株式会社みすずコーポレーション株式会社みすずコーポレーション 様

取材日:2012年08月

Mercrius(メルクリウス)
導入事例

業種
食品
キーワード
  • 食品業向け 統合データマネージメント
株式会社みすずコーポレーション

Mercriusの導入、仕様書情報管理システムの構築により、お客様からの問い合わせに対し迅速・正確な対応が可能となりました。

長野県を拠点に、こうや豆腐、油あげ、味付けいなりなどの大豆加工食品を製造する株式会社みすずコーポレーション様。昨今、食の安全への関心が高まる中、2011年に商品情報、原材料情報、包装材料情報を統合管理する「仕様書情報管理システム(SJKシステム)」を構築した。そこで今回、その経緯と効果について、執行役員 システム部 部長 田中雅巳氏(写真右)、商品開発部 部長 持田明美氏(写真中央右)、品質管理部 品質管理課 主査 深澤真理子氏(写真中央左)、購買部 課長 和田勅子氏(写真左)にお話をうかがった。

みすずコーポレーションについて

- みすずコーポレーションの会社概要についてお聞かせください。

明治35年創業、110年以上の歴史を持つ食品メーカーです。伝統食品であるこうや豆腐を食べやすく加工し、100種類強の商品として全国に提供しています。近年では、油揚げや味付け加工食品にも注力しており、「味付けいなりあげ」や「きつねうどんあげ」など、200種類近い総菜商品を取り扱っています。現在の主力商品である「味付けいなり」は、個人向け商品と業務用商品の両方を提供。日本一の油揚げメーカーを目指して生産体制を強化しています。2012年3月期の総売上高は122億円、社員数は627人になります。

商品画像

食品メーカーを取り巻く環境

- 今、食品メーカーに求められていることをお聞かせください。

近年、食品業界では中国製ぎょうざの中毒事件や、O157による食中毒、食物アレルギーなどの問題が次々と起こったため、安全性や品質管理に対する要求基準が非常に高くなっています。そのため、商品を市場に供給する際には、安全・安心情報を併せて提供することが必須となりました。また、原料や原産地などに関する、消費者からの問い合わせも急増しています。このように、食の安全への関心が高まる中、食品メーカーはそれに対応できるだけの管理体制を整えていく責務があると考えています。

Mercrius導入以前の業務環境

- Mercriusを導入する前は、商品情報や原材料情報をどのように管理されていましたか。

商品仕様書(商品カルテ)は、Excelシートで作成・管理していました。一方で、原材料規格書や包装資材仕様書、配合表などは、品質管理部門や購買部門などが個別に作成し、紙にプリントアウトしてファイリングしていました。社内を見渡せば、必要な情報は揃っているのですが、管理そのものは一本化されておらず、情報が社内に点在している状態だったのです。

しかし近年、原材料の規格変更が頻繁に発生するようになり、また、取引先や一般消費者からの製品に対する問い合わせの頻度も格段に増加しました。従来のようなアナログの管理体制では、情報の鮮度・品質を担保するのが難しく、これに対応することが難しいため、新たな仕組みの必要性を感じていました。

Mercriusを採用した理由

- システム選定の経緯をお聞かせください。

実はシステム導入の検討開始から、Mercriusにたどり着くまで約3年かかっています。その間500万円の簡易なパッケージから、数億円のお金がかかるスクラッチ開発まで、さまざまなシステムを検討しました。その中から、当社の要望に最もフィットしたパッケージがMercriusでした。

- Mercriusを選ばれた理由はどこにありますか。

大きなポイントは、項目や画面の修正・変更が簡単にできるといった、導入後の運用性の高さでした。一般的なパッケージソフトは、システム本番稼働後に修正・変更しようとすると追加の開発をベンダーに依頼しなければならず、余計なコストがかかってしまいます。しかしMercriusなら、「Mercrius デザイナー」の機能を使うことで、項目や画面の追加を自分たちの手で行えるため、柔軟性の高いシステム運用が可能です。また、導入前に同業他社で実際に使っているところを見学させていただき、ユーザーの生の声を聞けたことも有り難かったです。

商品開発部 部長 兼 ISO推進室 持田明美氏

「3年かかってようやく理想とするパッケージソフトにめぐり会いました」
商品開発部 部長 持田明美氏

Mercriusの利用用途

- みすずコーポレーションでは、Mercriusをどのような用途で使っていますか。

「商品情報(商品仕様書)」「原材料情報」「包装材料情報」の3つをMercriusに登録し、「仕様書情報管理システム(社内ではSJKシステムという名称をつけています。)」として利用しています。実際にシステムを使っているのは、商品開発部、品質管理部、購買部のメンバーと、工場の上長とライン長、業務統括部門、営業管理部門の担当者などです。部門ごとに、入力、修正、閲覧、印刷などに必要な権限を設定し、部外者が情報の入力・修正ができないよう、ガバナンスをかけています。

