JFEスチール株式会社JFEスチール株式会社 様

取材日:2018年10月

UiPath(ユーアイパス)
導入事例

業種
鉄鋼
キーワード
  • RPA
JFEスチール株式会社

定型的な作業のRPA化を通じて、創造的な業務を行う時間を創出「労働の質の向上」を通じて、ワークスタイル変革を推進

JFEグループは、2015年4月に「JFEグループ人材マネジメント基本方針」、2016年9月に「JFEグループ健康宣言」を制定、そして2018年2月には取組みを評価され「健康経営銘柄2018」に選出されるなど、働き方改革を推進しています。 JFEスチール株式会社(以下、JFEスチール)も、2017年をワークスタイル変革元年と位置付けて、社員一人一人の意識改革と業務改革の両輪で様々な取り組みを行っています。その1つとして、業務のRPA化にも取り組んでいます。 UiPathを導入した狙いや導入効果について、同社 常務執行役員 IT改革推進部長 新田哲氏、同部 副部長 業務改革グループリーダー 和田徹也氏、同部 課長 増田大英氏、同部 副課長 遠藤渉氏に伺いました。

JFEスチール株式会社について

- JFEスチールについて教えてください

JFEスチールは、『常に世界最高の技術をもって社会に貢献します』という企業理念のもと、独自性のある技術開発に取り組み、高品質な“鉄”を提供する製造メーカーです。世界中のお客様にタイムリーに鉄を提供するため、東日本製鉄所(京浜・千葉)と西日本製鉄所(福山、倉敷)の大型臨海製鉄所を中心に効率的な生産体制を構築し、積極的なグローバル展開を行っています。

JFEスチール製鉄所

ワークスタイル改革の取組み

- UiPathを使って、業務のRPA化を推進されていますが、その背景や狙いなどを教えて下さい

当社では、2017年を「ワークスタイル変革元年」と位置付けて、様々な取り組みを行っています。ワークスタイル変革を進める意義は、単なる労働時間の短縮だけではありません。

会社としては、中長期的なビジョンとして掲げている「常に新たな価値を創造し、お客様とともに成長するグローバル鉄鋼サプライヤー」となるべく、「労働の質の向上」を通じて、よりお客様の立場に立った製品開発(=新たな価値の創造)に結び付けることだと考えています。また、個々の社員については、育児や介護などとの両立や創造的な業務を行うことでモチベーションを高め、自己研鑽につながればと考えています。

これまでは、社員の意識面の変革に働きかける取り組みが主でしたが、RPAのようなツールを活用して、定型的な作業そのものを減らし、付加価値の高い作業に取り組める環境を更に推進する必要があると考えています。

新田氏

「2017年を『ワークスタイル変革元年』と位置付け、労働の質を向上し、お客様に選んでもらえる会社を目指すべく、RPA化をはじめ、さまざまな取り組みを行っています」 新田氏

- 定型作業をRPA化して労働の質を更に高めることで、会社としての競争力の向上と、社員のより良いワークライフバランスの実現を目指しているということですね。ITツールとしてRPA製品を使用された背景などを教えていただけますでしょうか?

当社は、経済産業省と東京証券取引所が共同で創設した「攻めのIT経営銘柄」に、親会社であるJFEホールディングス株式会社が鉄鋼業種として2015年の制度創設以来4年連続で選出されるなど、比較的システム化を進めていると自負しております。しかしながら、人の介在を必要とする処理も、まだ残っています。例えば、あるシステムからダウンロードしたファイルに、他のシステムの情報を付加してメールというように複数のシステムに処理がまたがっている場合、導入効果に比べて改修コストが大きく、どうしてもシステム化は後回しになってしまいます。そんな中、 RPAの技術が世の中で普及してきたため、注目していました。

