このページの本文へ移動
当社ウェブサイトではInternet Explorer6は非推奨環境のため、正しく表示されない場合があります。
詳しくは、「アクセシビリティについて」をご確認ください。

なぜ、DWH/BIが必要なのですか?

キーワード
  • BI
なぜ、DWH/BIが必要なのですか?

ERP・BIソリューション事業部 開発部 BIグループ
吉田 健二

現在、さまざまなユーザインタフェイス(UI)の意匠を凝らしたデータウェアハウス(DWH)/ビジネスインテリジェンス(BI)が花盛りである。「しかし、私には、根本が抜け落ちているようでなりません」と吉田は言う。「SAP BusinessObjects」を活用したDWH/BIのシステム構築、および製品保守サービスを提供している吉田の考える、DWH/BI構築とは?

どう見せるかでなく、何を見たいか

DWH/BIシステムを構築する案件は、もともとは、バラバラに散在するサブシステムのデータベース(DB)を統合・集約したいというニーズが多くありました。それに加えて10年ほど前からは、統合されたDBの見える化が大きな課題となりました。

近年では、UIではなく「UX(ユーザーエクスペリエンス)」という言葉も使われるように、集めてきたデータをただ見せるのではなく、どう印象的・直感的・魅力的に見せるかがシステム構築の課題となってきました。

プラットホームの機能や性能向上により様々なデータが取れるようになったこと、ビジュアル的に見栄えのいい画面デザインの製品が増えたことが、これを後押ししています。私たちも、人間工学やデザイン的な知見をもとにした提案が求められるようになりました。

しかし、画面デザインだけを問題にするのは、私には、根本が抜け落ちているように思えてなりません。肝心なのは、何を見たいか、です。

膨大なデータを集約し、見栄えよく表示できるようになったとしても、「DWH/BIを使ってこれをやりたい」という目的がフワフワしていては、本当の課題解決にはなりません。

そもそも、経営層・マネジメント層が、DWH/BIを使って可視化したいことは、端的に言えば「計画に対して見込や実績がどのような状況か」です。

しかし、そのために実際のデータを集めてみて予実管理のしくみを検討してみると、管理しているデータ項目の粒度やメッシュが異なっているために経営層の求める予実対比を出すこともままならないことや、一方、そのような経営層の必要なデータを現場で作成するルールが確立されていないことが判明します。


さらには、現場から集計したデータを経営層や本社の経営企画部門などが調整して予算を編成する際、その見直しのルールが明確でないこともあります。

この場合、計画の立て方そのものをどうするか、どんな業務を全社標準ルールとし、現在の業務をどう改善するかという業務プロセス改革までがDWH/BIのシステム構築の範囲になります。私たちは、ここからお客様と一緒に検討し、DWH/BIがなぜ必要か、DWH/BIを使って何をやるかを明確にしながら構築していきます。

王道が近道

導入のためのアプローチは、お客様の要件を受けて、外部設計から内部設計へと進めていく極めてオーソドックスな方法です。

まずは、どういうものが見たいのか要件を出していただき、その目的と内容を確認させていただきながら、私たちが手がける統合BIツール「SAP BusinessObjects」に即した形で、ファイル、画面などお客様が見るものすべてについてイメージを示しながら、コンセンサスを得ていきます。

「一般的な財務会計上の指標だけではなく、社内の管理会計のKPIの指標を提案してほしい」、「納期遅れなどアラートを出すだけでなく、そのアラートから次のアクションにつなげるような仕組みはできないか」――そんな要件を出されるお客様も多くいらっしゃいます。


いずれもお客様の業種や業務の特性について、机上の知見ではなく実態を深く理解しなければ解決できません。お客様から提示された要件資料だけですべてが把握できるということはありません。一口に「セグメント別」といっても、業態、決定権、商品軸/部門軸などいろいろです。連結で見るのか単体で見るのかによっても違います。

まずは、お客様の言葉(用語)を理解していく必要があります。

業務を理解するために、要件を出された方に、何のため(背景、課題や目的)に、使うかを徹底的に聞きます。王道のやり方ですが、結局、これが一番の近道です。

構築した仕組みをお客様がどのように使って、どのような効果を期待しているかを、我々が理解してイメージできていない状態では、表面的な要求内容に従って構築しても、その後は絶対に使ってもらえません。

それらをきちんと理解したうえで、異なるデータを背景・デザインなどを共通化してルール化したり、見やすさと情報量のバランスを取りながら、TOP画面のメニューの位置、画面あたりの項目数などを決めていきます。

画面構築では、社内のWebコンテンツ専門部署に知見を求めたり、外部のデザイナーとコラボレーションすることもあります。

データの諸元を知り、フローをまとめ、業務改善を提案

続いて内部設計。DWH/BIシステムには、販売・生産・品質管理・人事給与などすべてのサブシステムのデータが集約されています。

しかし、業務が細分化・専門化している現在では、必ずしも情報システム部が各システムの特性やデータ諸元を詳しく把握できない場合もあります。

そのため、私たちは、窓口である情報システム部門の方と一緒に、必要なデータの諸元をていねいに辿っていきます。そして、部門内・部門間で、誰が・いつ・どの権限でデータをつくっているのか、データが生まれるタイミングや更新されるタイミングを意識した業務のフローをまとめていきます。

