株式会社小松製作所株式会社小松製作所 様

取材日:2007年10月

Enterprise Commerce
導入事例

業種
機械
キーワード
  • 調達
  • 購買
  • Web-EDI
株式会社小松製作所

コマツが取り組む戦略的課題を効果的に解決してくれたのは、
柔軟性に優れた製品力と信頼性の高いサポート力でした。

株式会社小松製作所(コマツ)は、建設・鉱山機械、産業用機械・車両などの開発/販売事業を中心に、住宅関連、運輸・物流などの事業セグメントを展開。要の事業となる建設・鉱山機械は、主にグレーター・アジア市場での資源開発の活況によるインフラ整備のニーズを着実にとらえ、産業機械・車両部門でも各子会社の好調な業績により業績を伸ばしている。
活発な業況下にあるコマツは、戦略的な取り組みの一環として、製品の競争力と利益創出に影響の大きい「調達・購買業務」の強化を目的としてWEBを利用した調達・購買ソリューション Enterprise Commerce (エンタープライズ コマース) を採用。この製品の何が世界的企業「コマツ」に選ばれたのか?
購買本部 調達企画部 企画管理グループ長 中川 達夫氏  購買本部 調達企画部 企画管理グループ 堀井 薫氏  購買本部 間接材調達部 外川 征幸氏  e-KOMATU推進室 インフォメーションテクノロジーグループ 曽木 靖裕氏 に詳しく聞いた。

本店所在地:東京都港区赤坂2丁目3番6号
ホームページ:http://www.komatsu.co.jp/

取り組みの背景

調達・購買業務にみる戦略市場への取り組み

- まず、どのような背景から、調達・購買業務のシステム化検討を始められたのでしょうか?

取り組みの背景は大きく分けて2つです。第一に「戦略的重点市場への拡販に併せた競争力の強化」、第二に「最適調達を実現する業務インフラの整備」です。

ご存じの通り、コマツでは建設・鉱山機械、産業用機械・車両などが主要事業です。世界市場でのシェアは米キャタピラ社に次ぐ世界二位ですが、中国や東南アジア・ロシアなどの市場では同社を若干リードしています。

中川氏

最適調達を実現する業務インフラの整備が目的の一つです。(中川氏)

これら地域では、鉱山・インフラ整備事業などにより、今後の建設機械需要増が見込め、競合他社の同市場への参入も考慮しますと、本質的な競争力強化が必要である。ということが第一の背景です。

また、これら競争力強化の基盤の一つが「調達・購買業務」です。コマツ社製品の部品供給の約75%をサプライヤー(協力企業)から調達しており、調達・購買業務そのものが製品の競争力向上・利益創出に影響を及ぼす役務であるということが第二の背景となります。

取り組みのカギ ~コマツが重視する調達・購買業務~

WEBを利用した調達・購買システムに着目した理由

- なぜ、WEBを利用した調達・購買システムに着目されたのでしょうか?

コマツでは、20年ほど前から専用回線を利用して注文書の電子データを協力企業に送付するシステムを既に導入していました。

このシステムは、注文書の電子データを双方向でやり取りするようなものではなく、協力企業に一方向で注文データを送付する仕組みでした。

外川氏

WEBを利用した調達・購買システムの導入は最も効率的だと考えました。(外川氏)

またシステムの利用に際しては、専用回線と専用システムが必要であり、専用システムに連動する内部処理が必要であるというような「それなりの手間とコスト」が掛かるものでした。

従って、全ての協力企業が利用可能な「汎用的な仕組み」だとは言えず、新たな負担を強いることにもなりますので、全ての協力企業に利用してもらうことは難しい状況でした。

主体は業務改革の実現

- WEBを利用した調達・購買システムに着目した際、どういった「経済的な効果」を期待されましたか?

