株式会社合食株式会社合食 様

取材日:2023年09月

MerQurius
導入事例

業種
食品
キーワード
  • 食品業向け 統合データマネージメント
株式会社合食

合食では、原材料及び商品開発情報の管理業務を効率化するためにMerQuriusを導入しました。
数年後にはMerQuriusは商品開発の基幹システムだよねと言ってもらえるようになると考えています。

伝統を大切にしながらも新しい食材や加工法にチャレンジし、カラダにやさしい食品の開発、お客様へ提案をめざしています。株式会社合食(以下、合食)では、商品情報管理システムのリプレースにあたってMerQuriusを導入しました。その経緯と効果について、同社 人財戦略本部 情報システム部 部長 北林 秀夫[きたばやし ひでお] 氏(写真左)、技術本部 商品開発部 部長 佐藤 翔平[さとう しょうへい] 氏、情報システム部 藤崎 明世[とうさき あきよ] 氏、合食のシステム開発パートナーである株式会社ティ・アイ・シー システム開発部 次長 蒐場 聖二[ぬたば せいじ] 氏(写真右)にお話を伺いました。

株式会社合食について ~川上から川下までカバーする食の総合企業

— 合食の事業内容について教えてください。

合食は「食が人をつなぎ、人が食をつなぐ」を合い言葉に、食品流通の川上から川下までを幅広くカバーする食の総合企業です。水産事業、海外事業、食品事業、物流事業の4つの事業分野を展開し、原材料の調達から食品の加工、物流までを一括して行っています。水産事業では、イカ、エビ、ナッツ類などの加工用農水産原料の取引を世界中で行っており、海外事業では、日本食関連商品の海外販売を行っています。食品事業では、おつまみや惣菜などの開発、製造を行い、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで販売しています。物流事業では、冷蔵保管を中心に、チルド、冷凍商品に対応した物流センターを構え、保管、配送、物流加工を行っています。

【合食の商品】

【合食:商品】

MerQuriusの活用状況

— 合食では、MerQuriusをどのように活用されていますか。

合食ではMercrius、Quebel、MerQuriusNetを導入しており、食品事業部の商品に関する情報を一元管理しています。まずMerQurius Netで原材料サプライヤーから原料規格書を収集し、Mercriusで原材料情報、商品情報の管理を、Quebelで配合情報、原材料表示の作成・管理を行っています。MerQuriusで管理する商品数は300点に上ります。Mercriusは2021年6月から、MerQurius Netは2022年9月から、Quebelは2023年4月から稼働させています。現在の利用アカウント数は、Mercriusは100、Quebelは40です。

【合食:システム概要図】

MerQurius導入の経緯

— Mercrius、Quebel、MerQurius Net(以下、まとめてMerQurius)の導入を検討された理由を教えてください。

2021年の時点で合食では以下のような問題がありました。

1. 原材料情報、商品情報を一元管理できていなかった

従来は商品開発部が各部門から情報を収集して商品情報管理システムで管理し、必要に応じて得意先に提出する商品仕様書(商品カルテ)や情報を各部署に配布していました。また、かつては工場がそれぞれ別会社だったため、工場ごとに原材料・商品情報管理のルールや書式が異なっていました。これに起因して商品開発部の情報収集・管理の面で主に3点の問題が生じていました。

① 商品開発部では、商品情報管理システムの他に、工場ごとに書式の異なるエクセルファイルで商品情報を管理していました。情報の更新・修正があった際の対応ルールも工場間で異なっていました。

② 工場によって必要な情報が異なっており、管理している情報にばらつきがありました。そのため商品開発部が商品カルテを作成するために必要な情報を収集しようとしても、すぐに集まらないことが頻繁にありました。

人財戦略本部 情報システム部 部長 北林 秀夫氏「商品開発部が原材料・商品情報を入力・管理する従来のやり方を、MerQuriusの導入によって、情報を持つ部署が入力して権限に応じて各部署で活用できるやり方に変更しました」
北林 秀夫氏

③ 商品開発部が原材料情報、商品情報を管理していたため、社内の各部門からの問合せが商品開発部に集中していました。例えば、営業部門が取引先から商品カルテの提出依頼を受けたとき、工場が新商品の生産前に必要な情報を知りたいとき、マーケティング部門が商品情報を詳しく知りたいとき、お客様担当がお客様から商品情報について質問を受けたとき等、各部門からの問合せに対応する商品開発部の業務負荷が大きくなっていました。

