ハウス食品株式会社ハウス食品株式会社 様

取材日:2007年10月

Mercrius(メルクリウス)
導入事例

業種
食品
キーワード
  • 食品業向け 商品統合データベース
ハウス食品株式会社

Mercriusが導入されるまで、お客様問い合わせ対応の現場は、本当に苦労していました。

ハウス食品が、なぜMercriusのような製品・原材料データベースを必要としたのか。 マーケティング本部 マーケティング企画推進室 業務推進課長 笠川淳一氏、資材部 業務推進課長 原弘道氏、ソマテックセンター(研究所) グループ長 小野一彦氏にくわしく聞いた。

ハウス食品の概要

- ハウス食品の概要を教えてください。

ハウス食品は昭和22年設立の食品メーカーです。消費者の皆様には、「バーモントカレー」、「北海道シチュー」、「六甲のおいしい水」、「ウコンの力」などの商品で親しまれています。社員数は約2,400名、2007年期の年商は連結約2,300億円です。

ハウス食品ではMercriusをどう活用しているか

- ハウス食品では、Mercriusをどう活用していますか。

ハウス食品は、Mercriusを「製品情報および原材料の統合データベース」として、2004年冬以来、全社的に活用しています。

Mercriusの導入効果は以下の通りです。

  1. お客様センターへのハウス製品に関する問い合わせに、正確、 迅速に対応できるようになった。
  2. 商品・原材料の情報、さらにお客様問い合わせ情報を一元管理 できるようになった。
  3. 流通パートナー向け『商品カルテ』を半自動で作成できるように なった。
  4. ワークフロー機能により、パッケージ裏面表記の作成作業が 効率化できた
  5. ハウス食品全体にとっての、『基準となる製品マスター』が確立した。
  6. 『業務の中心』となりうるシステムが構築できた。
「バーモントカレー」、「北海道シチュー」、「ウコンの力」などの商品群

「バーモントカレー」、「北海道シチュー」、「ウコンの力」などの商品群

- ハウス食品がMercriusのような「製品・原材料データベース」を導入した理由についてお聞かせください。

ハウス食品が製品・原材料データベースを導入したのは、「お客様対応の現場に関わる社員からの切実な求め」に応じてのことです。かつて、ハウス食品では、お客様対応の現場に関わる社員が、本当に苦労していました。

ハウス食品のお客様対応の現場は、なぜ製品・原材料データベースを欲したのか

- 「かつて、ハウス食品では、お客様対応の現場に関わる社員が、本当に苦労していた」とは、どういうことですか。

では、順を追って、具体的にご説明いたします。

ここ数年の食品業界では、「鳥インフルエンザ」、「BSE(狂牛病)」、「賞味期限偽装」など、「食の安心・安全を揺るがす事件、事故」が頻発しています。最近、記憶に新しいところでは「中国製冷凍ギョーザへのメタミドホス混入」という事件が、全国の消費者に衝撃を与えました。

この事件が初めて報道された2008年1月30日、ハウス食品には「そちらの商品には中国製の原材料は入っているのですか」という問い合わせが殺到しました。
問い合わせの数は、初日だけで約600件、その後一ヶ月で約3,500件に及びました。もちろん、ハウス食品は食品メーカーとして、お客様のお問い合わせに対し、誠実に正確に回答できなければなりません。しかし、それは、Mercriusがない時代には、本当に大変な作業でした(※1)。

事件が起きないときでも、表示義務の法規制が増えて、関連する問い合わせが増えることがあります。ここ数年では、「アレルギー性物質に関する表示」、「遺伝子組み換えに関する表示」、「原産地に関する表示」などの表示が新たに義務づけられ、そのたびにハウス食品への問い合わせも増えました。

私は、今の食品業界は、次のような事業環境に置かれていると考えています。

原 弘道氏

食品業界では、明日、何が起きるかわかりません
資材部 業務推進課長
原 弘道氏

「食の安心・安全への関心が高まっている」
「世間の関心事が増えており、メーカーとして対応・ケアすべき事項が大幅に増加」
「お客様や流通からのお問い合わせに対する回答のスピード・精度が高まっている」