UiPathを選定した理由

- RPA製品が複数ある中で、UiPathを選定した理由を教えて下さい

大きく上げると3点ありますが、まずは、スモールスタートができて、拡張した際には一元管理できる点です。スモールスタートによってパイロット部門でのテスト的な導入が可能ですし、拡張後は一元管理ができるので、野良ロボットを抑制することもできます。またロボットが稼働しているかどうかを確認し、使われなくなっているロボットについては使ってもらうように改善、本当に使わなくなったロボットは廃棄することでロボットの維持管理工数を適正化することができます。他社製品は、スモールスタートできるけれども一元管理の機能が弱かったり、逆に一元的に管理するけれども、スモールスタートが難しい、といった製品が多かったのですが、UiPathはどちらも可能でした。

2点目は、大規模な導入実績が豊富な点です。大手の都市銀行や広告代理店をはじめ、全社的に導入しているケースも多く、開発時の留意点だけでなく、維持・運用フェーズでの知見が蓄積されていくであろうということに期待しました。そうした知見がアカデミーやコミュニティで公開されており、インストラクション資料が豊富であるのは大きなメリットです。

3点目は、RPA製品が認識できるアプリケーションの幅広さです。UiPathはマイクロソフトのOffice製品やWebアプリケーションだけでなく、広く普及しているパッケージ製品やクラウドサービスとも親和性が高く、独自開発した製品も認識率が高いので、非常に魅力がありました。

- RPAをご存じでない方も多かったと思いますが、海外総務部門の皆様は、どのような印象を持たれたようでしたか?

RPAで「本当に大丈夫?」という気持ちもあったと思いますが、RPAでできることや、実際にRPAが動作している動画をお見せすることで「RPAならできる!」という気持ちになってくれました。

駐在員の煩雑作業を軽減

- RPA化した業務について教えて下さい

「拠点経費の収集」では毎月発生する経費処理、「拠点予算のとりまとめ」では年2回発生する拠点の予算の集計があります。どちらの処理も数十拠点にメールで依頼を発信後、返信結果をExcelに転記・集計し、基幹システムに入力するという定型作業です。パッと聞くと単純そうですが、実際には数十拠点に発信したメールを1拠点ずつ各拠点の担当とやりとりしながら進めて行く必要があること、経費・予算のフォーマットが拠点毎に異なることで、基幹システム入力用のファイルを拠点毎に手直しする必要がある等、かなり煩雑でした。さらに、決算期間中の限られた時間の中で対応しなければならず、残業必須になっていた点、経費・予算という性質上、正確性が求められる点など肉体的・精神的にもつらい状況になっていました。

- 確かに、数十拠点分のメールや経費・予算の入力を間違いなく処理するのは、肉体的だけでなく精神的にも大変そうですね。ただ、Excelでやり取りして、その結果を海外総務部門の皆様が転記するのではなく、海外拠点の駐在員が基幹システムに入力してもらえば良いのではないか?とも思うのですが、いかがでしょうか?

増田氏

「RPA化によって、定型作業が従来の1/4に削減されただけでなく、担当者が抱えていた肉体的・精神的なつらい状況から解放されたと伺いました」 増田氏

作業量分担という観点で考えるとご指摘の通りかもしれません。しかしながら各拠点の中には、基幹システムに、ネットワーク・セキュリティの制約からそもそもログインできる環境がない拠点が存在します。また各拠点の駐在員は数も少なく、本来の業務で手一杯です。ただでさえ、慣れない環境でストレスを抱えている駐在員に、負担を強いることは避 けたいと考え、駐在員は操作に慣れたExcelやメールを使ってもらい、基幹系システムへの入力は海外総務部門が行うようにしています。

導入効果

- 駐在員の方々のご負荷まで考えられていたのですね。それでは実際にRPA化されてからは、どのようなメリットがあったのでしょうか?

約2,400時間掛かっていた定型作業が約1/4の600時間に削減され、削減できた時間を他の業務に充てられるようになりました。また、ロボットは教えたことを間違いなくこなしてくれるので、正確かつ人間が手で作業するに比べて仕事が早いです。人間ではなく、ロボットが代わりにやってくれることで、これまで抱えていた肉体的・精神的につらい状況から解放されたと伺いました。

- なるほど、RPA化によって定型作業分の時間創出という定量的な側面だけでなく、皆様のモチベーション向上や精神的なプレッシャーからの解放、といった定性的な側面でもメリットがあったということですね

スムーズな運用までの道のり

- RPA化される際に苦労された点を教えていただけますか?

