1年期限で新システムへの刷新を完遂!
S/4HANA Cloud+SIDEROS TEMPLATEを採用し、Fit To Standardの考えを軸に新基幹業務システムへの移行を実現。
FCNT株式会社 情報システム統括部 エキスパート 樋口久道氏にSAP S/4HANA®導入のSI業務をJFEシステムに依頼した経緯とその効果について詳しくお聞きました。
FCNTについて
- FCNTの事業内容について教えて下さい。
5G IoT時代に向けた次世代端末の企画・開発・製造とソリューションの提供、大人世代に向けたサービスを展開している会社です。Creating New “Connects”~未だかつてない「つながり」を創造する~ をミッションに、一人ひとりが安心して生き生きと暮らせる未来のために人々の常識を超える発想と先進テクノロジーで人・物・コトをもっと快適につなぎ、新たな価値を創造していきます。
FCNT株式会社 https://www.fcnt.com

ERP刷新プロジェクトの概要
- FCNTが今回、JFEシステムズに依頼したプロジェクトの概要を教えてください。
FCNTでは、新基幹業務システムとしてSAP S/4HANA® Cloud Single tenant Editionを導入するにあたり、JFEシステムズのSIDEROS TEMPLATEを採用し、その設計、導入、運用を、すべてJFEシステムズに依頼しました。概要は次のとおりです。


4つの困難
- 今回の基幹業務刷新プロジェクトでの「困難」はどんな点でしたか。
大きくは次の4点です。
- 「1,000人規模の製造業の事業運営にかかわるほぼすべてのシステムを一気に刷新する(対象範囲が広い)」
- 「短期間、且つビックバン型プロジェクト」与えられた期間は1年で完遂しなければならない
- 「システム移行に際し、携帯キャリア、サプライヤなどのお取引先約600社との取引に影響を与えてはいけない(シームレスに移行する)」
- 「単なるシステムの入れ替えではなく、今後更に高速化する環境・事業展開に対応できるビジネス基盤を構築する必要がある」
FCNTの主事業は『arrows』や『らくらくシリーズ』などの携帯端末ブランドの開発・製造です。
2021年4月1日に「富士通コネクテッドテクノロジーズ株式会社」から「FCNT株式会社」へ社名を変更し、富士通グループから独立した別会社として、これまで培ってきたブランド力・技術力のノウハウを継続した携帯端末事業に歩みだしました。
富士通グループ会社時代はグループ共有のシステムを利用していましたが、別会社となる以上、基幹業務システムも、自前の物に一新する必要がありました。これはシステム部門にとっては「1,000人規模の会社が突然、立ち上がることと同じで、会社が事業運営するためのあらゆるシステムを自前でしかも1年間という短期間で新規構築しなければならない」という課題が発生したということです。

