株式会社キャタラー株式会社キャタラー 様

取材日:2023年06月

SIDEROS FI TEMPLATE for Microsoft Dynamics 365
導入事例

業種
化学
キーワード
  • ERP
  • 会計
  • クラウド
  • 一元管理
株式会社キャタラー

Microsoft Dynamics 365 Finance + SIDEROS FI TEMPLATE for Microsoft Dynamics 365を標準導入し、新会計システムを8カ月の短期間で稼働。経理業務とシステム運用の効率化を実現。

株式会社キャタラー(以下、キャタラー)は、環境にやさしい自動車用排出ガス浄化触媒の国内トップシェアメーカーです。同社は10年近く利用してきた会計システムを、Microsoft Dynamics 365 FinanceとJFEシステムズの会計テンプレート(SIDEROS FI TEMPLATE for Microsoft Dynamics 365)を活用して刷新。システムの標準導入を推進し、約8カ月での短期稼働を実現しました。システム刷新の経緯と効果について、同社経理部 主担当員 漆畑元氏(写真左)、経理部 平松明香里氏(写真左から2人目)、DX推進部 担当員 鈴木啓仁氏(写真右)、DX推進部 担当員 永田亮氏(写真右から2人目)に詳しく伺いました。

導入ポイント

  • ・経営データの一元管理に向けて、会計システムからERP(基幹システム)の導入をスタート
  • ・システムの標準導入を推進し、標準機能の適合率約80%、短期導入8か月を実現
  • ・ユーザー部門である経理部全体が積極的にプロジェクトへ参画

キャタラーの業態

― キャタラーの事業内容について教えてください。

1967年創業のキャタラーは、自動車用排ガス浄化触媒を中心に空気や水を浄化する環境技術を開発し、50年以上にわたりグローバル規模で環境問題の解決に貢献してきました。近年は車両の電動化にも対応していくため、燃料電池電気自動車用電極触媒や、電動車両向け電池用炭素材料などの次世代技術にも積極的に取り組んでいます。

キャタラー本社

キャタラー本社

【Product Lineup】

Product Lineup

ERP化のきっかけと刷新前の課題
~個々の業務システムが独立し、非効率な運用だった

― 基幹業務システムについて、どのような課題を抱えておられましたか。

従来、生産管理領域のシステム強化を進める一方で、一般会計、債権・債務、販売、調達といった会計/ロジスティクス領域の業務システムには、それぞれ異なるパッケージ製品を利用して個別最適化していました。しかし、それによって、売上、仕入、原価等のデータをタイムリーかつ漏れなく一元管理することが難しく、データを活用するにも、個々の業務システムから抽出してExcelで集計する必要があり、レポート作成にも工数がかかっていました。

そこで経営データの一元管理に向けてERP化を見据え、会計システムから順次移行することにしました。また、今回のシステム更新を機に、ペーパーレス化を進めて業務効率を改善し、属人化していた経理業務の標準化に取り組むことにしました。

また、これまで各システム間のデータ連携の仕様書に抜け漏れも起きていたため、改めて確実に資料に残すことも重要なテーマでした。

Dynamics 365 Finance・JFEシステムズを採用した理由
~Microsoftのクラウドサービスの拡張性、Dynamics 365用会計テンプレートの保有

- Dynamics 365 Finance、JFEシステムズを採用した経緯をお聞かせください。

Dynamics 365 Financeの採用理由は、以下の2つです。

1.グループ海外拠点の一部ですでにDynamics 365を利用しており、機能や価格が当社の規模にマッチしていたこと

複数のERPパッケージ製品の中からMicrosoft Dynamics 365の会計ソリューション(Dynamics 365 Finance)を採用しました。キャタラーグループの海外拠点の一部で、すでにDynamics 365を利用していたことと、機能や価格が当社の規模にマッチしていたことが決め手となりました。

2.Dynamics 365以外のMicrosoft製品(Azure、Microsoft 365)との親和性と拡張性

キャタラーグループのグローバル生産管理システム(G-CPS)やその他の一部システムをすでにMicrosoft Azure上で運用しており、OfficeアプリとしてMicrosoft 365を利用していたこともDynamics 365の採用を後押ししました。既存のシステム環境との親和性、将来的に海外拠点も含めたデータ分析基盤を構築することも考慮しました。

また、JFEシステムズの選定に関しては以下の4つの理由となります。

1.SIDEROS FI TEMPLATE for Microsoft Dynamics 365を活用してクラウド環境で早期に導入可能

国内商習慣にフィットした会計テンプレートを活用することで、会計領域の標準業務機能を実装できると考えました。

2.充実したドキュメント類や、会計以外にも製造・原価のテンプレートを保有していること

漆畑氏

「RFPに盛り込んだワークフロー化やテンプレート化の要望、業務の標準化に向けた支援要請に対しても、精緻でわかりやすい回答をいただいたことを評価しました」
漆畑氏

3.Microsoft製品の導入実績が豊富で、メーカーと良好な関係を築いていること

4.営業担当のレスポンスの早さと熱意

海外製ERPパッケージ導入が初めての私たちにとって、導入前から不安なことやわからないことが多く、パートナーとなるベンダーには質問したいことが山ほどありました。それに対して最短時間での回答や、新たな提案をしてくれたのがJFEシステムズの担当者でした。

