スペシャルインタビュー

KPMGコンサルティングとJFEシステムズでROIC経営の最新事情について語り尽くす!【第2回】

第2回 ROICを導入した場合の経営管理の運用方法

――ROICの特徴について理解ができましたが、経営管理にROICを導入した場合、具体的にどのように経営管理サイクルを回していくことになるのでしょうか?

衣笠氏

衣笠氏:
企業価値向上を果たしていくためには、中期経営計画や単年度予算の策定時における経営資源配分と、期中における個別投資案件の意思決定、期末における事業活動結果の業績評価と撤退判断、までのPDCAサイクルを有機的に回していく必要があります。

よくありがちな例として、中期経営計画等でROEやROICを重視し3年後の目標値を開示されている企業がありますが、外部にはそのように公表しているものの経営管理上は売上高や営業利益をもとに経営資源配分を行っている企業が多く見受けられます。


一方で、期中における個別投資案件の意思決定においてはIRRやNPVなどを用いて投資額に対するリターンをハードルレートと比較して評価している会社は多くあると認識しています。つまり、投資効率の視点で経営資源配分していないにも関わらず、投資評価時は投資効率を意識しているケースが散見されます。また、投資後の業績評価や撤退判断においては、折角、投資時に投資額に対するリターンをハードルレートと比較して評価したにも関わらず、投資結果を評価する業績評価においては売上高や営業利益といった金額の絶対額で評価し、撤退判断においても赤字かどうかという視点で評価されることも多いと感じています。つまり投資時に意識されていた資本コスト(WACC)が業績評価・撤退判断では考慮されていない、といったことが見受けられます。

――確かに経営管理指標としてPL指標を中心に管理されている印象は強いですね。

衣笠氏:
はい、そうですね。ROICを経営管理に取り入れるということは、経営資源配分の際に事業別のROICを算出しWACCと比較して収益性を踏まえて各事業別の経営資源配分の大枠を決定し、期中の個別案件投資時に経営資源配分の際に意識したハードルレートと同じ考え方に基づいて投資意思決定を行い、その結果をROICで業績評価をし、撤退判断も3期連続でROICがWACCを下回っているかどうかで判断する、こうすることで経営管理のPDCAサイクル、つまり経営資源配分・投資・業績評価・撤退の判断は、一貫した評価軸、つまり「投資リターンvs資本コスト」で行うことができ、結果として企業価値向上につながっていくと考えています。

――経営資源配分を行う際にROICを具体的にどのように活用していくのでしょうか?

衣笠氏:
経営資源配分を行うためには、まず事業評価を行う必要があります。この際には、収益性や成長性、事業リスクなどの観点で評価を行いますが、収益性については事業別ROICを中心に従来のフロー指標も参考としながら行います。フロー指標とROIC指標の何れを重視するかは、事業ライフサイクルや課題、今後の方向性などで優先すべき指標が異なることからケースバイケースの判断が必要と考えます。

そして収益性・成長性などの観点から個別評価を行い、総合評価として各事業をA・B・Cなどの評価を行います。

吉田

この総合評価をもとに事業ポートフォリオの全体像を可視化するために、縦軸にROIC、横軸に成長性のマトリクスで各事業がどのステージに位置づけられるかマッピングをしていきます。この整理を行うことで収益性と成長性ともに高く積極的に事業投資していくべき事業や、逆に投資に対して十分なリターンを創出していない事業を特定し事業の改善・撤退を検討するなど、当該評価結果を踏まえて経営資源の適切な配分を進めていくことになります。

―― コーポレートで策定した経営資源配分の方針をどのように事業部の活動へ落とし込んでいくのでしょうか?

衣笠氏:
良くありがちなのは中期経営計画ではグループとしての方針を高らかに宣言したものの、各事業や現場まで落とし込まれず絵に描いた餅になってしまうことは往々にしてあり、この落とし込みの作業、全社方針と各事業とのブリッジというのは非常に重要なポイントになります。

中期経営計画において決定したグループとしての戦略や投資枠を踏まえて単年度予算を策定していくことになりますが、具体的にはグループ予算策定関係者が予算編成方針を策定するプロセスにおいて、「次年度の優先テーマ・重点施策」の中に、例えば「限りある経営資源のグループ各社および全社での効率的な活用により、将来予算の有機的な拡大を図る」というような形で投下資本効率を意識した重点施策を掲げ、具体的な管理目標として「経営資源の効率的活用が前年度以上に維持されていることをROIC指標も含めて継続的にモニター」という形で打ち出して、これを予算編成方針や予算ガイドラインという形で各事業・グループ会社へ示していくことが必要になってくると思います。

衣笠氏

また、全社方針と各事業とのブリッジという点では、ROICを各要素分解してROIC改善に向けたKPIを設定することも必要になります。

こうすることで、各事業部門やその中の機能部門の担当者にとって、ROIC改善ひいては企業価値向上のために自分たちが何をしなければならないか、逆に言うと自分たちの活動がどのような形でROIC改善に貢献するのかが数値で明確になり、現場活動と全社目標とのアラインがなされると思います。

すなわち、ROIC経営を事業部や現場を巻き込んで全社として進めていくためには、経営層と中間管理層・現場の一体となった指標運営、各層のKPIとのリンク、それをつなぐIT基盤を整備しておくことが必要です。

――ROICを要素分解して事業ごとのKPIに落とし込んでいくことは非常に重要な取り組みと思います。一方で、KPIを乱立させると弊害も生じてくると思いますが、その点はいかがでしょうか?

衣笠氏:
ご指摘はおっしゃる通りです。KPI設定のポイントとして、要素分解された各KPIを全て改善できれば当然ながら全社ROICも改善していきますが、事業によって何を優先すべきか置かれている環境によって異なってくると思います。

一般的に営業利益を拡大しようと思うと運転資本や固定資産を増やすことになりますが、そうすると資産効率(回転率)は悪くなる、つまり利益と資産効率はトレードオフの関係にあります。したがって、例えば、成長期にある事業についてはたとえ資産効率は悪くなったとしても積極的に投資して営業利益拡大に重きをおき、売上高拡大などのKPIをセットする、逆に成熟期にある事業は資産効率向上に重きを置くなど、KPIを設定する際にも事業環境や将来シナリオを踏まえて判断していくことが必要です。

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