「手戻りが許されない短期プロジェクトでありながら、事業継続性も譲れない、非常にハードなプロジェクトでした。」樋口氏
刷新対象は「全システム、情報システム基盤すべて」であり、今回、導入したSAP S/4HANA®の、適用範囲(スコープ)は財務会計、管理会計、販売管理、在庫購買管理、プロジェクト管理、製造と広範囲に及びました。その一方で、システム構築に使える時間にまったく余裕はなかった。というのも富士通グループ共有システムから切り替える時期が、2020年4月と決まっていたからです。なんとしても2020年4月には、新たな基幹業務システムを稼働させ事業を継続させ、完全独立する必要がありました。
さらにシステム移行に際し、通信キャリア、サプライヤ600社との取引に問題が発生してはいけない。「部品調達~生産~在庫管理~配送~販売」のサプライチェーンは粛々と動き続ける必要がありました。そのためにも旧システムに蓄積されていた複数年にわたる様々な業務データを滞りなく、確実にSAP S/4HANA®に移行する必要があるということです。事業継続のためには、絶対に稼働を遅らせることができないといった、危機といってもよい状況でした。
また新たなシステムは、「従来業務を乗せ換える」だけでなく、「変化する環境への対応」「高速化する事業展開」のための基盤として機能する必要があります。現在、FCNT社内ではあらゆる面で『スピード』が重視されており、新規プロジェクトは3ヶ月で立ち上げる、という考えが社内標準になっています。新たなシステムは、その事業スピードについていくだけでなく更にそれを「加速させる」存在である必要があるのです。
JFEシステムズを選んだ理由
- 基幹システム刷新プロジェクトをJFEシステムズに依頼した経緯を教えてください。
私はこれまで様々なプロジェクトに関わってきました。その経験から言えるのは、プロジェクトの成功は、製品の機能・性能より、むしろ「企画・コンサル・開発・運用」などSI要素、実行する人に左右されるということです。製品の機能は、ある一定のスペックを備えていればよいと考えています。それよりも、そこからその製品と現場のギャップを正しく把握し如何にして現場の要望に近づけ、満足させるかが重要なのです。それがベンダー(SIer)のノウハウであり構築力であると考えています。
JFEシステムズは、SAPに関し、十分な導入実績があり、プレゼンテーションも確かな内容でした。SEや営業担当者と会話しても、実直さと知見の深さが感じられる。あえて意地悪な質問もいくつかしましたが、安易に即答せず、YESマンではなく、常に熟慮ある回答が返ってきました。価格も適正であり、社内で決裁を取るうえでも理解を得やすい。SAP S/4HANA®とJFEシステムズのTEMPLATE、SI力の組み合わせが最適解であると判断しました。
唯一の懸念点であったシステム切替まで1年しかないという問題に関しても、JFEシステムズからはその納期で問題ないと、力強い回答がありました。
これらのやり取りから、JFEシステムズとならば、この社運を賭けた基幹システム刷新を完遂できると確信するに至りました。
- JFEシステムズに質問です。
1年という短納期でも問題ないと判断したのはどういう根拠からですか。
根拠は大きく、次の3点です。
根拠1. 「短期大型プロジェクトの完遂実績があること」
JFEシステムズは、【2016年に「JFEスチールおよびJFEホールディングス」のSAP導入を1年間で完遂】さらに【2017年に「グループ80社のSAP導入」も1年で完遂】した実績があります。JFEスチールは鉄鋼業という業態上、管理項目も多く、きわめて大規模なSAP案件でした。加えて業態の異なるグループ80社にも同時進行でSAPを導入しました。この経験を通じ、Fit To StandardでのSAP導入のコツ、勘所がつかめました。そのノウハウは、今回の案件にも生かせると考えました。
根拠2.「 SIDEROS TEMPLATEシリーズが適用できること」
JFEシステムズでは、このJFEグループでのSAP導入、および、製造業およびプロジェクト型企業向けSAP導入を通じて得た知見、ノウハウを、ERP TEMPLATEとして整備し"SIDEROSシリーズ"という形で体系化しました。このTEMPLATEを使えば、今回の案件も効率的に進行できると判断しました。
根拠3.「お客様のプロジェクトに対する熱意と本気度」
今回のプロジェクトでは、お客様の導入に対する並々ならぬ意気込み、覚悟がひしひしと感じられ、新システムに向けた、変革、割り切りも一丸となって考え、実行できると確信しました。
以上のような判断に基づき、今回のFCNT様のSAP案件は、「楽々できるとは言わないが、的確に計画、進行していけば、十分に完遂可能」と判断しました。それが先ほどの「1年の納期で完遂できます」という回答につながっています。

「JFEシステムズの知見が集約されたSIDEROS TEMPLATEは今回のプロジェクト完遂の大きな助けになりました。」樋口氏
プロジェクトは「ちょうど一年」で完了
- プロジェクトを振り返ってのJFEシステムズへの評価をお願いします。
プロジェクトは、事前にどんなに綿密に計画しても、本番になると、様々な想定外が生じます。「フタを開けたら、とんでもないものがでてきた」ということが何度もある。
この時に、SIerのサポート力の真価が分かります。企業によっては、すぐにフタを閉め、「(契約業務の範囲外なので)切り分けをする必要があります」といった対応になる。しかし、JFEシステムズは、一度開けたフタは決して閉めず、最前線に立って、問題解決のため全力を尽くし、そして、解決してくれました。JFEシステムズの「突発事態への対応力」は評価に値します。
また、JFEシステムズのプロジェクト推進力と、「SAP S/4HANA Cloud®+SIDEROS TEMPLATE®」の組み合わせにより、カスタマイズの範囲をサプライヤ、メーカとの関係でどうしても当社独自に必要なものに限定し、そのほかのほとんどの部分は標準機能の中で実現しました。結果、1年間でのシステムの稼働に結び付けることを実現することができました。
一つ印象的だったことがあります。今回のプロジェクトは2019年4月7日が開始日でした。それから11ヶ月が過ぎ、プロジェクト完遂が近づいてきたある日、「せっかくだから計画と予実差ゼロの『ちょうど一年』で終えましょう」という話になり、きっちり365日後の2020年4月6日を稼働開始日にしました。プロジェクトとして有終の美を飾ったというところでしょうか。
今後の期待
- JFEシステムズへの今後の期待をお聞かせください。
今回、JFEシステムズは当初の期待通り、いや、期待以上の仕事ぶりをみせてくれました。基幹システム刷新プロジェクトは成功したといえます。
FCNTはCreating New “Connects”~未だかつてない「つながり」を創造する~ という企業理念のとおり、一人ひとりが安心して生き生きと暮らせる未来を実現するべく引き続き尽力していきます。JFEシステムにはそうした弊社の企業価値向上の取り組みを、優れた技術、提案、サポートを通じご支援ください。引き続きよろしくお願いします。
- お忙しい中、貴重なお話しをありがとうございました。
※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。