システムイメージ図

システム構築のポイント

- 「商品情報(商品仕様書)」のシステムを構築するにあたり、工夫したことはありますか。

商品仕様書は従来と同じ形式で出力できるようにしました。システム導入以前は自社独自の商品仕様書で運用しておりましたので、それを変更するとユーザー側に混乱が起こることが想定されました。それを避ける為に、あえて新・旧2種類の様式をサポートすることで混乱を避けることとしました。旧来の商品仕様書様式と新しい商品仕様書様式、どちらでも出力できるため、ユーザーは自分の使いやすい様式で情報を確認できます。導入から1年半近くが経った現在では、ほとんどのユーザーが新しい様式で出力しています。

- 「原材料情報」のシステムを構築するにあたり、苦労したことがあればお聞かせください。

当初はユーザーの利便性を考慮し、できる限り旧来の原材料管理シートの様式を変えないよう画面を設計したのですが、なかなか思うようにいかず、悩んでいました。そんな時にJFEシステムズから原材料管理シートの様式に関する提案があり、それが突破口となり新様式の決定に至ることができました。

また、最新の原材料情報を登録するため、300社を超える原料メーカー様にデータの提供を依頼しましたが、これもなかなか思うように情報を収集できませんでした。メーカー各社様によって対応に差があり、最終的にすべてのデータを収集出来たのは数カ月後でした。

- 「包装資材情報」のシステムを構築するにあたり、工夫したところを教えてください。

ポイントだったのは、包装資材規格書の統一様式を設計したところでしょうか。包装資材には、パッケージフィルム、段ボールケース、シール、クラフト袋など大きく分けて4種類あり、資材ごとに必要な情報や記載ルールが変わります。例えばサイズの記載ルールひとつを取ってみても、段ボールは「何ミリ×何ミリ」と表記しますし、フィルムは「何センチ幅×何メートル」と表記します。そのため従来は、資材ごとに複数の様式を用意していましたが、今回は必要な情報が漏れなく反映されるよう、統一様式の設計を行いました。ツールもWordからExcelベースに変更し、メーカーから提供された情報を直接システムへ取り込めるようにもしました。

プロジェクトの成功要因

- 導入プロジェクトに要した期間を教えてください。

2011年1月にプロジェクト・キックオフ、その後2.5カ月でファーストステップの構築を終えました。

諸事情により開発期間が短かったため、多少の不安はありましたが、重要な局面では必ず顔を突き合わせながら打ち合わせを行い、プロトタイプで実際の動きを確認しながら作業を進めました。やはり、設計書等のドキュメントを見ながら打ち合せするよりも、実際に動くプロトタイプ画面を見ながら議論するほうが安心ですからね。

- プロジェクトの成功要因はどこにあったとお考えですか。

ひとつのポイントとしては、システム移行に際して、既存商品よりもシステムが稼動した2011年4月以降に発売される新規商品の情報を優先してシステムに登録したことでしょうか。新規商品ということで、既存の資料からの移行の手間がなく、また登録する種類・数量も絞ることで、システム稼動直後にトラブルが発生しないように配慮。おかげで、スムーズに立ち上げることができました。3カ月後には主力商品の登録も終了、それ以外の商品については、紙ベースの資料も残しつつ、2011年6月から2012年3月まで約半年の時間をかけて順次、移行を進めました。完全移行を急がなかったことも成功の要因のひとつだと思います。

- 配合作成・表示作成機能はどのように活用しましたか。

パッケージ配合・表示機能をプロトタイプ版の段階で実データを使い確認しました。システム機能でシンプルに構成することで、商品企画、原材料規格書の配布、原材料の登録、商品配合作成、商品表示作成までの操作を最小限に留めることができました。

導入効果

- Mercriusの導入効果をお聞かせください。業務にどのような変化が現れましたか。

(1) 生産リードタイムの短縮

関連部門に対する商品情報の提供がスムーズになりました。当社では新商品を開発する際、初回生産前に、「この商品はどの工場で生産し、味組みはどのレシピを使う」といったアナウンスを関連部署すべてにかけます。以前は、商品情報を紙ベースで関連部署に配布していたため、回覧が終わるまでに1週間以上かかることが当たり前でした。また、書類配布から回収、ファイル管理まで手作業で行わなければならず、担当者の負担もかなりなものでした。

新システムでは、進捗確認から承認手配まで、パソコン上で実行できるため、商品リニューアルの案内も数日で対応可能になりました。そして、情報共有のスピードが速くなった結果、それだけ早く生産に着手できるようになり、生産リードタイムの短縮も実現しました。