(図1)システム概要図

システム概要図

(図2)Microsoft Dynamics 365向け SIDEROSテンプレートシリーズ

Microsoft Dynamics 365向け SIDEROSテンプレートシリーズ

システム導入時のポイント
~経理部全体が積極的にプロジェクトへ参画し、標準導入を推進

- Dynamics 365 Finance導入プロジェクトの特長をお聞かせください。

プロジェクトは2022年8月にキックオフし、2023年4月1日より本稼働を開始しました。
8カ月という短期間で導入できたポイントは、以下の2つです。

1.SIDEROS FI TEMPLATE for Microsoft Dynamics 365の活用と「標準導入」の徹底

今回のプロジェクトでは、標準導入の方針を経理部全体に伝え、要件定義の場にも参加してもらって、コミュニケーションを深めていきました。そのため一人ひとりが新しいシステムに対応するにはどのように業務を変えたらいいか“自分ごと”と考え、多くの作業を見直してくれることになりました。最終的な標準機能への適合率は約80%となり、アドオン開発は補助科目の追加や外部システムとのインターフェース程度で収まりました。

2.経理部全員に早くからDynamics 365 Financeに触れる機会を提供

早い段階で経理部員全員にデモ環境を開放したところ、予想以上に皆の関心が高く、それぞれの業務がシステム刷新によってこう変わる、というイメージを早くから意識するようになりました。開発終了後のユーザーテストにも経理部全員が参加し、それぞれの担当業務の操作を十分に習得していたため、本稼働後もスムーズに移行することができました。

平松氏

「毎回の会議の記録や詳しい設計書などを丁寧に残していただけたおかげで、途中で道に迷いそうになったり、不安になったりした際も、自分のやるべきことが明確になりました」平松氏

- 非機能要件の開発全般を担当したDX部門ではどのような点に苦労されましたか。

販売、調達、原価管理、人事給与など、多岐にわたる周辺システムとの連携で想定以上に苦心しました。既存システムの仕様書がほとんどないため、連携先のシステムのプログラムやバッチの中身を調べ、データの流れのパターンや、連携を実行するタイミングなどを一つひとつ確認していく作業が発生しました。JFEシステムズから粒度の細かいテスト仕様書をいただき、漏れなく潰し込みができたことにより、抜け漏れのない周辺システムとの連携が実現しました。

プロジェクトの成功要因
~パートナーとの密なコミュニケーションで、状況理解と課題解決の早期化

- プロジェクトの成功要因について、どのようにお考えですか。

大きく以下の2つです。

1.JFEシステムズのSEとの密なコミュニケーション

SEの方との密なコミュニケーションが取れたおかげで、プロジェクト中に問題が発生してもその場ですぐに解決することができました。要件定義のフェーズから手厚い支援をいただき、プロジェクト中にFit&Gapが発生した際もGapを回避する代替案の提案を受け、プロジェクトメンバーと議論して進められました。

定例の打ち合わせが終わると、山のような調べ物の宿題が残り、当時はかなりハードでしたが、JFEシステムズから、いつまでに何をやるかといったタスクをわかりやすく表にまとめていただき助かりました。

2.JFEシステムズの高いプロジェクトマネジメント力

JFEシステムズ側が組織的に役割を明確化し、それぞれが責任を持って対応していただけたことで、この件は誰に確認すればいいか、いつまでに何をするべきか、ということがはっきりわかり、DX推進部としても動きやすかったです。

鈴木氏

「業務整理で脇道に逸れそうなところで手綱を引いてくれたことも、プロジェクトを8カ月で完遂できた要因になっています」鈴木氏

導入効果
~承認フローの適正化、ペーパーレス化、コスト削減、システム運用の効率化

- システムを刷新された効果について、教えてください。

以下の4つの効果が出ています。

1.承認フローの適正化による工数の削減

Dynamics 365 Financeの多段階承認機能を活用し、リスクと重要度に応じて承認を適正化しました。その結果、部長まで回っていた決裁案件は年間11,000件から約500件へと従来の5%程度に軽減され、重要度の高い審査に注力できるようになりました。

2.伝票単位でエビデンスが添付できるようになり、在宅勤務でも承認が可能

紙伝票による承認をなくし、ペーパーレス化を進めています。新システムでは電子承認を正として、紙伝票への押印は廃止しています。まずは仕訳伝票のペーパーレス化を推進中で、年間10センチファイルで2冊分が削減される見込みです。

3.まとめ支払による振込手数料の削減

従来、案件ごとに振込をしていた同一振込先・同一振込日の支払データを集約できるようになり、振込手数料を削減することができました。今後は未払金処理全体の作業改善を検討していく予定です。

また、海外送金に関してもデータを一括してマスタ登録することが可能になったことで、手作業の振込での桁数の多い通貨のダブルチェックや精神的な負担から解放されました。

永田氏

「会計システム導入がスムーズに行えたことで、経営管理のためのデータ分析基盤の整備が一歩進みました。今後、さまざまなデータを取り込みながら必要な情報を経営層や現場に迅速に提供できるよう検討を進めます」
永田氏

その他にも、Excel仕訳取込機能による仕訳計上工数の低減や、勘定科目体系の見直しによる集計の容易化など、経理業務全体としても工数削減が進んでいます。

4.クラウド化により、インフラ運用から解放

今回の刷新を機にシステム基盤をクラウド環境に移行したため、会計システムに関してはITインフラの運用負荷から解放されました。これからはユーザーの改善要望にリソースを振り向けられるようになりました。

今後の予定とJFEシステムズへの期待
~会計データの活用とERP導入領域の拡大

- 今後のご予定についてお聞かせください。

現在は、データ分析基盤の構築を進めています。データ分析基盤は、Microsoft Power Platform等を活用して経営層向けのダッシュボードやアウトプット用の帳票を作成し、収益管理や予実管理活動につなげていく予定です。また、会計システム以外の販売、債権・債務、購買領域についても、順次ERP化を進めていきます。

- 今後のJFEシステムズに対する期待について教えてください。

JFEシステムズには、周辺系のマイクロソフト製品との連携も含めて、引き続き業務の効率化につながる提案を期待しています。

- お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。

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