2. 商品カルテのバージョン管理ができていなかった

従来使っていた商品情報管理システムでは、商品カルテのバージョン管理がうまくできていませんでした。また、法令改正の対応が遅れることもありました。

これらの問題を解決するため、商品情報管理システムをリプレースすることにしました。多くの導入実績があり食品メーカー共通のプラットフォームとして使い勝手がよいMerQuriusを導入したいと考え、稟議書を上げました。

稟議書の内容 ~法規変更への迅速な適合、トレーサビリティ確保等が実現できる

— 稟議書にはどのような内容を書かれましたか。

稟議書では、以下の内容を書き、決裁を得ました。

1. 食の安全・安心に対応

昨今、食の安全・安心に対する関心が高まっており、食品に関する法規変更への迅速な対応が求められています。MerQuriusは法規照会支援機能があり、法規に則った配合規格のチェックも可能でした。

2. トレーサビリティの確保

前項の食の安全・安心と関係しますが、社内及び取引先から、トレーサビリティを確保するべきだという声が増えてきました。MerQuriusは原材料情報を正確に管理できるので、トレーサビリティの確保にもつながります。

3. 商品開発部の雑務からの解放

前述のように、社内の問合せが商品開発部に集中して業務負荷が大きくなっており、残業も増えていました。MerQuriusを導入することで、ワークライフバランスを改善しつつ本来の業務である商品開発に注力できるようになります。

技術本部 商品開発部 部長 佐藤 翔平氏「商品開発に力を入れており、自社だけでなく地元水産高校と共同で商品開発を行ったりもしています」
佐藤 翔平氏

4. 導入コスト削減策

MerQuriusの導入コストは従前のシステムに比べると高額だったため、稟議においてコストが障壁になる可能性がありました。そこで、MerQuriusの導入に実績のある株式会社ティ・アイ・シーのエンジニアに協力を依頼し、自社構築することにしました。そうすることで、導入コストを抑えることができる試算でした。

決裁後にはトライアルを実施し、MerQuriusを実際に試用しました。

— トライアルを実施された理由はなんですか?

ユーザー視点とシステム部の視点とで確認したいことがあったからです。トライアルでは以下のことを確認しました。

1. ユーザー視点での確認事項

ユーザー部門では、MerQuriusでどのように画面が遷移するのか等の操作感を確かめるとともに、商品カルテがマニュアル通りに作成できるかをチェックしました。

2. システム部門の視点での確認事項

① 原材料情報の収集、データベースへの反映、商品カルテの出力といった一連の流れがスムーズに進むかどうか、 ② 出力する商品カルテが運用に耐えられるのか、 ③ ノンカスタマイズのテンプレートをどの程度そのまま利用できるのかを確認しました。

トライアルで問題なく使えることが確認できたので、導入を正式決定しました。ただ、導入はフェーズを分けて多段階で行っています。

スムーズに運用を開始するために段階的に導入

— 段階的に導入された理由を教えてください。

2つ理由があります。まずは商品開発部の負担が大きかったため、少しずつでも出来るだけ早くその負担を減らしたかったからです。優先範囲を決めて、早く効率化を進めたいと考えていました。

次に、スムーズに導入し、運用するには1度にすべてを変えるのではなく、徐々に導入して慣れていった方がよいと判断したからです。ユーザーに使ってもらって初めて効果がでるので、負荷をかけることなく早く慣れてもらうことを優先しました。

— 各フェーズの内容はどのようなものでしたか。

第1フェーズでは、従来あったエクセルベースの商品情報をMerQuriusに取り込み、商品カルテを出力するまでを目標としました。第1.5フェーズでは、他社システムのテンプレートにも対応した商品カルテを出力できるようにしました。

情報システム部 藤崎 明世氏「導入時には、各部署のキーマンに理解してもらえるように丁寧に説明し、ヒアリングを重ねました」
藤崎 明世氏

第2フェーズでは、パッケージ用の裏面の原材料表示を出力できるようにしています。また、テンプレートでは対応が難しかったワークフローのカスタマイズの完成も目標としています。

— スムーズに導入するために他に工夫されたことはありますか。

2つあります。1つはルール作りです。手戻りがないように、事前に現場の要望を細かなところまで吸い上げるようにしました。例えば、工場に行ったときに、「この書類のこの箇所がこう変わったら楽になる」といった具体的な内容まで落とし込んで要望を拾い、それをルール作り、帳票作りに反映させました。