購買部 課長 和田勅子氏

「紙ベースの資料からシステムに替わり、管理効率が飛躍的に向上しました」
購買部 課長 和田勅子氏

(2) 情報の一元管理による網羅性向上と鮮度保証

情報の一元管理が実現しました。以前は、商品仕様書と他の書類(原材料・包装材・配合表)をバラバラに管理していたため、商品仕様書ごとに配合表や原材料規格書を用意しなければなりませんでした。例えば、ある商品に関する商品仕様書を作成する場合、社内に分散している書類を探したり、商品の写真がないので新たに撮影したりと、担当者の負担も大きかったのです。

新システムでは、商品仕様書を選択するだけで、自動的にそれと紐付く原材料情報などが表示されるため、書類の作成や準備に要する時間が10分~1時間程度短縮できました。さらに、以前は情報の更新があるたびに書類を最新版に差し替える作業が発生しましたが、システム化により情報の一元管理が可能となりました。

また、商品に関するすべての情報が一元的に管理されるようになった為、商品情報の鮮度・網羅性が格段に向上しました。以前は必要に応じて社内に点在する情報(原材料情報・配合情報・半製品情報・包材情報など)を必要に応じて人手で収集していた為、その情報が本当に最新なのか、漏れがないのかなど、不安要素を常に内包していましたが、システムで一元的に管理するようになったことで、その部分が払拭され、社員は本来業務以外のことに力をそがれることなく業務に注力できるようになりました。

(3) 一括表示ラベルの自動作成

商品パッケージに記載する原材料の一括表示ラベルの自動化作成が実現しました。原材料の一括表示については、その順番や添加物の有無など記載の方法が法律で細かく定められており、ミスは許されません。そのため従来は知識と経験のあるベテラン社員しか担当できませんでしたが、Mercriusを導入したことで、法規対応などもシステムできちんとチェックされるため、新人社員でもベテラン社員の業務を手伝うことができるようになりました。更にシステムでのチェックに加えて既存のExcelシートによる2重チェックも行っており、ミスの防止に努めています。

(4) 商品と原材料の完全なる紐付け

お客様から商品の原材料について問い合わせを受けた際の回答レスポンスが格段に改善されました。「貴社の商品にはメディアで話題となっている原材料が使われているのか」といった問い合わせに関しては従来も比較的迅速に回答できていたのですが、「メディアで話題となっている原材料は御社のどの商品に使われているのか、使われているならどの商品か?」といった問い合わせに関しては、品質管理部が人海戦術で調べるしか方法がなかったため、回答するまでにかなりの時間を要していました。新システムでは商品と原材料が生産途中の半製品も含めて完全に紐付けされているため、原材料名で検索するだけで、それを使用している商品をすぐに特定できます。

品質管理部 品質管理課 主査 深澤真理子氏width=

「社員は迷うことなく欲しい情報を簡単に探すことができます」
品質管理部 品質管理課
主査 深澤真理子氏

検索時間は、内容にもよりますが、従来は平均3名で2時間かかっていた作業が、今では1名15分程度で終了しています。

(5) 原材料の固有情報、配合情報の共有化

特定の人に依存していた原材料詳細情報が、組織全体で共有化できるようになりました。従来、原材料の2次情報、3次情報の記載や資料作りについては、ノウハウや担当者ごとのクセがあり、新人社員に任せるには長時間のレクチャーやチェック作業が必要でした。新システムでは、原材料詳細情報が数値も含めて正確に出せるため、新人社員でも原材料の資料やデータが簡単に作成できるようになりました。

(6) ファイル管理の効率化

包装材規格書フォームを標準化し、材料メーカーから提供された包装資材情報を直接取り込めるようにしたことで、ファイル管理が効率化されました。従来の紙ベースの資料では、「この商品に使われている包装資材は何?」といった問い合わせを受けても、情報の検索には時間がかかり、また規格の変更があった際も、情報更新にタイムラグが生じていました。新システム導入後は、正確かつスピーディな回答が可能になり、さらに規格変更の際も素早く情報更新ができるようになりました。

(7) 工場の工程管理に活用

生産部門では、配合表を工程管理表の作成に活用しており、原材料や商品の状況をリアルタイムに見ながら準備を前倒しすることで、生産効率を高めています。

今後の展望と期待

- MerQuriusの今後の活用と、JFEシステムズに期待することをお聞かせください。

今回稼動した仕様書情報管理システムを社内の経理システムや購買システムと連携するとともに、商品企画から生産管理、原価管理までの業務を一気通貫させたいと考えています。JFEシステムズには、今回構築から運用まで親身に対応していただきました。Mercriusに関するお問い合わせ窓口のレスポンスが良いので距離感を感じません。構築担当のエンジニアの方にも、保守窓口と連携してタイミング良くフォローに入っていただいています。

これからも引き続き当社のシステム化推進への変わらぬ支援をお願いします。

- 本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。

管理統括部 システム部<br />部長 田中雅巳氏

「データベースの知識がなくても構築できる使い勝手に優れたシステムです」
執行役員 システム部
部長 田中雅巳氏

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