基幹システムのICT基盤を「JGranzハイブリッドクラウド」へ移行
県境を越えて都内のデータセンターへ移設し、ネットワーク再構築・データ移行を短期間で完遂
和洋のコンビニスイーツを製造・販売している株式会社プレシアは、基幹システムのICT基盤をJFEシステムズの
「JGranz IaaS」とストラタステクノロジー社の無停止サーバー「ftServer」を「JGranzハウジング」に持ち込み構内接続をするハイブリッドクラウドにリプレースしました。
ハイブリッドクラウドを採用した理由、データセンターの移設、スムーズな基幹システム移行のコツなどについて、同社 生産本部 システム課長 濱中章徳氏、同チームリーダー 瀬戸康平氏にお話しを伺いました。
お客様プロフィール
株式会社プレシア
- 本社所在地:〒222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜2-3-8 KDX新横浜ビル
- 設立:1994年10月
- 資本金:8,000万円
- 事業内容:パン、菓子類の製造及び卸業、デザート、洋菓子類の製造販売、冷凍調理食品の製造及び卸業、健康食品等の開発、食品の輸入販売
- 従業員数:850名(正社員・契約社員・パート社員含む)
- 売上高:159.5億円(2016年9月期実績)
- URL:https://www.plecia.co.jp/
プレシアの業態
- プレシアの業態について教えて下さい
当社はコンビニスイーツやスーパー、百貨店で販売されているケーキやデザートなどを製造している、和洋菓子メーカーです。お客様への感動を創造することを理念として掲げており、単なる菓子製造業にとどまらない活動を目指しています。
常時製造している商品は100~200品目ですが、スイーツやケーキは季節性が高い商品のため入れ替わりが多く、年間では1000品目以上を製造しています。
JGranzソリューション導入の経緯
- 「JGranzソリューション」を導入される前はどのような状況でしたか
2010年から千葉にあるデータセンターにサーバを設置し、基幹システム(受発注、生産管理、食品法規管理、管理会計、運用管理、人事給与管理)を運用していました。当時は売上規模も現在ほどではなく、仮に障害が発生してもシステム復旧までの間は帳票を使って対応すれば良いという方針のもと、サーバはシングル構成としていました。
しかし、当社の強みである洋生菓子は賞味期限が短いものが多く、在庫による生産、出荷の調整が難しいビジネスです。季節や天候による商品の販売変動など日々受注予測と生産キャパシティを勘案しながら計画修正をしており、年中無休24時間対応で製造・出荷をおこなっているため、もし長時間にわたるシステム停止が起これば生産計画全体に大きな支障をきたします。実際、サーバの老朽化によるハードウェア障害が発生しており、システムが継続して稼働できる能力である「可用性」を高める検討は避けられない状況でした。
一方、お取引先様の増加に伴い売上が増えたことで、保持データは膨大なものになりました。基幹システムのデータをビジネス分析に利用するなど、システムの活用度が高くなったことで利用ユーザ数も増え、そう遠くない将来、全体的なシステムの拡張が必要になると感じていました。
ICT基盤には可用性・拡張性・運用保守性が必要
- クラウド化を進めた理由を教えてください
課題となっていた「可用性」「拡張性」はもちろん、運用負荷軽減等の「運用保守性」も視野に入れて検討を進め、4つの理由からクラウド化の方針を固めました。
1.社内で保守体制を敷く必要がない
我々システム部門は少人数でITに関するすべての業務をこなさなければならない事から、日常的に保守・運用面にかけられるリソースは多くありません。そのため体力勝負にならない、少ないリソースで運用できる仕組みを作る必要がありました。
2.安定的な運用が可能
物理的な障害が発生すると、交換する部品が千葉のデータセンターに到着してからの対応となるので、復旧までに相当な時間がかかってしまいます。そのため、障害によってシステムが止まらない仕組みを構築する必要がありました。
3.クラスタ構成に比べ、コストが抑えられる