「ある日突然、大量にやってくる問い合わせ」に対し、Mercriusを導入する前は、担当者が各部門、各システムから情報をかき集めて、回答内容を定めていました。

もう少し具体的に説明します。Mercriusを導入する前、ハウス食品には、「製品情報データベース」、「原材料データベース」、「配合データベース」という3種類のデータベースがありました。
何か事件が起きて、問い合わせが来たときには、まず最初にこれら3種類のデータベースから問い合わせ対象製品の情報をおのおのプリントアウトして、読み比べ、情報の付け合わせを行っていました。
しかし、このような手作業での情報の付け合わせには、いくつか問題点がありました。

第一に、「急ぎの問い合わせ」例えば、流通からの「回答は一時間以内に」というような要求に対して、人間の手作業では回答の速さと正確さを同時に確保することは非常に困難でした。

第二に、「情報の付け合わせができる人間が限られてくる」という属人性の問題がありました。ある商品について問い合わせが来たとします。ところが、その商品についての回答はAさんにしか分からない。しかし、そのAさんが病気で休んでいる…。こういう場合、回答納期を守ることが難しくなります。
問い合わせに対しては、正確、誠実、迅速に回答しなければなりません。しかし、「正確、誠実、迅速」を人間の力だけで実現するのは限界があります。このようなことが積もり積もる中で、現場社員は全社的な「製品・原材料データベース」を渇望するようになりました。欲したのは、「商品に含まれる原材料を、一次原料のみならず、二次原料、三次原料に至るまで、正確に知ることのできるデータベース」、「お客様や流通からの問い合わせに対し、迅速に『ハウス食品としての回答』を返すことのできるデータベース」でした。

幸い、経営上層部もそうしたシステムの必要性を理解してくれ、システムの導入が決定しました(※2)。 その後、各種製品を比較検討しましたが、Mercriusが「新システムに対して現場が求める要件」を最も良く満たしていることが分かりました。ハウス食品はMercriusを導入すると決めました。2004年春のことです。

※1 「3,500件の問い合わせに対しては、Mercriusを用い、滞りなく回答できました」
※2 「稟議書での投資対効果の記述の部分では、『お客様対応の質とスピードの向上』の他に、「従来、手作業で作っていた、流通向け『商品カルテ』の制作コストが、Mercriusの導入により、劇的に削減される』というコスト削減効果を、数値として盛り込みました」

導入効果1:お客様対応の正確性、迅速性の向上

- ご説明ありがとうございました。
ここから先は、冒頭でご説明いただいた、「Mercriusの6つの導入効果」について、お聞きしていきたいと思います。
最初の質問です。Mercriusの導入効果その1、「お客様センターへのハウス製品に関する問い合わせに、正確、迅速な対応ができるようになった」とは具体的には。

お客様から製品や原材料に関して問い合わせがあった場合、担当者はMercriusを使って情報を検索し、そこで得た情報をもとに素早く確実に回答できます。Mercriusの導入により、今は、お客様問い合わせへの対応が迅速、かつ効率的に行えるようになりました。

笠川淳一 氏

お客様からの問い合わせに確実に答えられようになりました
マーケティング本部 マーケティング企画推進室
業務推進課 課長
笠川淳一氏

導入効果2:商品情報と問い合わせ情報の一元管理

- Mercriusの導入効果その2、「商品の情報と、問い合わせの情報とを、一元管理できるようになった」とは具体的には。

かつては、Mercrius以外に「お客様問い合わせ対応システム」が別個に存在していました。 お客様問い合わせ対応の手順は、

  1. Mercriusを参照して原材料情報を知る。
  2. その情報を元にお客様に回答する。
  3. 問い合わせ内容、回答内容を「お客様問い合わせ対応システム」に記録する。

というやり方でした。「お客様問い合わせ対応」という一つの動作の中で、2つのシステムを使いこなさなければならず、効率的ではありませんでした。しかし、2007年からは「お客様問い合わせ対応システム」をやめて、お客様問い合わせの情報もMercriusに記録するように変えました。
今、ハウス食品のお客様問い合わせの業務システムは、Mercriusです。
また、Mercriusに問い合わせ情報を蓄積するようになったことで、たとえば「バーモントカレーの製品・原材料の情報」を見るとき、同時に「バーモントカレーについて寄せられたお客様問い合わせの情報」もチェックできるようになりました。