2つ目は、全社に周知するために各部署の担当者を集めて定期的に会議を行いました。会議では、MerQuriusの導入は合食が抱える課題解決のために必要であるということを伝えるとともに、MerQuriusの操作方法などを分かりやすく説明しました。会議に出席できないメンバーにも議事録を共有し、担当者からもフォローをおこない、理解を深めてもらいました。

導入に際しては従来の業務フローを変えた箇所もありますが、これらの結果、トラブルなくスムーズに導入することができました。

導入効果
~数百万円の経費削減と同時に、最終製品の情報から原材料を追跡することが可能に

— MerQuriusの導入効果について教えてください。

以下のような効果が出ています。

1. 定量効果(人件費削減)

商品カルテの作成時間、問い合わせ対応時間が減り、現時点で年間数百万円の人件費を削減できる試算になっています。

2. 定性効果

① 商品カルテ作成のスピードアップ
データの一元管理ができるようになり、商品カルテの作成スピードがアップしました。専門知識が不要で、どの部署でも必要なときに作成・出力できます。

株式会社ティ・アイ・シー システム開発部 次長 蒐場 聖二氏「カスタマイズはテンプレートで対応できないものに限定して、開発工数を抑えました」
蒐場 聖二氏

② トレーサビリティが確立
トレーサビリティが確立し、最終製品の情報からその製品の原材料まで追跡することができるようになりました。

③ 内部統制が改善
業務フローにおいて承認日時や承認者が分かるようになり、内部統制が改善されました。

④ 法規変更にも迅速に対応
原材料表示に関する法規の変更に即時に対応できるようになり、コンプライアンス違反が発生することもなくなりました。

カスタマイズの注意点 ~データ連携を阻害しないように

— カスタマイズするにあたって注意されていることはありますか。

原材料情報から商品カルテまで一連のデータの流れを阻害しないように注意しています。データ連携に支障を来すとMerQurius導入の意義を失いかねないからです。 また、以前のシステムでは開発ドキュメントが残っておらず修正の際に困ったため、ワークフローのカスタマイズにあたってはドキュメントを残すようにしています。

MerQuriusへの評価
~他社とスムーズにやりとりするための共通のプラットフォーム

— MerQuriusに対する評価を教えてください。

MerQuriusは、多くの食品メーカーで使われており、共通プラットフォーム化しつつあります。MerQuriusをハブとして他社とのやりとりがスムーズにできる点が評価できます。

MerQuriusは、商品開発・販売に必要な情報管理業務を効率化するもので、これがなければ業務ができなくなるほどのポテンシャルを持ったシステムです。今回MerQuriusを導入するにあたって、経営層に対し、MerQuriusは合食の「商品開発の基幹システムとして作り上げていくべきもの」だと伝えました。

MerQuriusを導入したことで、合食が持っている原材料・商品情報を活用できるようになりました。2~3年も使えば、ユーザー部門だけでなく経営層もそのことを理解できるだろうと考えています。

先行ユーザーとしてのアドバイス

— 今後MerQuriusの導入を考えている企業に対して、先行ユーザーとしてのアドバイスがありましたらお願いします。

利用する部署が多い場合は、事前の情報共有や調整をした方がスムーズに導入できると思います。合食では情報共有に力を入れることで、導入プロセスを支障なく進めることができました。

また、フェーズを分けて導入することで社内の理解を得やすくなりました。1度に大きく変更してしまうとどうしても抵抗感が出てしまいます。段階的な導入で業務が楽になることを体感してもらえば、その後の導入や利用も進めやすくなると思います。

今後の取り組みの予定とJFEシステムズへの期待

— 今後の取り組みのご予定をお聞かせください。

今後は、水産事業部の情報もMerQuriusを使って管理していきたいと考えています。水産事業部の扱う商品点数は食品事業部の比ではないので、水産事業部でスムーズに導入、活用できるように知見を蓄積していきたいと思います。

— 今後のJFEシステムズへの期待について教えてください。

水産業界のサプライヤーはその特性上、書類を作成する習慣があまりないため、原材料情報の収集に苦労しています。サプライヤーがスマホで情報をアップできる等、情報を集めることを補助する仕組みがあれば水産事業部でも使いやすくなると思います。

また、取引先によっては商品カルテをMerQuriusで連携できないこともありますが、その場合、取引先の書式にあわせるためにカスタマイズが必要となってしまいます。MerQuriusで連携できずメールで提出するような場合でも、簡単に書式にあわせられるようにしてもらえると助かります。

JFEシステムズには、これまで通りの丁寧なサポートを引き続きお願いしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

- お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

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