当社の目的である可用性を高めるためには、従来のシングル構成からクラスタ構成にする必要がありますが、単純にすべてのサーバを2系統にするとハードウェアの費用も2倍になり、高額になってしまいます。さらにサーバの耐用年数に従い、定期的にリプレースするという大きな投資が必要となります。その点、今回のクラウド導入と5年間にかかる運用トータルコストは従来のオンプレミスでシングル構成にしていた場合と同等で、費用対効果が高いと感じました。
4.システムの拡張性が高い
システムの活用度が上がるにつれ、今後もユーザ数やデータ量が急激に増加することが予測されました。そのため最適なリソースに拡張しやすいクラウドには大きな期待を寄せていました。
「クラウド化は我々にとって挑戦でしたが、大きなメリットを感じています」
濱中 氏
JFEシステムズのJGranzソリューションを選んだ理由
- 「JGranz IaaS」を選んだ理由は何ですか
基幹システムは8社あるグループ会社でも利用しており、当社のみならずプレシアグループ全体にとって重要なシステムです。そのため、まずは信頼して託せるベンダーの選択が重要だと考えました。JFEシステムズとは2010年の基幹システムの構築以来のお付き合いで、大きな事故もなく安定してサービスを提供して頂いています。当社の社風や業務も熟知されていますし、親身になって相談にのって頂ける印象があり、今回も価値ある提案を期待しました。
導入にあたっては、実際に「JGranz IaaS」のサービスを提供している「JGranzデーターセンター」に見学に行きましたが、非常に堅牢で、ICTサービスの質が高く、当社の目的に合致していました。
- 「JGranzハウジング」とのハイブリット構成にした理由は何ですか
クラウド化の検討を進める中で、既存のデータベースをクラウドに移行すると膨大なライセンス費用が発生することがわかりました。別のデータベースに乗り換えるとなればアプリケーションの改変が必要となり、検証や構築のために追加コストと期間がかかります。打開策として、「JGranzハウジング」にオンプレミスのサーバを持ち込んで「JGranz IaaS」とハイブリッド構成にすることを提案されました。方針決定には、「JGranzデーターセンター」内で安定した構内接続が利用できることが大きな後押しとなりました。
オンプレミスのサーバは複数案を比較検討した結果、コンパクトな仮想化プラットフォームとして最適、かつ、コスト面・運用保守面の優位性が高いストラタステクノロジー社の「ftServer」を採用しました。
- 「ftServer」の印象はどうでしたか
JFEシステムズから「ftServer」の提案をされた当初は、金融系企業等で採用される非常に高価な仕組みと言うイメージを持っていたためコスト的に無理ではないかと思いました。しかし、提示された見積金額は当初のクラウド移行予算内に収まっており、これなら当社でも導入できると思いました。
データベースは基幹システムの要です。「ftServer」はCPU、メモリ、ディスク、電源などすべてのコンポーネントが2重化されており、障害が発生した場合は瞬時に障害箇所が切り離され、OSやアプリケーションに影響を与えることなくシステムは稼働し続けます。さらに、システムを止めることなく部品交換が可能で、タイムラグやデータロストが回避できるサーバという説明を受け安心しました。
システム構成図
※「ftServer」はストラタステクノロジー社が提供する無停止型サーバです。
ストラタステクノロジー社サイト掲載の株式会社プレシア様のftServer導⼊事例はこちらです。
(ストラタステクノロジー社のサイトへ移動します。)
基幹システムのICT基盤の移行にあたって注意したこと
- ICT基盤の移行にあたり、どのような点に気をつけられましたか
まず、お取引先様や社内の業務に支障をきたすわけにはいかないので、移行のための基幹システムの停止時間を最小限に留めることです。
次に、移行後の業務が滞ることがないよう、ユーザが従来通りに利用できるようにすることです。ICT基盤の移行をユーザが意識することなく、PC上にあるいつものアイコンをクリックすれば同じ手順でシステムを利用できるようにしたいと考えていました。
最後に、我々システム部門の限られたリソースで移行を完了できるよう段取りを組む事です。
- 具体的に、どのような対応をされましたか
まずアプリケーションごとに移行に必要な停止時間、重要度、他システム連携を整理・分析しました。データセンターを移設することでIPアドレスやEDI通信機器の電話番号が変更になり、お取引先様にも影響がでる可能性がありました。さらにネットワーク構成が変わることで通信遅延等の心配もあったので、業務に致命的な影響が出ないよう、確認するべき事項をピックアップしていきました。
