このページの本文へ移動
当社ウェブサイトではInternet Explorer6は非推奨環境のため、正しく表示されない場合があります。
詳しくは、「アクセシビリティについて」をご確認ください。

4,000万ステップのシステムに「超上流」から関わる

キーワード
  • 生産管理
4,000万ステップのシステムに「超上流」から関わる

西日本事業所 福山システム開発部 製鋼鋼材グループ
桑原 忍

JFEシステムズは、「鉄に鍛えられ」技術を磨いてきた会社である。では、製鉄に関わるシステムのどんなところが挑戦的なのか。現在、JFEスチール西日本製鉄所福山地区でシステムの開発および維持改善業務にあたっている桑原に、製鉄所システムの実際について話を聞いた。そこから見えてきたのは、製鉄の難しさとそれを管理するシステムに求められるレベルの高さである。

生産最少ロット300トン。リードタイム30~60日

鉄は、そもそも生産管理がしづらい領域であると言えます。
私が所属している西日本製鉄所福山地区では、月間100万トンの多様な製品を生産していますが、あらゆる鉄製品の原型となる鋼(はがね)は、300トンからしか生産できません。生産のための最少ロットが300トンということです。

もちろん、そこまでの量を1社のお客様が注文することはありませんから、数トンから数十トン単位のオーダーを集約してから生産を始めますが、製品によって納期・品種・注文のパターンはバラバラです。例えば、橋梁などはプロジェクト型。つくるものは決まっていますが、使用する工事日にぴったり合わせて生産しなければなりません。鉄道のレールなどは、緩やかに一定期間リピート注文が続きます。


また、鉄は製品化までのリードタイムが30~60日と長いため、発注時点では数量・納期をお客様自身が決めていないことや、生産が始まってから状況によって数量・納期が変動する場合もあります。こうした中で、最適なタイミングで生産、納品しなければなりません。

さらに、鉄は基本的にカスタムメイドの製品です。製品ごとに必要な項目を確定し、工場で生産できるように各種データをつくる必要があります。しかし、鉄ほど仕様の項目数が膨大な製品は恐らくないでしょう。一つの製品の生産に必要な項目は、成分情報、試験項目(引っ張り・曲げ・非破壊など試験の種類・部位・頻度など)など、その数3,000~5,000にもなります。また、製鉄所の生産能力は工場によって異なるため、それらを加味して項目を決定しなければなりません。

そして、数多くのプロセスを経てつくられるため、どんな原料や半製品が、どのラインをどのタイミングで通ったかトレースすることも非常に重要です。

365日24時間稼働し、操業中に在庫要因を特定・分析することが求められる

こうした特徴を持った製鉄のあらゆるプロセスを、製鉄所のシステムは支えています。その規模は、私の所属する福山地区全体だけで7,600万ステップ。これは、金融系のバッチシステムに匹敵する規模です。

特筆すべきは規模だけではありません。製造ラインは止まることが許されないため、システムにも24時間365日動くことが求められます。さらに、在庫管理に対する要求は、年々厳しくなっています。現在ではリアルタイムで状況を把握することはもちろん、不必要な在庫を出してしまったら操業中に原因を特定・分析できなければなりません。単なる予実格差を導くだけでなく、要因にまで踏み込んだ分析をすることが、システムには求められます。

この巨大で難易度の高いシステムに、私たちJFEシステムズは取り組んでいるのです。

私たちが関わる領域は、設計~開発~保守管理はもちろん、要件定義や概要設計のさらに上流である、案件化・予算化にまで遡ります。案件化前に課題を検討する「課題推進型業務」と呼ばれる期間に、各部署から出された様々な要望・テーマを、事業計画・全体のシステム化計画を踏まえながら具体的に検討し、案件化していきます。

また、製鉄所のシステムは30~40年にわたって開発が続けられたシステムであり、ブラックボックス化も進んでいます。開発・改善を行う場合、他のシステムやデータへの影響などを調査し、最適な開発の規模と範囲を特定するのも、私たちの大事な役割です。こうしたプリエンジニアリングなどをしっかり行い、開発にかかるリスクを軽減しながら精度の高い開発コストを算出、各部署が起案する投資申請の作成をサポートします。

