

— 尾西食品について教えてください。

尾西食品はアルファ米を中心に、ライスクッキー、パン、米粉めん等の長期保存食を製造、販売している食品メーカーです。アルファ米は当社の創業者が潜水艦の水兵だった時、艦内の食事経験から、せんべいやビスケットをヒントに、1944年、軍事用食糧として初めて開発しました。終戦後は非常用保存食に用途を変えて全国の自治体や民間企業様へ納品させていただいております。これまでの非常食は“空腹を満たす”ことが最優先で、食味は後回しにされていましたが、当社は美味しいアルファ米の提供を目的に製品開発を重ねてきました。同時に長期保存や災害時の配布などを考え、コンパクトで軽量な製品を目指して工夫してきました。最近はSDGs(持続可能な開発目標)やイスラム教の戒律に則った(ハラール)製品の開発など、社会の変化にスピーディーに対応するようにしています。

また、社会貢献の一環として、小学校などで防災教室を開催し、未来を担う子どもたちに防災や備えの大切さを体験しながら知ってもらい、いざという時に周りの人と助け合いながら、自分たちを守っていくことの大切さを理解してもらう活動も行っております。

設立1935年、資本金3,000万円、従業員数137人(2023年4月時点)

— 非常食を製造する上で、どのようなことに気をつけていらっしゃいますか。

尾西食品の製品の大部分は5年半の賞味期間を有しています。当社製品は乾燥食品なので基本的に腐敗の心配はありませんが、経時変化(酸化、風味、色調の変化)はどうしても発生してしまうので、機密性の高いパッケージと脱酸素剤を入れることで長期保存性を実現しています。それ以外に、時には原材料メーカーに長期保存可能な様に開発を依頼することもあります。例えば、しょう油は時間が経つと黒ずみやすいですが、黒ずみにくい醤油を開発してもらうなど、原材料と資材の組合せで保存性がアップするようにしています。

その他、混乱した災害発生時でも安全に食べられる製品作りをしています。例えば、アレルギー疾患を持っている方でも安心して召し上がっていただけるよう、アレルゲンの特定原材料等28品目不使用の製品については専用の包装室、包装ラインで包装し、コンタミネーションの防止まで徹底しています。

【尾西食品の商品】

【尾西食品:商品】

尾西食品のMerQurius活用法

— 尾西食品ではMerQuriusをどのようにお使いですか。

尾西食品では、自社の原材料情報・商品情報を一元管理するために、MerQurius Net と MerQurius Entry Edition(以下、両者を併せてMerQurius)を活用しています。管理している情報は原料規格書、製品規格書、配合情報、表示情報、商品カルテです。

2020年12月には、原材料情報を収集するためにMerQurius Netを導入し、2021年1月には商品情報を一元管理するためにMerQurius Entry Editionを導入しました。 サプライヤーから原料規格書をMerQurius Net経由で提出してもらい、収集した原料規格書データをMerQurius Entry Editionに連携して、情報を更新/照会し、自社の商品カルテ(商品規格書)を作成しています。

【尾西食品のシステム概要図】

【尾西食品:システム概要図】

MerQurius導入の経緯

— MerQurius導入に至る経緯について教えてください。

尾西食品では2017年頃から、事業拡大に伴い製造する商品点数が増加したことで、得意先から依頼される商品カルテの件数も増えました。従来使っていた品質情報管理システムは手作業で対応する部分が多く、業務負荷は高くなる一方でした。対外的な品質保証業務は商品開発部が担っていましたが、本来の開発業務にも支障を来す状況になっていました。そこで当時抱えていた課題でもある、以下の3点の実現を目的として、品質情報管理システムを刷新することにしました。