時には、ある担当者の表計算ソフトの中だけにデータが入っていることが分かったりします。

このように、効率化・正確性の観点で、あるいはコンプライアンスの観点で問題が見つかれば、その都度課題とし、お客様とともに解決方法を探っていきます。


また、業務フローを検討した結果、サブシステムの再構築などが必要となったときには、それを含めた提案も行います。

パッケージの枠にとらわれず、こうした提案までワンストップでできるバリエーションの多さは、私たちの強みの一つです。

「なぜ、システムが必要なのですか?」

私の原点は、この会社に入社してすぐ、大手電機メーカーの海外製造事業所で生産・物流等のシステム支援を担当した経験です。

当時、そのメーカーは、日本は設計のみとし、製造拠点はほとんど海外へシフトしており、私は、そこで現地企業のシステム化に携わりました。中国をメインに、タイ、フィリピン、韓国とずっと海外で作業を行い、当初、3~4カ月の予定が、結局5年もいることになりました(笑)。

中国で、ある現地企業の生産管理のマネージャーの方に言われたことは、今でも決して忘れません。

「人がいっぱいいて業務も回せている。出荷遅れなどの問題も発生させていない。毎日、忙しい中でいろいろとシステムに関する業務内容のヒアリングや打合せに時間を取られて、とても迷惑している。なぜ、システムが必要なのですか? システムなんて必要ありません!」と大きな声で怒鳴られました。

ハッとしました。なぜシステムが必要なのかをきちんと示せなければ、システムは使ってもらえないと思いました。

ですから、言葉も伝わらない中、その場でとっさにホワイトボードに向かって絵を描きながら説明しました(下図参照)。

システム化の目的は、このように考えています。

「本来は、業務のための運用ルールが明確化していて、かつ、ルールに従って正しい運用が確立されていることが前提で、システムはその効率を上げる仕組みです。私はシステム化により業務効率を上げるためにここに来ましたが、この会社はルールが確立されていません。このままではシステム構築は無意味になってしまいます。まずは現場のみなさんと一緒にルールづくりから始めましょう」。

そして、年度での活動計画、目標の立案、達成のための業務フロー改善など、本当にシステム構築前の作業から手がけていきました。

倉庫に製品を置くときの置き方や高さを考えたり、不良品の置き場を黄色いペンキで囲ったり、コンテナが入ったときに受け入れ業務を行う部屋を資材受入口に新規につくって、そこにPCを5台以上配備したり、伝票と物の流れが一致するように5枚つづりの受入伝票を設計し、伝票上に作業フロー図を入れて業者への発注の運用をはじめたり、などなど。

確定した運用ルールは、所定のビジネスルールとしてすぐに記載・印刷し、各業務担当部門の部屋に張り付けていきました。

また別の事業所の例では、生産管理システムが導入されていても全く機能しておらず、MRP(Material Resource Planning:所要量展開)展開した結果、すべての製造指図や発注オーダーは削除されてしまうような状態で、数十人の担当者が人海戦術で新たに手作業で、発注オーダーを入力している状態でした。

その時点から、自動発注率を向上させるための仕組みをつくるプロジェクトを計画し、人が95%手作業でしていたレベルから、自動発注率80%以上まで改善するという目標を設定し、システム導入と業務改善に取り組みました。結果的に目標達成には2年間かかりました。


そのプロジェクトでは、ルールづくりのために、全品目の調達や出荷に関わるリードタイムの見直し、資材ベンダーとの契約内容における基準情報の見直し、不良品の扱いや在庫管理の考え方、棚卸のやり方、マスタデータの整備とシステムを利用する現場の人達に理解していただくための現地メンバーへの教育や勉強会など、様々な改善活動にとても時間がかかりました。

しかし、すごく勉強になりました。以来、目標・目的を明確にして、お客様やユーザーとコンセンサスを取っていくようになりました。この姿勢は、今も変わりません。

また、お世話になった常駐先の大手電機メーカーのマネージャーの方々からは、とにかく現場主義を叩きこまれました。

物流の現場を知るために、成田の税関、大井ふ頭、華南のできたばかりの物流拠点の港にも行きました。製造の現場を知るために、全ての製造ラインを見学し、部品ベンダーの業務や考え方を理解するために、半導体、メッキ、基板をつくる工場にも出向きました。

机上論ではなく、現場の業務の流れを徹底的に把握しようとする姿勢も、このとき培ったと思います。

***

現状を徹底的に把握し、本質を議論する吉田。だから、コンサルタントがまとめた資料を見ても、ふーんと思うだけと言う。「きれいにまとまった提案であればあるほど、『現場はこんなにきれいなはずがない、実体が見えていないのでは』と疑ってしまうんです」。

プライベートでは、子供が中学生になり、手が掛らなくなった。週末に犬2匹を連れて、夫婦で一緒に散歩しながら会話するのが、今は一番の楽しみである。

※コラム内容は2015年2月時点のものです。

お問い合わせ

資料請求・デモンストレーション等、お気軽にご相談下さい。

お電話でのお問い合わせ

  • 03-5418-2424

受付時間 9時~17時30分
※土曜・日曜・祝日、当社指定の休業日を除く