導入効果3:流通カルテの半自動作成

- Mercriusの導入効果その3、「流通パートナー向け『商品カルテ』を半自動で作成できるようになった」とは具体的には。

流通パートナー向けの商品カルテは、Mercriusがない頃は、営業部員の手作業で作っていました。商品カルテの総数は、「流通パートナー総数」×「ハウス食品の製品数」となり、その数は膨大です。しかし、今はそうした流通カルテが、Mercriusを用いて半自動で生成できるようになりました。

また、Mercriusは、帳票のカスタマイズが容易である点も評価できます。商品カルテは、流通パートナー各社の指定形式で提出しなければなりません。Mercriusでは、帳票の形式変更がいちいちJFEシステムズのSEに依頼せずとも現場で処理できるほどに簡単です。流通各社の指定形式帳票が容易に作れます。
Mercriusの特色である「商品カルテが半自動作成できること」と「カスタマイズが容易であること」により、ハウス食品の営業業務の効率は大きく改善されました。

導入効果4:パッケージ裏面表記の作成作業の精度向上

- Mercriusの導入事例その4、「パッケージ裏面表記の作成作業の精度向上」とは具体的には。

製品パッケージ裏面に印刷する法定表示の文面は、資材部、研究所、マーケティング部門など複数の部門が連携して定めます。複数の部門が絡み合う作業の場合、前工程待ち、作業手戻り、行き違いなどが生じやすくなります。

この問題を解決するために、Mercriusのワークフローが役に立ちます。特に「やることリスト(TODOリスト)」が有用です。
例えば、「ある商品の成分表を完成させるのに、A、B、Cの3つの部門が順番に情報入力しなければならない」とします。
この時、Mercriusのワークフロー機能を使えば、B部門の仕事が終わらないうちは、C部門は入力ができません。つまり、「前工程の作業が終わってからでないと、後工程は作業が始めらない」という状態になります。

ハウス食品では、「品質は工程で作り込む」という基本思想を持っています。品質を担保するのは、「属人的な努力ではなく、工程(プロセス)の正しい運用である」という考えです。パッケージ表示も、商品の品質のひとつです。その表示の品質を確保するには、商品本体の製造と同様に工程(ワークフロー)で確保しなければならないと考えました。
Mercriusのワークフロー機能により、パッケージ表示の制作工程を管理し、PDCAサイクルを回せるようになりました。大きな改善です。

導入効果5:ハウス食品全体にとっての、『基準となる製品マスター』が確立した

- Mercriusの導入効果その5 「ハウス食品全体にとっての、『基準となる製品マスター』が確立した」とは。

食品メーカーにとって、『製品マスター』は最も重要なデータです。かつては、ハウス食品における最上位の製品マスター情報は、ホストコンピュータの中にありました。ホストコンピュータなので、その中の情報を日常業務の中で積極活用することは困難でした。しかし、今は製品のマスター情報の発生源はMercriusになりました。製品データは、まずMercriusに入力し、夜間にバッチ処理でホストコンピュータにコピーするという流れになりました。

製品マスター情報が入っている場所が、ホストコンピュータという重厚長大なシステムから、Mercriusという日常的に使っているシステムに移ったことで、社員にとって製品情報が以前よりも身近になり、活用しやすくなりました。
また、製品情報が活用のしやすくなったことで、情報を活用する人数も増えました。活用人数が増えれば、情報の正確性に対するチェックも自然に厳格になります。「集団作業で正しい情報を作り上げる」という状態が実現しました。
製品マスター情報が活用しやすくなったことで、情報の正確性を担保する仕組みも改善されました。

