株式会社みすずコーポレーション株式会社みすずコーポレーション 様

取材日:2015年11月

Microsoft Dynamics 365 Supply Chain Management
導入事例

業種
食品
キーワード
  • ERP
株式会社みすずコーポレーション

Microsoft Dynamics AXを採用し、構築期間5ヶ月という短期間で生産管理システムを刷新しました。

みすずコーポレーションは、1902年に創業して以来、110年以上にわたり凍り豆腐を製造し続けてきた食品メーカーである。現在、同社は、凍り豆腐、油あげ、味付け油あげなどの大豆加工食品を数百種類、製造している。商品の生産計画を担当する業務統括部では、Microsoft Dynamics AXを導入し、データ活用が進んだという。

Microsoft Dynamics AX導入の経緯とその効果について、労務対策管掌部 担当部長 塩野崎正和氏(写真右)、油揚加工事業部 郷道拓哉氏(写真中央)、業務統括部 生産業務部 課長 竹内聡氏(写真左)に詳しく伺った。

みすずコーポレーションの業態

- みすずコーポレーション業務統括部について教えて下さい

みすずコーポレーションは、凍り豆腐、油あげ、味付け油あげを初め、大豆を原材料とするレトルト食品やチルド食品を製造する食品メーカーです。長野市内の工場で毎日、凍り豆腐64万枚、油揚げ300万枚、味付け油揚げ560万枚を作っています。みすずコーポレーションというと『煮物の具』メーカーといったイメージがありますが、サラダ感覚で召し上がれる白和え関連の商品群を、1年ほど前から製造しています。

業務統括部は、営業部門と生産部門の調整を行うために設けられました。営業部門から集計した販売数をもとに各工場の生産計画を立てたり、将来的な工場の稼働計画の提案などをしています。

白和え関連の商品群

Microsoft Dynamics AX導入前の問題点
~原材料と商品の完全なひも付ができなかった

- Microsoft Dynamics AXはどのように活用していますか

業務統括部が立案する計画に必要なデータをMicrosoft DynamicsAXを使って管理しています。具体的には、生産高や原材料の使用量、ロス量、他の商品に転用した量などを日々入力し、それらを集計して生産計画の立案に活用しています。

- Microsoft Dynamics AX導入前はどのようにデータ管理されていたのでしょうか

システム会社に依頼してスクラッチ開発した管理システムを、10年ほど使っていました。しかし従来のシステムは、以下のような問題点がありました。

1.原材料と製品のひも付が完全ではなかった

塩野崎 正和 氏

「新製品が出たときも機能を容易に追加できるシステムにしたいと考えていました」塩野崎 正和 氏

製造工程では、異なる商品(A)(B)であっても、同じ中間製造物(X)を使うことがあります。この場合、中間製造物(X)を商品(A)(B)の在庫として持つことができればよいのですが、食品製造業の場合、それは難しく、各商品を作る都度、中間製造物(X)を作る製造指図を現場に出します。

商品(A)、商品(B)の生産量に応じて、それぞれ中間製造物(X)の必要量が決まり、その量を生産するわけですが、急遽、商品(B)の注文が増えたため、商品(A)用に生産した中間製造物(X)を商品(B)の生産のために転用することがあります。

従来のシステムでは用途変更した場合、原材料の使用履歴は現実を反映できず、原材料と商品の完全なひも付はできませんでした。

また、製造工程で生じる副産物を利用して、製造する商品があります。例えば、油揚げの製造工程では水分の含有量の均一化のために豆腐の両端をカットしますが、それを利用して別の商品を製造しています。このような場合も原材料と商品のデータを完全に一致した形で処理することはできませんでした。

2.新製品開発の度に改修が必要となるためコストが発生した

新製品を製造するに当たっては、新製品に関する項目をシステムに追加したり、集計の仕方を変更する必要があります。見た目はわずかな変更ですが、システム的には大きな変更が必要で、新製品が開発される度に外注して改修コストが発生していました。

3.欲しいデータが取れなかった

生産管理にあたって必要なデータを、必要な形で取り出すことができませんでした。そのため、例えば新規設備を導入した前後のロス率を比較して、設備が効率化にどの程度寄与しているのかをチェックしたり、あるラインでの昨年と今年の実績の比較をしたりすることができず、データを基にした厳密な検討が困難でした。

これらの問題を解決するため、システムを刷新することにしました。

Microsoft Dynamics AXをJFEシステムズから導入した理由

- システム刷新に際して、どのような要件で製品、システム会社を選定されましたか

前述3つの問題点を解決できることに加え、以下の条件を満たす製品、システム会社を選定しました。

【製品に関して】
1.当社の業務にあわせられる製品であること

機械製造業は、多数の部品が組み立てという工程を通じて1つの製品に集約されていきますが、食品製造業はそれとは異なり、製造工程で副産物や廃棄物が生じたり、中間製造物を他の商品に転用したりするなど、途中で枝分かれが生じます。

さらに、管理の単位が工程によって異なるという特徴もあります。例えば、凍り豆腐の場合、原材料の大豆は「t(トン)」で管理しますが、出荷の際は「枚(まい)」で管理します。こういった当社の生産プロセスをに標準で対応できる製品を求めていました。

2.低コスト・短期間で導入できること

特に今回のような管理系のシステムは、投資の費用対効果が見えにくいので、できるだけ導入コストを抑えたいと考えていました。また、導入時期を具体的に決めていた訳ではありませんが、新システム導入の準備は1年半前から進めており、できるだけ早期に利用し始めたいと考えていました。