管理が極めて難しい製鉄を管理するシステムの「超上流」から関わることで、社内には極めて高い知見が蓄積されました。これが、JFEシステムズの核になる能力を形成していることは言うまでもありません。

総勢36名のグループのリーダー

福山地区では様々な製品を製造していますが、私の所属する製鋼鋼材グループは、自動車や家電製造に使われる薄板以外の製品のシステムを担当しています。即ち、船舶・橋梁などに使われる「厚板」、鉄道レール・ビル建材となる「条鋼」、パイプ・高圧配管などで使用される「鋼管」の製造システムです。また、高炉でつくられた銑鉄(溶けた鉄)を鋼とし板状に加工していく「製鋼熱圧」工程と、「物流」のシステムも担当しています。「薄板以外」といっても、その規模は4,000万ステップにもなります。

現在手掛けているプロジェクトは、大小合わせて20ほど。大体、常時そのくらいは稼働していますね。案件ごとにプロジェクトマネージャーを立ててプロジェクトを進めます。

私はグループ長として、36名を統括しています。プロジェクトごとに上がってくるテーマに対して、開発の優先順位を決め、スケジュール・納期を確認、人員配置を行い管理するのが主な業務です。
大きなプロジェクトやタイトなスケジュールの案件では、構想立案・概要設計・レビュー会などに参画し、各案件の開発支援・助言などを行います。個別案件を担当することはありませんが、トラブルが起こった場合は、グループ長として一緒に事態の収拾にあたります。また、現在は、福山・倉敷地区のシステムを統合する案件を採択するためのシステム構想立案作業にも取り組んでいます。



製鉄を中心に様々なシステムを経験

私は製鋼システムの開発・保守からキャリアをスタート、福山地区での勤務も長いですが、製鉄のシステムだけを手掛けてきたわけではありません。本社で販売管理システムの開発・保守なども経験しましたし、 J-Smileプロジェクトでは、開発サブリーダーとして、営業基幹系システムの開発に携わりました。製鉄の領域でも、現部署に異動する前は薄板・物流系システムのグループ長を務めた経験があります。こうした様々な部署で得た知見を活かし、種類の異なるシステムの仕組み・流れを理解できることが私の強みだと思っています。

製鉄システムなどスクラッチ型の開発プロジェクトでキャリアを積んできた私のポリシーは、「最後まであきらめない」です。スクラッチ型開発のプロジェクトでは、壁やトラブルに遭遇したときに時間が解決してくれるということはありません。事態を好転させるためには、技術者一人ひとりが手を動かし、少しずつでも粘り強く作業を進め、最後までやり抜くしかないのです。私はそれによってお客様の信頼を得てきましたし、最初は無理かもしれないと思われたJ-Smileも、お客様と一緒につくり上げることができました。

私と同じような考えを持った技術者は、社内にたくさんいるんじゃないかな。最後まであきらめずに、粘り強くプロジェクトを進め、必ずやり遂げるというのは、当社の文化・風土だと思います。


***

部下の成長した姿を見るのが、最大のやりがいと語る桑原。「相談の仕方や報告の内容が具体的で的確になったときに、成長を感じます」とリーダーの顔で目を細める。しかし、と言葉を継ぐ。「いろいろなプロジェクトに最初だけ参加して、基本設計が始まるとプロジェクトマネージャーに引き渡す立場ですが、『自分がメインで担当したいな』と思う案件も結構あるんです(笑)」。その顔は、ものづくりが大好きな技術者の顔だった。

※コラム内容は2012年12月時点のものです。

お問い合わせ

資料請求・デモンストレーション等、お気軽にご相談下さい。

お電話でのお問い合わせ

  • 03-5418-2424

受付時間 9時~17時30分
※土曜・日曜・祝日、当社指定の休業日を除く