1. サプライヤーから原料規格書を収集する際の工数の削減
2. 得意先に提出する商品カルテの迅速な作成
3. 照合の負荷軽減と正確性の担保

取締役 商品開発部 部長 伊藤 秀朗氏 「原料DB以外も整備して、さらなる工数の削減を目指したいと思います」
伊藤 秀朗氏

— 「原料規格書を収集する際の工数の削減」とは具体的はどのようなことですか。

従来、原料規格書をサプライヤーから取り寄せるにあたっては、個別に希望納期を添えて、メールで依頼していました。サプライヤーから更新版が届いた後は、更新履歴に従って内容の確認を行い、変更内容について他部門と共有し、当社製品規格書の更新を進めていました。すぐにサプライヤーから送られてこない場合は再度メールを送って催促し、それでもレスポンスがない場合は電話をかけて依頼していました。そのため、必要な情報が揃うまで時間と手間がかかりました。当社のような少ない人員で、依頼、催促、受入れ作業をマネージメントする、それも商品開発業務をこなしながら進めるには、従来システムでは困難だと感じていました。

— 「商品カルテの迅速な作成」とは具体的にはどのようなことですか。

得意先との商談が進めば、営業担当から新規商品カルテの作成を依頼されます。商品カルテは得意先ごとのフォーマットにあわせて一から作成する必要があり、最終的な確認作業まで含めると1アイテムあたり約5時間かかっていました。それで、やっと終わったと思ったら、他の営業担当から依頼が来る状態で、商品カルテの依頼が集中する時期は、この作業で忙殺されていました。

得意先の要求する商品カルテを完成させるには尾西食品が有していない詳細な情報が必要になることもあり、サプライヤーや場合によってはさらにその先のサプライヤーにも確認していました。

このような事情から、得意先への商品カルテの提出に多大な時間を要していました。

— 「照合の負荷軽減と正確性の担保」とは具体的にはどのようなことですか。

サプライヤーから再提出された原料規格書には、内容が更新されていても変更履歴の記載が抜けているものもあります。以前に変更履歴の記載がないものは変更がないものとして扱ってしまい、後から指摘を受けてしまったこともありました。そのためすべて目視で確認する必要があり、差分チェックに時間が取られていました。また、変更が見つかった場合、サプライヤーの転記ミスの場合もあり、変更理由の問い合わせにも時間がかかっていました。
得意先から商品カルテの提出依頼があった際は、社内で管理している商品情報を参照しながら得意先のフォーマットに手入力していました。確認作業を経て、その情報を基に得意先の商品カルテを提出したところ、前回の提出内容と異なる点を指摘され、遡ってみると、当社にチェック漏れがあったことが分かり、得意先にご迷惑をおかけしたこともありました。
転記ミスを防ぐために最後には複眼でのチェックをするなど、さらに時間がかかる様になってしまったことと、それでも“チェック漏れがあったらどうしよう”という不安が常につきまとっていました。

当時、これらの業務は商品開発部が担当していましたが実務者が2名しかおらず、かなりの業務負担となっていました。

トライアルを行って、効果を予測し上申

— 品質情報管理システム刷新にあたって製品の比較検討はどのようにされましたか。

実は、旧システム導入時にもMerQuriusの検討をしていました。しかし当時、MerQuriusは必要以上の機能があり、費用対効果があわないと判断し、導入を見送ったという経緯があります。しかし、前述のように製造する製品点数が増え、また、世の中の食品の安全・安心に対する関心が高まり、より正確な情報管理が求められるようになったため、従来の品質情報管理システムでは対応が難しくなりました。

少ない人員でそれらの課題を解決し、求められる情報を正確に収集・管理するためにはMerQuriusが最適だと判断しました。導入前にトライアルを実施し、実際の操作方法や機能について確認するとともに、効果の予測や移行期間の目処がたてられたことで、MerQuriusの導入を決定することができました。

— 期待効果をどのように見積りましたか。

上申のポイントとして、以下の効果と移行スケジュールを見積りました。

商品開発部 管理栄養士 三宅 由紀恵氏「MerQuriusには海外へ輸出する際の表示にも対応してもらえると嬉しいです」
三宅 由紀恵氏

・ 原料規格書情報の登録、製品規格書・商品カルテの作成にかかる作業時間が短縮できること

従来は一連の作業に年間9ヶ月かかっていた原料規格書情報の登録、製品規格書・商品カルテの作成がMerQurius導入により4ヶ月に短縮される試算となり、商品開発に注力できるようになると期待しました。