郷道 拓哉 氏

「商品ごと、ラインごとの生産工程を詳細に分析し、具体的にフローにまとめていたことも、スムーズに導入できた要因です」
郷道 拓哉 氏

【システム会社に関して】
1.食品業界に知見のあるシステム会社であること

前述のように、食品製造業は機械製造業などと工程が全く異なります。使い勝手の良いシステムをスムーズに導入するためには、食品業界の工程や抱えている問題点を理解しているシステム会社を選ぶつもりでした。

2.安定したサポートを受けられる企業であること

以前利用していたシステムは、保守・サポートに不満があったため、新システムでは長期にわたり安定したサポートを得られる会社にしたいと考えていました。

上記を考慮した結果、Microsoft Dynamics AXをJFEシステムズから導入することにしました。

試用の際に確認したこと
~イレギュラーにも対応できるか

Microsoft Dynamics AX導入を決定した後、2ヶ月程、試用期間を設けました。

- 試用にあたっては、どのような点を確認されましたか

みすずコーポレーションの生産プロセスに沿って利用できるか、主に以下の3点について確認をしています。

まず1つ目は、以前のシステムで使っていた項目が最低限入力できるか確認しました。従来のシステムで使っていた項目は、各種集計表に必要だったからです。

2つ目は、生産工程で発生する用途変更や転用に対応できるかチェックしました。転用とは、例えば、油揚げが特売で売り切れてしまった等の理由で追加注文が入ったような場合に、味付け油揚げ用に製造していた油揚げを味付けせず、普通の油揚げとして出荷することをいいます。使用した原材料と出来上がった製品をひも付けるためには、これらに対応することが必須です。

3つ目は、工場で使用している日報に必要な項目があるかの確認をしました。日報には、原材料の使用量、ライン稼働時間、作業人員数などの基本的な項目に加え、商品梱包用の箱が不足し他の場所で箱詰めした場合は、商品の社内移動の履歴を残すなど、イレギュラーな情報を記載する項目も必要となります。このため、毎日発生するさまざまなイレギュラーへの対応も求められていました。

竹内 聡 氏

「従来は、生産計画書を作成するために、定型テンプレートの形で紙に出力して、それを見ながら必要な情報をエクセルに手入力していました」竹内 聡 氏

導入時の工夫点
~製造工程の流れを事前にまとめた

- 導入に当たって工夫されたことはありますか

先に少し述べましたが、準備を1年半前から行っていました。生産工程を製品ごと、ラインごとに分析し、どのようなイレギュラーが発生するのか、どのラインの副産物がどのように別の製品ラインに流れるのか等をフローにまとめました。この準備をしっかり行っていたことも、短期間での導入に役立ったと思います。

- 導入時の研修などはどのようにされましたか

1部署ごと2時間の研修を4回程度、合計18ケ所で行いました。研修では説明にとどめず、ユーザーにシステムを操作して慣れてもらうことを心がけました。研修が終わる頃には、日常に必要な入力は自分で行えるレベルに達することができました。

今回の開発を担当した弊社プロジェクトマネージャーの中川は、「お客様が事前にまとめられた資料を基に、Microsoft Dynamics AX導入案件における弊社のノウハウを生かしながら要件確定作業を進めました。

多くの機能要件はMicrosoft Dynamics AX標準機能で実現できましたが、一部のお客様固有の要件ついては、軽微なカスタマイズと運用の見直しで解決することができました。その結果、5ヶ月という短い導入期間で本番稼動を迎えることができました」と振り返ります。

中川 貴史

弊社開発担当 中川 貴史

導入効果
~様々な切り口でデータを活用できるようになった

- Microsoft Dynamics AXの導入効果について、教えて下さい

データの見える化が実現でき、必要なデータを手軽に見ることができています。例えば、従来は月単位でしかできなかった商品ごとのロス状況を日ごとに把握したり、あるいは、交代制で稼働しているラインの状況を、生産量、ロス量、人員数など様々な切り口でチェックすることができるようになりました。

また、必要なデータをエクセルに出力できるので、自分で加工して計画書・報告書にまとめるなど、データを活用できるようになりました。データ活用は現場にも広がり、現場の管理者から○○についてのデータを××の切り口で欲しいとの依頼が来るようになっています。さらに、日報や月報といった定型データの作成を自動化できるので、業務の効率化を図ることができました。

JFEシステムズに対する評価

- JFEシステムズの対応はいかがでしたか

システム切り替え時の混乱を防ぐために、これまで現場が行ってきた管理方法を踏襲できるシステムになるよう依頼していましたが、具体的に依頼しなかったことでも必要だと思われることはJFEシステムズの方から提案していただき、みすずコーポレーションの業務にあった使えるシステムになりました。

JFEシステムズには、製品の標準機能をベースとして運用できる提案を積極的にしていただいたことで、低コスト・短期間の導入が実現できました。また、導入後の問い合せにも、細かな点に至るまで丁寧に回答いただき感謝しています。

今後の展望とJFEシステムズへの期待

- 今後の取り組みのご予定について教えて下さい

蓄積したデータをいかに活用するかが今後の課題です。その次には、原価管理や在庫管理システムと連携して原価と在庫の見える化を進め、経営判断に役立つデータを提供できるようにしたいと考えています。また、現場の社員が今まで以上にデータを活用していけるように、活用方法の情報提供をしていく予定です。

- 今後のJFEシステムズに対する期待について教えて下さい

今回JFEシステムズには、Microsoft Dynamics AXの標準機能を利用して、コストの抑制とデータ管理のしやすさとのバランスをうまくとってもらうことができました。今後、運用していく中でさらに必要とする機能が出てくると思いますが、それらの機能を低コストで導入できるツールとして提供してもらえると助かります。今後ともよろしくお願いいたします。

- お忙しい中、貴重なお話しをありがとうございました。

※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。

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