新聞紙面データベース化支援クラウドサービス基盤としてJFEシステムズのクラウドサービス「JGranz」を採用!
考えていた以上のサービス基盤を短期間で構築できました
ドキュメントサービス、マルチメディア開発、設計サービスなど多様な事業領域を手がけるミウラのCSカンパニー。CSカンパニーは新聞紙面電子化事業の一環として、2015年10月に新聞紙面データベース化支援クラウド「タグーン」の提供を開始しました。「タグーン」構築の経緯とシステム基盤に「JGranz」を採用した理由、その効果についてCSカンパニー社長 笹部昌宏氏(写真中央)、同 DSソリューション部 部長 山本純一氏(写真左)、同 DS特命プロジェクト プロジェクトリーダー 野見山浩氏(写真右)にお話を伺いました。
お客様プロフィール
株式会社ミウラ
- 本社所在地:〒730-0054 広島県広島市中区南千田東町3番9号
- 設立:1957年12月24日
- 資本金:9,000万円
- 従業員数:398名(内パート88名)(2015年10月31日現在)
- 年商:48億円(2015年10月期)
- 概要:ICTソリューション、ドキュメントソリューション、メディカルソリューション、プラント設計/装置製造、パッケージソフト開発・販売、バッテリー再生サービス
- URL:http://www.kkmiura.com/
ミウラCSカンパニーの業態
- ミウラCSカンパニーについて教えて下さい
ミウラは、工業用写真会社として創業しましたが、現在は、システム開発を中心に印刷・製本・設計・製造など、様々な分野に進出しています。展開業務が多様なため、業務領域ごとに社内カンパニー制を敷き、合計4つの社内カンパニーを設けています。鉄鋼関連および制御系のシステムを担当する第1システムカンパニー、通信会社関連と人工衛星事業を含むシステムを担当する第2システムカンパニー、装置関連を扱うミウラテクノカンパニー、そしてCSカンパニーです。
CSカンパニーは、多業種に展開するミウラの縮図のような部門で、ドキュメントサービス、マルチメディア開発、医療情報支援、設計サービス、機器販売など多方面に展開しています。中でも、ドキュメントサービス、マルチメディア開発、設計サービスがCSカンパニーの主要な柱となっています。
「JGranz」を使って、新聞紙面データベース化支援クラウドを構築
- 「JGranz」をどのように利用されていますか
新聞紙面データベース化支援クラウド「タグーン」のクラウド基盤として活用しています。「タグーン」は、ドキュメントサービス事業の1つとしてCSカンパニーがプラットフォームを構築したクラウドサービスです。過去の新聞紙面をデータベース化し、効率的かつ正確に過去の記事を検索するためのものです。2015年10月にサービスインし、現在、2社でご利用のほか、多数の新聞社様と商談中です。
図1.タグーンの操作画面
注)表示しているデータは新聞記事をイメージして制作したものです。
- 「JGranz」を検討するに至った経緯について教えて下さい
クラウドサービスである「タグーン」のサービスイン以前は、新聞社様に、自社開発した新聞記事のデータベース構築作業を行うシステムを提供していました。1998年に開発したこのツールは、当初は各新聞社様とも共通でしたが、利用する新聞社様毎に機能の追加や変更を繰り返した結果、各社のシステムは全く異なったものに変化しました。そのため、システムの改修を新聞社様毎に行う必要があり、システムの運用面で非効率的でした。
図2.「タグーン」のクラウドサービス構成図
また、データベースに登録するには多くの作業工程が存在し、また新聞社様とのデータのやり取りもDVDで行う必要がありました。関係者間でデータのやり取りを行う度にDVDが増えるため、最新のデータがどれか直ちに判断できず、古いデータが入ったDVDを最新のものだと勘違いして作業してしまうこともあったり、また、データ破損時に備えてバックアップを取っていましたが、バックアップを保管しているハードディスクが多くなり、管理が煩雑になり、保管場所に困るといった状況も発生していました。
さらにDVDの受け渡しは郵便や一般的な運送会社を利用しており、途中での紛失・盗難といったリスクもありました。データベースには、1つの記事につき数十件の関連キーワードが登録されています。記事件数は100万から120万程度ありますので、合計すると5,000万から6,000万語が登録されていることになります。これらの関連キーワードは各新聞社様の知的ノウハウであり、その保全のための対策も必要でした。
一方、そのような課題とは別にUNIXサーバーの老朽化更新の問題もありました。こちらは新聞社様に、より安価にシステムをご利用頂けるようにLinuxへの移行を決めました。そこでサービス基盤を独自に構築する必要がありましたがクラウドサービスであれば、インフラを持つ必要がないので、運用管理に人員を割く必要がなく、また今必要なスペックを選べるので、導入費用も抑えることができます。そこで、クラウドサービスを利用して構築することにしました。
「デッドラインの決まったタイトなスケジュールでしたが、JFEシステムズのサポートのおかげで無事サービスインできました」