当初、データ移行はネットワーク経由で実施することを考えました。しかしデータ量等を考慮すると短時間で全てを移行することは現実的ではありませんでした。そこで、短時間のシステム停止で移行できるものはネットワーク経由でおこない、その他は千葉のデータセンターでデータをエクスポートし、東京にあるJGranzデータセンターまでハードディスクを運搬することにしました。そのため一時的に千葉のデータセンターのLANをJGranzデータセンターまで延伸し同一のネットワーク環境を構築しました。
「JFEシステムズのサポートで、移行がスムーズにおこなえました」
瀬戸 氏
業務を「止めない」ことを最優先とした結果、ハードディスクでのデータ移行は基幹システムを関連サブシステム群に分け、3日に分けて実施することにしました。分けたことで必要になったサブシステム群間でのデータ連携は、延伸したネットワークを活用して対応しました。3日に分けることで一般的にはリスクが増えますが、事前テストと実地リハーサルのおかげで予備日を使うことなく予定通り回線切り替えと旧サーバーの廃棄も完了することができました。
- スムーズにICT基盤を移行するためのコツについて教えて下さい
事前にJFEシステムズが構築したテスト環境で、統合テスト、外部接続テスト、切り替えテスト、ミドルウェア・アプリケーション等の稼働確認、冗長化テスト等、できる限りのテストをおこないました。事前準備を綿密にしたことで、移行当日は非常に短時間で終了することができました。
ハードの運搬に関しても実地リハーサルが大きかったと思います。通常だと見落としがちな細部までチェックしました。たとえば担当エンジニアの方が実際の運搬ルートを移動してみて、安全かつスムーズに移動できることを事前確認して頂きました。システムを止められるのは夜間のわずかな時間というタイトスケジュールで、本番時に想定外の事象ができるだけ起こらないよう前もって体験しておくことが重要だと考えました。
データセンター移行イメージ
JGranzソリューション導入の効果
- JGranzソリューションの移行効果はいかがですか
「JGranz IaaS」はもちろんのこと「JGranzハウジング」内の「ftServer」により、ハード障害によるシステム停止の不安がなくなったことは、業務面でも心理面でも大きなメリットだと思います。
運用管理は継続して「JGranzマネージドサービス」を利用していますが、今のところ運用報告書が届くだけで障害の報告はありません。何より、クラウド化のメリットを享受しながら特にトラブルもなく活用できていることが最大の効果です。
- JFEシステムズの対応はいかがでしたか
細やかな対応でアプリケーションベンダーやキャリアとの調整をして頂きました。業務調整の場面では逆に我々へ作業時間変更の提案など、当社のリソース不足を補ってくれました。当社だけではこれだけ短期間、かつ制約条件が多い中での移行は到底実現できません。非常にありがたい存在だと感じました。
今後の取り組みとJFEシステムズへの期待
- 今後の取り組みについて教えてください
事業規模の拡大、新事業への取り組みなど、当社がどのような状況になっても、それを下支えすることができる基幹システムにしていきたいと考えています。そのためにはICT基盤自体のさらなる整備も不可欠ですし、周辺環境も整える必要があります。特に、食品法規管理システムのテスト環境を充実させてシステム企画に活かしていくことと、社内に一部残っているシステムのクラウド移行の検討を進めていきたいですね。
- JFEシステムズに対する期待について教えて下さい
当社は2016年10月にエア・ウォーターのグループ会社になりました。これからはエア・ウォーター企業グループの一員としてグループシナジー効果を最大化し、より大きく事業展開していきたいと考えています。それに伴い、ICT基盤もさらに強くフレキシブルな仕組みが必要です。JFEシステムズには有益で適切なアドバイス、ご提案を今まで以上にしてもらいたいと考えています。今後ともよろしくお願いいたします。
- お忙しい中、貴重なお話しをありがとうございました。
※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。