JFEシステムズ

コラム
COLUMN

2022/01/24

数式に裏付けられた「最適化」

最適化って?

新聞から拾うと「最適化」という言葉の使い方には2種類あるように感じています。一つは「経済構造の調整と最適化」で、誰かが十分に検討はしているのでしょうが、どちらかと言えばやや定性的な使い方です。もう一つは、「顧客要望に沿った品揃えの最適化」などは、何らかの裏付けがあると思われる 、定量的な使い方です。
いずれもよく目にする表現だと思いますが、データサイエンスやDXのブームに乗って、後者の方は最近特によく目にするようになってきました。

ところで「東日本における生産拠点の最適化」という表現はどうでしょうか?
こちらについては、文脈によって会社方針を経営者の決意として表現している場合と、工場別の生産量や物流を考慮した上で、ある特定の基準について文字通り最適化された状態を目指している場合があると思います。

このように対象がビジネスの現場に近づいてくるほど「最適化」という言葉がその意味をより明確に浮かび上がらせてくるようです。ということは、冒頭で述べたのは最適化の使い方の両端を言っているだけで、その対象が概念的な内容か具体的なものかの違いだけ、2種類というのは私の思い込みということになるでしょうか。

ビジネス現場の最適化問題

さて、ビジネスの現場では、人知れずその現場固有のさまざまな「最適化」に考えや悩みを巡らせている方がおられるのではないでしょうか。

このようなビジネスでの「最適化問題」について、その解決方法を探求する学問領域があります。オペレーションズ・リサーチ、略してOR(オーアール)と言います。学会があり、その歴史は60年を超えます。

私たちは最適化問題を非常に高速に解くことのできるソフトウェアツールと、それを使いこなすために問題を解釈してモデル化するなど、まさにORの知識や経験が豊富な人材の組み合わせにより、これまでに製造現場におけるスケジューリング問題や配送計画、物流計画など、数々の最適化ソリューションを実現化してきました。
それぞれのビジネスの現場において日夜"最適化"で奮闘されているみなさまに、それこそ"最適な"ソリューションを私たちはご提供できると考えています。

私たちが最適化に長じた理由

私たちJFEグループ は古くからのORユーザーです。それは親会社が鉄鋼会社であり、鉄の製造工程の「最適化」※1 により少しでも利益を大きくすることにとても熱心だからです。鉄鋼に限らず装置産業に分類される業態では、製造工程や原材料への投資が膨大で、投入する原料の量、タイミング、組合せ、配分など、コストをわずかでも少なく、歩留まりを少しでも良くするため の工夫として、最適化問題をうまく解決することが非常に重要です。投資額が大きい分、そうやって得られる利益額もばかにならないからです。

ただ最適化問題は装置産業だけの問題ではありません。

身近なところでは時間割やシフト表の作成、自動車や電車の経路探索、配送する積荷の載せ方などをはじめとし、工程やサプライチェーンをかかえる職業の方々には、それこそ設計や計画においてさまざまな最適化の専門家が活躍されていると思います。

最適化問題の解法とコンピュータ能力の進展

最適化問題の中でも、可能な組合せの中から最も良いものを探し出す場合は特に"組合せ最適化問題"と呼びます。製品を個数や台数などでカウントしている現場では、こちらの問題が多く出現するのではないでしょうか。この問題のやっかいなところは、組合せ数が大きければものすごく計算時間がかかってしまうということです。現場でこのような問題を扱っている専門家の方々は、長い経験の中でありえない組合せを早い段階で切り捨てる、法則性を見つけるなどの工夫により、うまく対処されていると思われます。

このように特定の専門家の知恵やノウハウに依存している現場の最適化問題も、うまくモデル化、もっと具体的にいうと、うまく数式で定式化することができれば、コンピュータによる自動化ができます。

ORに精通した専門家がモデル化し、最先端のソルバー(定式化された数理モデルから高速に最適解を導出するソフトウェア)で求解します。そこにコンピュータの処理能力の向上が加わり、過去には解けなかったような超大規模な組合せ最適化問題なども解けるようになってきました。

昨今はAIや量子コンピュータを使った壮大な最適化が話題になっていますが、もっと身近な現場で、もっとコンパクトに最適化問題を解くお手伝いができると思っています。
私たちが扱っているソルバーは求解速度とコストパフォーマンスがほぼ世界一、OR専門家は少数ながら経験豊富な精鋭たちの集まりだと自負しています。
ビジネス現場の課題解決について検討されている中で、「これは最適化問題かな?」と思ったら、いつでもお気軽にご相談ください。

※1:JFEスチール株式会社2021年8月18日プレスリリース
原料物流計画最適化システムを開発
~鉄鉱石ヤードの運用最適化による物流効率向上と安定操業の両立を実現~
https://www.jfe-steel.co.jp/release/2021/08/210818.html