DOWAメタルテック株式会社DOWAメタルテック株式会社 様

取材日:2021年10月

Microsoft Dynamics 365 Supply Chain Management
導入事例

業種
非鉄金属
キーワード
  • ERP
DOWAメタルテック株式会社

JFEシステムズは、プロセス製造業の業務とMicrosoft Dynamics 365製品の双方に精通しており、予算内でDOWAメタルテックの必要とする機能をシステムに実装できるようさまざまな提案をしてくれました。

DOWAメタルテック株式会社(以下、DOWAメタルテック)は、Dynamics 365 Supply Chain Management(以下、Dynamics 365)を活用して、販売管理システムをリプレースされました。その経緯と導入効果について、金属加工事業部 第2営業部 部長 土井篤氏(右端)、同第2営業部 電子材料グループ 主任 大石記子氏(左端から2番目)、同第2営業部 コネクター材料グループ 主任 池田竜也氏(右端から2番目)、同企画・管理部 部長 行吉隆氏(左端/取材当時)、同企画・管理グループ 加藤志歩氏(中央)に詳しく伺いました。

DOWAメタルテックの伸銅事業に関して

DOWAメタルテックで行っている伸銅事業は、1919年藤田鉱業株式会社(DOWAホールディングス(株)の前身)の豊崎圧延工場(大阪市)として操業を開始しました。その後、1975年に静岡県磐田市に拡張移転し(現DOWAメタル株式会社)、2007年には同じ磐田市内に拠点を置くDOWAメタニクス株式会社がグループに加わりました。伸銅品条とは、銅または銅に別の金属を加えた合金を溶解鋳造し、圧延・焼鈍・洗浄を繰り返し、高導電性・引張強さ等の特性を持たせた薄い板をコイル状に巻き取った製品です。DOWAメタル製品は、DOWAメタルテック第1営業部が販売し、自動車・産業用途の端子材・コネクタ材に使用されます。第2営業部は、DOWAメタニクス株式会社で生産された製品を情報通信用途のリードフレーム材・コネクタ材用途で販売しています。また、海外展開も積極的に行っており、中国に2工場(上海、南通)、1営業所(深圳)、タイに2工場、台湾に1工場を有し、世界各国に優れた伸銅品条を提供しています。

銅合金

Dynamics 365を活用して販売管理システムをリプレース

― DOWAメタルテックでは、Dynamics 365をどのように活用されていますか。

DOWAメタルテックでは、2021年2月、第2営業部が利用する生産管理システムと売上処理を行うATOMというシステムを、Dynamics 365を活用してリプレースしました。 新システムでは、第2営業部が販売するスマートフォンのコネクタなど合計1,000点を超える製品の販売管理を行っています。システムの利用者数は20名です。

Dynamics 365の概念図

販売管理システムリプレース前の課題

- 販売管理システムをリプレースした理由を教えて下さい。

従来は、工場にあるAS400を使った生産管理システムで運用していました。しかしながら、生産管理の視点で構築された仕組みのため販売管理の機能は弱く、営業や経理の現場に負荷がかかっていました。

1.手入力が多かった

原材料である銅、ニッケルの値段は変動するため、仕入・販売価格を毎月更新する必要があります。しかし、価格マスタがなく都度手入力する仕組みであったために過去に遡って価格を調べて入力しなければなりませんでした。しかも、外貨対応もできていなかったので、円転金額をシステム外で計算する必要があり、その入力だけでも1日かかっていました。

また、手入力が多いため営業担当者、アシスタント、上長の3名のチェック体制で運用していました。それも帳票に印刷してのチェックでした。データの精度を人間で担保していたということです。

2.リアルタイムで情報を把握できなかった

営業担当者は、システム入力とは別にエクセルでの受注・外部倉庫在庫管理を行っており、業務が不効率かつ共有化されていない状態でした。よって、管理職も全体の受注・販売・在庫状況が把握するためには、ATOM、AS400と営業担当者が管理しているエクセル情報を組み合わせる必要がありました。