笹部 氏
クラウドサービス基盤選定の7つの要件
- クラウドサービス基盤の選定にあたって、どのような要件を立てましたか
①タグーンのサービス停止時間を最小化できること、②事業規模にあった適切なサイズでスタートできること、③必要な機能・サービスが標準で提供されていること、④スケジュールが厳守できること、⑤導入・運用にあたって担当者の負荷が少ないこと、⑥サービスベンダーの信頼性が高いこと、⑦データセンターの安全性を確かめられることの7つの要件で複数のサービスを比較検討しました。
- 各要件について具体的に伺います。タグーンのサービス停止時間を最小化できることとは
先ほど述べたように、データベースは新聞社の長年にわたる知的ノウハウの集積で、機密性が高いものです。また、過去の新聞記事を電子化してキーワードを付与することでデータベース化した情報をDVD化して販売したりインターネットでの記事検索サービスを提供している新聞社様もあります。そのため、万が一にも、データが破損したり消失してしまうと、多額の損害賠償が発生しかねません。さらに、クラウドサービスベンダーとしての信頼性を確立するために、サービスの停止は予め告知した時のみに限定したいと考えていました。これらを考慮すると、タグーンのサービス停止時間は最小化が必須でした。
- 事業規模にあった適切なサイズでスタートできることとは
「タグーン」を立ち上げるにあたって過大な投資をするつもりはなく、まずは身の丈に合った構成でスタートしたいと考えていました。とはいえ、従来のサービスよりクオリティを下げないようにも気をつけていました。そのため、ハードウェア構成を自由に選んで柔軟に組み合わせることができ、将来的に増設も容易に行えるサービスを選ぶつもりでした。
- 必要な機能・サービスが標準で提供されていることとは
世の中には標準の機能・サービスを最低限に抑え、コストを小さく見せ、オプションとして様々なものを付加するサービスもありますが、実際には様々なオプションサービスをすべて盛り込んで判断する必要があります。たとえばデータのバックアップは必要不可欠です。通常、必要とされているものは標準で提供されている、良心的なサービスを選びたいと考えていました。
- スケジュールが厳守できることとは
UNIXサーバーの老朽化による機器更改時期の関係上、その保守サービスの終了期間前の2015年10月にはサービスインする必要がありました。「タグーン」の構築を検討していたのは同年5月でしたが、その遅れは許されませんでした。
しかも、我々ではこのような大規模なプラットフォームを構築した経験がなかったので、できるだけスムーズに導入でき、運用にこぎ着けることができるサービスを必要としていました。
「今後、サービス基盤を拡大するにあたっては、JFEシステムズと協業して行きたいと思います」
山本 氏
- 導入・運用にあたって担当者の負荷が少ないこととは
スケジュールがタイトなことに加え、先ほど述べたようにサーバー環境のクラウドへの移行が初めての経験であるため、導入担当者の負荷が過大になることが予想できました。よって、導入・運用ともに、担当者の負荷を軽減できるようなサービスを利用したいと考えていました。
- サービスベンダーの信頼性が高いこととは
どのサービスも信頼性をうたっていますが、トラブル発生時に、どのような対応をしてもらえるのかが極めて重要です。親身になって迅速に対応してもらえるベンダーのサービスを選びたいと考えていました。
- データセンターの信頼性を確かめられることとは
海外にデータセンターを持つベンダーや国内に持つものの所在を明らかにしないベンダーもありますが、エンドユーザ様に提供するサービスに利用するため、セキュリティの観点から、それでは不安が残ります。エンドユーザ様に安心して薦めるために、実際に見学して、電力の供給設備、建物の地震や水害などの災害対策、入退出のセキュリティ性など自分たちの目でそれらの安全性を確かめられるデータセンターであることも条件にしました。
- 「JGranz」を選ばれた理由は何ですか
「JGranz」は標準でサーバーが二重化になっており、障害発生時には自動的に切り替わる仕様だったので、サービスが停止するリスクを最小にする高い信頼性を確保できました。サービスの規模に必要十分なスペックを選ぶことができ、将来の拡張性を妨げることがありませんでした。
また、JFEシステムズの担当者たちは我々の状況に合わせ適確にかつ、レスポンス良く対応するサポート体制がしっかりしていたので短期間であっても「タグーン」のサービス基盤を構築してサービスインできそうだといった安心感がありました。データセンターも国内にあり、実際に現場を見学させてもらうことができ納得しました。これらの理由から「JGranz」を採用することにしました。
障害発生に備えたハード・ソフト両面での工夫
- サービス基盤の導入に際して、どのような点を工夫されましたか
障害が発生しても「タグーン」のサービスが継続できるよう、そして、できるだけ迅速に障害対応できるよう、ハード・ソフト両面で工夫しました。まず、ネットワーク機器が壊れた場合、予備機と交換すればサービスを提供し続けられるように2重化し、障害発生時に備えました。