結論から申しますと、経済的な効果を全く意識してない訳ではありませんが、コスト効果を主体に取り組みを考えることはありませんでした。

そもそも取り組みの目的は、『調達・購買業務の効率化』であり、協力企業に新たな設備投資を要求することなく「業務データの相互利用」や「共通画面による納期確認」など、調達・購買に関する情報処理インフラをWEBで提供することでした。

ですから、この取り組みへの期待は『業務改革』そのものであって、(WEBを利用した調達・購買業務の)実現の先にあるメリットの一つが“コスト効果”であるという位置付けだと考えています。

過去の取り組み ~業務改革の歴史~

- これまで、具体的にはどのような「業務改革」に取り組まれてきたのでしょうか?

2000年の取り組みでは、“ペーパーレス化”を中心とした業務改革に取り組み、一定の効果を挙げることができました。

しかし、当時の情報処理技術(通信インフラ)では、送信するデータ量が処理速度に影響を及ぼすということで、調達・購買システムのWEB化の実現には到りませんでした。

2005年の取り組みでは、これまで実施してきた改善に加え、本格的に「調達・購買業務のWEB化」に取り組むことになりました。

- 2005年に「調達・購買業務のWEB化」に再度取り組んだ理由は何ですか?

再度検討を開始した理由は三つです。

第一は、情報処理技術が格段に向上したことでWEB化の実現容易性が高まったためです。

2000年の改革時にネックだった“通信速度”と“通信インフラ”は、インターネットサービスの普及に伴って、通信速度が向上したこともあり、実現容易性が高まったことが理由です。

第二は、協力企業の増加による調達・購買業務の作業量増加です。当時の協力企業数は、登録情報ベースで約500社を越え、なおも増加傾向にありました。当然、管理の面でも業務の面でも“待ったなし”の状況だったこともあり、(調達・購買業務の)今後を考慮したことも挙げられます。

第三は、システムそのものが古くなったことによる基礎生産性低下の解消です。当時稼働していたシステムは、過去の取り組みで実装されていた古いシステムであり、OS・ミドルウェアのサポート切れやハードウェアの劣化もあり、それらの基礎的な生産性低下は否めませんでしたので、その解消も理由の一つですね。

導入のポイント

コマツが「Enterprise Commerce」に着目した理由

- なぜ、コマツはJFEシステムズの『Enterprise Commerce』に着目されたのでしょうか?

『Enterprise Commerce』は、WEB調達・購買業務に必要な機能を標準で装備していたほか、コマツ特有の購買フローに合わせて、柔軟にシステムを設計・構築することができるといった「フレームワーク」としての優れた面を持っていたためです。

先にも話したとおり、「協力企業に新たな設備投資を要求することなく、調達・購買に関する処理インフラを提供すること」が目的の一つでしたから、単に導入側面だけではなく、導入後を意識して選定しました。

堀井氏

Enterprise Commerceのフレームワークとしての柔軟性が選定のポイントでした。(堀井氏)

中でも、協力会社がこのシステムを利用するのに必要な資源は、パソコン、プリンタ、インターネット環境、たったこれだけでした。これは当初の「構想」にかなり近い仕組みだったのではないかと感じております。

システムイメージ

少し余談っぽくなりますが、システムカットオーバー後、このシステムを中心に様々な機能が盛り込まれてきています。その理由を自分なりに解釈すると、非常にシンプルでわかりやすくデザインされた画面や機能が備わっていることで、要望や改善などが具体化しやすいのではないか?と感じています。

導入の苦労話

1日で全協力企業600社が新システムへの切り替えを完了

- 導入に際して、何か苦労した点はありますか?