土井氏

「リプレースして承認作業の負荷が大きく減りました」土井氏

3.承認は紙と押印

承認は紙で行っており、受注、売上の全てで上長の押印が必要でした。上長の押印が必要な案件は紙にすると月1,000枚以上ありました。また、それらは最長12年間の保管義務があるため社外の倉庫に保管していましたが、書類を段ボール詰めするのにも時間と労力がかかっていました。

4.部門ごとにシステムが異なっていた

第1営業部はDynamics AXを使った販売管理システムを使用していましたので、人事異動があると全く別のシステムを覚える必要がありました。

以上のような課題を解決し業務の効率性を上げるために販売管理システムをリプレースすることにしました。

Dynamics 365を採用した理由
~データの一元管理による情報のリアルタイム把握

- リプレースにあたっての要件は何でしたか。

以下のことが実現できる製品を検討しました。

1.マスタ管理できること

今時時当たり前と言われそうですが、マスタデータがしっかり一元的に管理されていて、チェックも容易にできる仕組みであることが1つ目の要件でした。

2.正確なデータのリアルタイム把握と2次利用

誰もが、必要なときに正確なデータを取得できる仕組みにすることが2つ目の要件でした。また保存されているデータを2次利用して営業活動やマーケティング活動に活用したいという希望もありました。

3.承認業務をシステム化できること

承認業務をシステム化し、紙と押印から脱却することで事務負荷を軽減するとともに内部統制の強化を図ることも要件としました。

行吉氏

「独自に販売データを管理できるようになり、スムーズに処理できるようになりました」行吉氏

4.第1営業部のシステムと操作性を統一すること

第1営業部と第2営業部とでは扱っている製品が異なるので全く同じという訳にはいかないにしても、システムの操作性を極力統一することで人事異動があってもシステムの習熟に要する時間を短縮したいと考えていました。

5.工場の生産管理システムと連携できること

当然ながら工場側の既存の生産管理システムと連携できることも必須要件でした。

以上の5つの要件を最も満たしていたのがDynamics 365でした。第1営業部で利用していたDynamics AXも検討しましたが、Dynamics AXはメーカーのサポート終了が決まっていたこと、今回導入を検討していた販売管理システムは多くの部分を標準機能でカバーできること、Dynamics 365はクラウドサービスであるためオンプレミスで必要とされるシステムの運用(ハードウェアやデータの保守・管理など)のための自社要員を確保する必要がないことなど、Dynamics 365はDOWAメタルテックには最適であると判断し、採用を決めました。

JFEシステムズを選んだ理由
~プロセス製造業に精通しており、実績も豊富だった

- JFEシステムズをベンダーに選んでいただいた理由は何ですか。

大きく分けて以下の3つがその理由となります。

1.プロセス製造業のシステムに精通している

JFEシステムズは鉄鋼業を親会社に持つため、同業種であるDOWAメタルテックの業態をよく知っていました。言葉が通じるというのでしょうか。阿吽の呼吸ではないですが、細かく説明しなくても正しく理解してくれるその知見は高く評価できました。

2.DOWAグループ会社のシステム構築の実績があった

2つ目はJFEシステムズには、当社と同じDOWAグループ会社のシステムを構築した実績があったことです。グループ会社とDOWAメタルテックの業務フローは似ているので考え方として流用できる箇所もあり、素早く安定したシステムを構築できるのではないかと考えました。

大石氏

「手入力が大幅に減るとともにデータの正確性も向上しました」大石氏

3.Dynamicsを利用したシステム構築の実績が豊富である

3つ目はJFEシステムズにDynamics 365の前身であるDynamics AXの頃から同製品を利用したシステム構築の実績が多数あったことです。Dynamics AXがDynamics 365に変わっても製品の基本的なアーキテクチャーや業務への適用方法の考え方は変わりませんので、JFEシステムズには安心感がありました。