次に、障害発生時の連絡体制を確立させ、万が一、担当者がいなくてもタイムロスが発生しないようにしました。具体的には、対応マニュアルを作成して所定のキャビネットに備え付け、それを見れば誰でも連絡手順がわかるようにするとともに、お客様から障害発生の第一報が入った場合、担当者が不在であってもJFEシステムズの運用サポートセンターであるJGranzマネージメントセンターに迅速に連絡が届くように複数の連絡ルートを設けました。
「ヒアリングシートにて、私たちの考えを私たち以上に理解した上で提案してもらえたので、とても満足できるものに仕上がりました」野見山 氏
導入の3効果~安定性・速度アップ・業務効率改善
- 「JGranz」を採用して、効果のほどはいかがですか
考えていた以上のサービス基盤ができ上がり、様々な面で効果が出ております。主要な効果を3つ挙げると、まず一番の効果は、サービス開始後、障害発生もなく安定して稼働していることだと言えます。万が一に備えて2重3重の連絡体制を確立しましたが、今のところ一度も利用したことがありません。
2つ目は、システムの検索速度がアップしたことです。オフィスからだけでなく、外出先から利用した場合でも体感速度が速くなっています。
3つ目の効果は、業務効率のアップです。インフラの運用が不要になり、また、JFEシステムズに障害発生時に最終的な対応をしてもらえるので我々の本来の業務に集中できます。さらに、新聞社様とのデータのやり取りに時間が掛からなくなったので、その点でも業務効率がアップしています。
- JFEシステムズの対応はいかがでしたか
JFEシステムズの提案は様々な面で素晴らしいものがありました。
細かく要望をヒアリングして要望の背景を理解し、我々では気がつかないところまで提案してもらえたので、限られた時間でもきちんと構築してサービスを開始に至ることができました。我々の担当者が他の業務で忙しく、サービス基盤の構築に時間を割くことができない時もありましたが、そのような時にはJFEシステムズの技術担当者は、こちらの負担を減らすように報告・提案してくれました。サービス基盤の構築は我々の専門ではないので、仮に間に合っても、適切なサイズのものはできなかったかもしれません。
さらに、「タグーン」のクラウドサービスにはJGranzのトータルのサービスの結果ネットワークを含めて、構築から運用まで全体を見通した総合的な提案が必要だということが認識でき、その対応をJFEシステムズの担当者に行って頂くことができました。
クラウドサービスを検討する際のポイント
- 同様のサービスを検討される企業に対して、アドバイスがあれば教えて下さい
クラウドサービスを選ぶ際にどのようなポイントを重視するかは、企業によって異なると思います。自社に対応できる人員がいるので多少のリスクを覚悟し、イニシャルコストを抑えたい場合と、我々のように運用コストを抑えつつ最適なシステムを構築したい場合とでは、おのずと利用するサービスは異なってきます。何を重視するのかを最初にはっきりさせることが重要だと思います。
あとは、カタログ上の価格に惑わされず、トータルでコストを計算してみることも重要だと思います。我々では、運用まで見据えたコスト計算をして比較検討することで、トータルコストを抑えることができました。
今後の取り組みの予定とJFEシステムズへの期待
- 今後の取り組みのご予定について教えて下さい
新聞社においてはマイクロフイルム等で保管されている過去の新聞記事の検索サービスに対する潜在的需要は大きい反面、予算の関係で踏み切れないという場合が多々あると考えています。
私どものクラウドサービスの「タグーン」を利用すればスモールスタートも可能なので、積極的にアプローチしていく予定です。さらに今後は新聞業界以外のマイクロフィルムや紙文書のデータベース化を必要とする業種に横展開して、利用者を増やして行きたいと考えています。オフィスの紙文書の電子化はニッチな分野ではありますが、トップを目指すつもりです。
- JFEシステムズに対する今後の期待について教えて下さい
一般的なパブリッククラウドでは技術担当者とコミュニケーションが取りづらく、うまく話が通じないこともありますが、JFEシステムズは我々の困りごとを推測しながら話をされるのでコミュニケーションが取りやすく、スムーズに事が進みました。コミュニケーションは業務を円滑に進めるための基本なので、今後もコミュニケーションを重視する傾向を維持していただきたいと思います。また、毎月のサービスレベルの達成状況などが記載された月次の運用サービス報告書の発行などサービス向上に対する新しい取り組みを続けて頂きたいと思います。
我々としては、「タグーン」の利用を拡大していくつもりでいます。利用者が増大すれば、システムの拡張や変更も必要になるので、その時は今回と同様、親身になって支援していただければと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
- お忙しい中、貴重なお話しをありがとうございました。
※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。