苦労した点といいますか、今回のシステム稼働に際し、旧システムから新システムへの切り替えを一日で実施したことでしょうか。

これまでのシステム導入切り替えは、○○事業所の協力企業は○月○日で、□□事業所の協力企業は□月□日。 -など日程をずらして実施することが多かったのですが、過去の取り組みで切り替えには慣れていた点と、今回はJFEシステムズ社のサポートが得られた点などから、「切り替えは一気に」との結論に到りました。

曽木氏

JFEシステムズ社の強力なサポートのおかげで、切り替えは意外なほどスムーズに完了しました。
(曽木氏)

当然のことながら、システム切り替えには「障害リスク」を伴いますが、JFEシステムズ社の強力なサポート体制が得られたことで、切り替えは意外なほどスムーズに完了しました。

実務面では、操作問い合わせや、処理確認などの問い合わせはありましたが、『切り替えによって注文データが取得できない』や、『処理データが消えてしまった』などの重大な問題が発生することはありませんでした。

全国6箇所の向上でのシステム説明会、約2ヵ月にわたる操作研修を実施

他にも、調達・購買業務が新しくなることを受け、全国6箇所のコマツ生産工場でシステム説明会を開催し、約二ヶ月間にわたる操作研修(リハーサル)を実施しました。

国内の生産拠点である、粟津工場(石川県)、大阪工場(大阪府)、真岡工場(栃木県)、小山工場(栃木県)、小松工場(石川県)、KCX(富山県)に対し、JFEシステムズ社と全国システム説明会の旅を実施しました。

スケジュール的にも非常にタイトでしたが、操作研修に必要なアウトプット(研修マニュアル/操作マニュアル/研修メニュー/Q&A)などの一連のサポートも受けることができたおかげで、スムーズかつ計画通りに研修を終えることができました。

導入の効果

「ヘルプデスク」をJFEシステムズにアウトソーシングできたこと

-『 Enterprise Commerce』を導入して最も大きな効果は何でしょうか?

最も大きな効果は、いうまでもなく調達・購買システムのWEB化による業務改革の履行であることには変わりませんが、ヘルプデスク(問い合わせ窓口)をJFEシステムズ社にアウトソーシングできたことも大きな効果だと感じています。

これまで、「調達・購買業務に関係する全ての問い合わせ」を社内の窓口で受けていました。問い合わせ内容は、システム操作に関する問い合わせ、調達・購買業務に関する問い合わせ(注文書等の送付確認/納期確認/進捗問い合わせ)など、非常にこまごましたものも多く作業負荷は相当なものでした。

しかし、『Enterprise Commerce』を導入したことで、協力企業とWEB画面上で同じデータを共有でき、業務的なやり取りもスムーズになり、こまごました「調達・購買業務的な問い合わせ」は、ほぼ無くなりました。また、技術的なシステム操作に関する問い合わせは、アウトソースしたヘルプデスク(問い合わせ窓口)が吸収してくれるため、社内の業務効率は格段に向上しました。

今後の期待と新たな展望

コマツが選んだ、更なる改善を支える良きパートナー

- 今後のJFEシステムズへの期待などがありましたらお聞かせください。

コマツグループとJFEグループは、「鉄鋼産業」でも密接なお付き合いをさせてもらっています。だからというわけではありませんが、「システム面」でも密接なお付き合いができるのではないかと期待しております。

WEB調達・購買システム『Enterprise Commerce』の導入に際しましては、各ご担当者様を含むJFEシステムズ社に、本当にお世話になったと感謝しています。

経験的にベンダー企業は(システムを)導入したらすぐに次のクライアントを開拓していくといった印象がありました。本質的な部分ではそうなのかもしれませんが、コマツとの定例の改善会議の場にもJFEシステムズ社は積極的に参加いただいていますし、満足のいくフォローもしっかり頂いています。

また、「システムを良くしていく」という基本的な目的を共有し、専門家の視点で適確なアドバイスをいただける点なども非常に感謝しています。

今回構築いただいたシステムのカットオーバー後も、使い勝手をより良くするために様々な機能を追加していますが「理想のシステム」には達していないと自覚してしています。

今後も今のシステムをベースに“更なる改善を支えていただける、良きパートナー”として末永くお付き合いいただければと思います。

- お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。

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