導入効果
~出力帳票は70%減、作業効率は30%アップ

- リプレースしてどのような効果が出ていますか。

大きく4つの効果が出ています。

1.ペーパレス化で帳票出力が70%削減

従来は売上処理の際は、伝票は2枚印刷して1枚をお客様に送付、1枚を保管という形でしたが、印刷対象を任意設定できるようになったこと、保管分はデータで保存できるようになったことから、印刷枚数は半分以下になりました。また、受注処理の際は、1注文につき受注メモ、発注メモの2枚の印刷が必要でしたが、システム上で管理できるようになりこちらは印刷枚数がゼロとなりました。その他も含めて全体で約70%の印刷を削減できました。

2.システム化により業務効率が向上

入力されたデータは一元管理されるため今まで発生していた2重入力作業が無くなりました。この業務での効率化率は30%と評価しています。また、売上明細の入力とチェック業務に関しては50%と評価しています。

業務効率の向上に伴い、月次決算処理時に発生していた残業もゼロ時間となりました。

池田氏

「今後、海外の出張先でも使えるようにしたいと考えています」池田氏

3.リアルタイムで必要な情報が把握できるようになった

在庫、売上情報などはリアルタイムで把握できるようになりました。更に乙仲(※)や海外の現地倉庫の在庫把握だけでなく、顧客と引き取り状況も共有できるようになりました。どの地域でどの製品が売れているのかといったトレンドの把握もできるようになったため、営業戦略も立てやすくなりました。

4.社内会議資料の作成負荷軽減

販売会議などの社内会議用の資料もシステムからデータを抽出してエクセルで2次加工するだけでよくなったので正確なデータに基づいた資料を短時間で作成することができるようになりました。

※乙仲:海運貨物取扱業者のこと

JFEシステムズの評価できる点
~システムと業務の双方を理解した上での提案力を評価

- JFEシステムズのサポートはいかがでしたか。

ITはもちろんですが、業界・業務に対する知見の高さとリーダーシップが素晴らしかったです。

また、要件定義を始める前に、JFEシステムズは第三者の視点でDOWAメタルテックの業務プロセスをチェックして見える化し、ひと目でどこがムダな箇所かを分かるようにして整理してくれました。自分たちでは気が付かない点も多く、とても参考になりました。

1.業界・業務で使う用語の説明が不要だった

まず、言葉の説明が不要だったのは大きかったです。ITにどんなに精通していてもプロセス製造業に詳しくないベンダーだと業界・業務用語の説明からしなければならず、まずは業務を正しく理解をしてもらうことから始めなければなりません。JFEシステムズはプロセス製造業の知見が深かったため業界・業務用語の説明は全く不要でした。そのため、リモートでの打ち合わせも効率的に活用でき、結果としてコスト削減にもつながったと思っています。

2.業務とシステムの双方に精通しており、かゆいところに手が届く提案をしてもらえた

次に、業務とシステムの双方に精通していたので、様々な制限・制約があるなかでDOWAメタルテックが必要とする機能を実現するのはもちろん、業務改善の提案、業務変更の提案、代替案の提案なども積極的に行ってくれました。

加藤氏

「1日かかっていた外貨対応も、今はレートを入力するだけですみます」加藤氏

3.生産管理システムとの連携を主導的に調整してくれた

プロジェクト全体を通して強いリーダーシップを感じました。特に工場の生産管理システムと今回構築した販売管理システムの連携では主導的に調整を行い、DOWAメタルテックが必要としている機能を実現してくれました。

今後の取り組みの予定とJFEシステムズへの期待

- 今後、どのような取り組みをされるご予定ですか。

現在はコロナウイルスの問題で海外での営業活動は難しい状況ですが、これが落ち着いてくれば海外での営業活動も活発になってくると予想しています。その際には海外でも販売管理システムを使ってリアルタイムにデータを活用できるようにしていきたいと考えています。

- JFEシステムズに対する今後の期待について教えて下さい。

JFEシステムズには今までと変わらない高い品質でのサポートをお願いしたいと思います。また、DOWAメタルテックが必要とする製品やソリューションの提案も積極的にしてもらいたいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。

- お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。

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