導入効果6:業務の中心軸ができた

- Mercriusの導入効果その6「ハウス食品にとっての『業務の中心(ハブ)』となりうるシステムが構築できた」とは具体的には。

Mercriusは、ハウス食品の社内で最も幅広く使われている情報系システムです。商品カルテ作成、問い合わせ対応、パッケージ作成など、あらゆる業務、あらゆる部門で使われています。
現在、ユーザー数2,000人に対し、常に50ユーザー程度がMercriusに接続しています。Mercriusは、ハウス食品の情報系システムの中心軸となりました。嬉しく思います。

小野一彦 氏

Mercriusの中の製品データが業務の中心データです
ソマテックセンター(研究所)
グループ長 小野一彦 氏

初期導入の概要とスケジュール

- ここから先は、Mercriusをどのように導入し、どう改善していったかをお聞きしたいと思います。まず、初期導入のスケジュールと概要についてお聞かせください。

Mercriusの導入は2004年6月に着手し、同年12月にカットオーバーしました。7カ月の間に以下のような作業を行いました。

1. 現行業務の洗い出し(2カ月)
「現行業務がどういうフローで動いているのか」、「それぞれのフローで、どんな書類、帳票が動いているのか」などを確認しました。

2.Mercriusへ現行業務をどう反映するかの設計(1カ月)
「現行業務のフローのうち、どの部分をMercriusに取り込むのか」、「業務項目によっては、フローそのものを改善した方が良いものもある。それはどの業務項目か、どんな風に改善すればよいのか」などを確認しました。

3.開発(3カ月)
まずハウス食品用Mercriusのプロトタイプ(基本形)を作りました。それから、ああでもない、こうでもないと試行錯誤しながら、「ほぼ完成形」を作り上げました。

4.微調整~完成(1カ月)
「ほぼ完成形」を微調整して「完成形」を作り上げました。

- Mercriusの社内利用者への周知はどのように行ったのですか。

Mercriusの社内利用者への周知は、既存の社内委員会である「パッケージ課題検討会議」の皆様に協力してもらいました。「パッケージ課題検討会議」とは、製品パッケージの表示に関するルールを決定する会議です。各部署の課長クラスが参加しています。パッケージ検討会議の皆様には、Mercrius上での業務設計や業務フロー洗い出しに積極的に参加していただき、かつそこで決まったことを自分の部署に周知していただきました

追加開発の概要とスケジュール

- Mercrius導入後の追加開発についてお聞かせください。

ハウス食品は、毎年、Mercriusの機能追加開発を実施しています。2004年から2007年までの追加開発の内容は以下の通りです。

2004年 第一次開発:Mercriusの初期導入

2005年第二次開発:ホストコンピュータ(販売、物流、生産管理)との連携。Mercriusの製品マスターを夜間のバッチ処理でホストコンピュータにコピー。この年より、Mercriusの製品マスターが、ハウス食品における基準データとして位置づけられる。

2006年 第三次開発:生産管理システムを別製品に入れ替える。それに伴い、Mercriusと生産管理システムの連携の部分も再開発が必要になる。

2007年 第四次開発:お客様からの問い合わせ内容、回答内容をMercriusで管理できるようにする。

本開発、追加開発の双方において、JFEシステムズのSEの皆様には多大なご協力をいただきました。JFEシステムズのSEは、食品業界のことを熟知しており、打ち合わせにおいて理解が早く、また提案力、改善力もあり、良いと思います。

JFEシステムズへの期待

- JFEシステムズへの今後の期待をお聞かせてください。

Mercriusを導入し、社内の製品情報を統合的に管理できたことで、冒頭の述べたような「お客様問い合わせへの迅速・正確な回答」、「製品(原材料)情報の一元的な管理、把握」が実現しました。ありがとうございました。
今、日本の消費者の間では、「食の安心、安全」への関心が急激に高まっています。ハウス食品は、そうしたお客様からのお問合わせに正確・迅速にお答えできる体制を、今後も拡充していく所存です。JFEシステムズには、今後とも技術面、サポート面において倍旧のご支援をいただけるよう希望いたします。これからもよろしくお願いいたします。

※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。

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