・ 営業部門に入力してもらう作業がなくなり、営業力強化につながること

従来は商品カルテの一部の情報を、営業部門にも協力して入力してもらっていました。営業部門との分業制により、作業時間が少しは軽減されましたが、一方で、営業の活動力を弱めてしまいました。
MerQuriusには自動転記機能があるため、作業時間が大幅に削減でき、転記ミスを防いで完成させることができます。そのため、営業部門に入力してもらう作業がなくなり、営業活動に専念してもらえます。

・ 移行期間は2年間必要なこと

少人数の商品開発部では専属の移行作業担当者を置くことができないため、MerQuriusへの完全なデータ移行に2年はかかることを事前に経営層に知ってもらう必要がありました。

MerQurius導入の効果 ~原材料情報を工数をかけずに容易に取得できるように

— 導入効果について教えてください。

現時点ではまだ完全移行はできていませんが、それでも以下のような効果を実感しています。

1. 原料規格書情報の取得・更新の工数が減った

MerQuriusは、原料規格書の情報が必要なときは簡単に、サプライヤーに依頼メールの一斉配信ができ、提出有無の管理も容易になります。また、原料規格書の変更履歴も取得できるため、照合負荷も軽減しました。

2. 商品カルテの作成時間を短縮でき、正確性もアップした

得意先から商品カルテの作成依頼がきても、得意先のフォーマットにあわせて必要な情報を自動転記することができるため、精神的負担もなくなり正確な商品カルテを提出することができるようになりました。

3. 社内での情報共有が容易にできるようになった

MerQuriusは権限設定で照会できる内容を定めることができるため、機密情報の流出を防止しつつ社内に情報共有を図ることができます。これまで他部門に情報を共有するときは公開可能な情報のみを抽出して渡していましたが、現在は誰でも必要な時に最新情報を参照することができるため、双方の時間短縮につながっています。これにより、お客様からのお問い合わせについても、検索機能を使うことで知りたい情報に素早くたどりつき、お客様対応も迅速になりました。

これからのことですが、例えば、製品規格書作成についても、原材料配合情報などは商品開発部門が、品質保証に関する情報は品質保証部門が、製造に関する情報は製造部門が入力するなど、業務分掌に基づいた入力を行い、これまでの他部門に聞いて回って入力するような作業をなくし、結果として規格書作成のさらなる効率化と精度向上を期待しています。

先行ユーザーとしてのアドバイス ~余裕を持ったスケジュール設定を

— これからMerQuriusを検討するユーザーに対してアドバイスがあればお願いします。

現行システムから移行するための期間は、通常業務をこなしながら移行作業を行う前提で十分に余裕を持ったスケジュール設定をすることをお勧めします。
MerQuriusは一部門だけで使用するシステムではなく、複数部門にまたがって使用するシステムなので、これから導入を検討される場合、関連部門も事前に理解共有しておくことや、JFEシステムズとの打ち合わせにおいては、関連部門も参加して、各部門が当事者意識をもって検討・進めていくことが重要かと思います。

JFEシステムズのサポートと今後の期待

— JFEシステムズのサポートはいかがですか。

どのように操作/登録すればよいか迷った場合、マニュアルから知りたい入力方法を探すのは難しいですが、サポートデスクに電話をすると分かりやすく教えてもらえますし、「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うようなことでも丁寧に回答してもらえます。その場で解決できないことも調べてすぐに返答をもらえるので、とても助かっています。

— JFEシステムズに対する今後の期待をお聞かせください。

JFEシステムズの手厚いサポートのお陰で、少しずつ想定した効果が出始めています。MerQuriusで社内の商品情報がスムーズに連携できるように、体制を整えつつ移行作業を進めていくつもりです。将来的には、資材を含めたすべての原材料情報についてもMerQurius上で統合管理できるようになれば、より使いやすくなると考えています。今後もより使いやすいMerQuriusにしてもらえれば有難いと思っています。

- お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

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