やはり、RPA化後の業務フロー図を作成し、実務担当とシステム担当で共通認識を持つことでしょうか。実務担当とシステム担当では、理解している内容が異なります。実務担当は、どのレベルまで要件を提示する必要があるかを理解する必要がありますし、「当たり前」と思っている作業をシステム担当に伝え忘れることもあります。一方、システム担当は処理内容だけでなく、処理の目的やなぜその処理が必要なのか、という背景まで理解した上で、時にはその業務はなくした方がよいと提案しながら進め、現行業務をただロボットで焼き直しただけのものになってしまわないように注意しました。

- 実際にRPA化の後は、何かご苦労はございませんでしたでしょうか?

RPAへの移行直後はRPAが業務を間違いなく行えているかを確認していたので、それなりに負荷は発生していました。しかしながら、導入から約半年で運用もスムーズに回りだしています。

- 導入から運用が安定するまで、色々なご苦労がおありの中、乗り越えられた要因を教えていただけますでしょうか?

いくつかの要素はあるかと思いますが、大きなポイントは2つあると考えています。

1点目は、プロジェクトにかかわるメンバーが、RPAに対して、前向きに取り組んでくれたことです。実務担当である海外総務部門は「なんとか効率化したい」という強い思いをもって、部門全体で主体的に取り組み、フローの取りまとめやシステム担当への説明、システム担当からアウトプットの確認といった作業を面倒がらずに実施してくれました。また、拠点メンバーも、ロボットからのメールの返信に「Toロボット様」と書いてくださるなど、温かく受け入れてくれたことが、最も大きいと考えています。

プロジェクトメンバーの協力がなければ、着手から2ヶ月間でのRPA完成、という成果は得られなかったと思いますので、本当に感謝の気持ちで一杯です。

2点目は、いきなり完成形を目指すのではなく、簡単なところからRPA化を行い、徐々に完成度を高めたことです。RPA化しやすい部分から始めて、実務担当とシステム担当の双方で意見交換しながらレベルアップを図ったことで、実務担当にとって「使える」システムに仕上がりましたし、システム担当も実務担当のフィードバックをタイムリーに得られることで、手戻りを防ぎながら進められたので、良かったと考えています。

遠藤氏

「プロジェクトにかかわるメンバーが前向きに取り組んでくれたおかげで、着手から2ヶ月間という短期間でRPAという新しい技術を導入できました」 遠藤氏

今後の予定とJFEシステムズへの期待

- 海外総務部門様を皮切りに、今後もRPA化を進展されようとお考えかと思いますが、今後のご予定をお聞かせ下さい

海外総務部門での実績や経験を踏まえて全社的にRPA化を推進したいと考えており、社内報などを通じて、候補となる業務の募集を呼び掛けています。会社として、質の高い労働への転換を図ることで、社員のモチベーションを高め、よりお客様の立場に立った製品開発を行い、お客様に選んでもらえる会社を目指していきたいですね。

- その中で、JFEシステムズに望むことを教えて下さい

全社的にRPA化を呼び掛けているので、各部門から要望が出てくると思っています。実務部門が資料の準備などを行うようにしますが、RPA化するためには情報が十分ではないかもしれません。その際にも、話を聞いてあげて、一緒にRPA化を進め、さらには当社のRPA化をリードするという意識で取り組んでもらえればなと考えています。

また、当社以外でもRPA化の導入をしているので、そこで得た知見などもフィードバックしてもらい、グループ全体としての競争力強化に協力していただくことを期待しています。

和田氏

「海外総務部門での実績や経験を踏まえて全社的にRPA化を推進すべく、社内報などを通じて候補となる業務の募集を呼び掛けています」 和田氏

- お忙しい中、貴重なお話しをありがとうございました。

※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。

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