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JFEスチール株式会社JFEスチール株式会社 様

取材日:2013年09月

Microsoft Dynamics 365 for Operations
導入事例

業種
鉄鋼
キーワード
  • ERP
JFEスチール株式会社

グローバル展開に向けた海外グループ会社の標準システムとしてMicrosoft Dynamics AXをベースにした基幹システムを構築
親会社とグループ会社で基幹システムを使い分ける2 Tier構成により、低コストかつ短期間での構築と安定稼働を実現

JFEスチール株式会社(以下、JFEスチール)は、2013年4月のタイ鍍金工場の操業開始に向けて、海外グループ会社向けの基幹システムをMicrosoft Dynamics AX 2009をベースに構築しました。JFEスチールでは、同システムを海外グループ会社向けの標準システムと位置付けており、今後の海外グループ会社展開においては、同システムを共通利用することにより、短期間かつ低コストでの基幹システムの導入が可能としています。

また、同システムでは、JFEスチール本社のスクラッチ構築された大規模基幹システム「J-Smile®」とMicrosoft Dynamics AXを連携させることによって、JFEスチールが培ってきたノウハウや優位性を確保しつつ、ERPパッケージによる標準化を実現しています。

JFEスチール株式会社について

2003年に、日本鋼管株式会社と川崎製鉄株式会社が経営統合して誕生したJFEスチール株式会社は、「常に世界最高の技術をもって社会に貢献します。」という企業理念のもと、産業社会を支える基礎素材である鉄鋼製品の世界有数の製造メーカーとして、広く社会の発展に貢献しています。

同社は、東日本製鉄所(京浜、千葉)、西日本製鉄所(福山、倉敷)という、東西2つの一貫製鉄所を中心とした効率的な生産体制をベースに、積極的なグローバル展開を行い、求められる鉄鋼製品をスムーズに供給できる体制を構築しています。

JFEスチール製鉄所

導入背景とねらい

- 今後のグローバル展開をスムーズにする
海外標準システムの構築を模索

JFEスチールでは、情報部門を単なるシステム構築と保守を行う部署ではなく、ITシステムを使って業務を変革させる提案を行う部署と位置付けており、ITの専門家はもちろん、営業、商品技術、生産管理などの業務に詳しいメンバーも交えて業務改革を行ってきました。2003年の統合から10年が経ったJFEスチールでは、鉄鋼業の環境の変化や迅速なグローバル化への対応が課題となっており、海外事業展開に向けた標準システムの構築が急務であったとJFEスチール IT改革推進部長の原田 敬太 氏は話します。

「弊社も統合などを経て規模が大きくなってきましたが、その間、お客様の側でも、事業の統合・再編や、グローバル展開が進展し、弊社を取り巻く環境が大きく変化してきています。
その結果、従来からの、製鉄所での高炉から最終工程までの一貫生産に加えて、ビジネスのスピードアップやお客様の生産拠点のグローバル展開に対応した、新たな生産体制も要求されるようになってきました。特に、お客様のグローバル拠点にスピーディに製品を提供するために、日本から最終製品を輸出するのではなく、提供先に近い場所で最終工程を行って、お客様が要求する品質の製品を必要なときにすぐに提供できる体制を整える必要がありました」。

原田 敬太 氏

「海外事業展開に向けた標準システムの構築が急務でした」原田 敬太 氏

なかでも、国内の自動車会社は海外に工場を建設するなど、海外進出が顕著になっています。従来からJFEスチールでは、米国、欧州、東アジア、東南アジアなどへのグローバル展開を進めてきました。しかしながら、海外のお客様の要望に更に一段高いレベルで応えるためにも、すぐに製品を供給できる工場を現地に建設する必要がありました。高炉から一貫製造する工場を建てるには莫大なコストがかかるため、国内の製鉄所から海外グループ会社に原板を供給し、最終工程を現地で行って製品化することでスムーズな製品の提供を行おうと考えたのです。

JFEスチールは、2013年4月の操業開始を目指してタイに自動車用鋼板の最終工程であるメッキ工程の工場建設を計画しました。その際、これまでの海外グループ会社のように個別にシステムを構築するのではなく、海外標準システムを設計して今後のグローバル展開に役立てることを決定しました。「各拠点で短期間・低コストでのシステム導入を可能とすること」「本社との連携を強化して日本と同等の品質とデリバリー管理レベルを実現すること」「グループ全体最適の観点から経営資源管理とガバナンスを効かせること」の3つを基本的な考え方とし、「共通システムの構築」「スチール本社と連携した需給管理と一貫した品質管理」「データや管理指標の一元化と業務の標準化」を行うことが目指されました。

標準システムを構築するにあたっては、JFEスチール本体で長年利用され、業務に合わせてカスタマイズを行ってきた独自開発の基幹システム「J-Smile®」を海外グループ会社用に作り変えるか、ERPパッケージを適用するかが大きな選択でした。「J-Smile®」をベースに開発を行えば、JFEスチール固有の運用や業務に合わせたシステムを構築できますが、海外に対応するように作りこむことに課題があり、開発および運用コストも高くなってしまいます。一方で、ERPパッケージでは標準業務プロセスが提供され、外国語や海外の制度への対応がしやすくなりますが、JFEスチールの業務に合うかどうかや業務の独自のノウハウを使えなくなる可能性が懸念されました。

導入の経緯

- Microsoft Dynamics AXをベースに基本部分を設計し、必要な部分は既存のシステムと連携させる

JFEスチールは、ERPパッケージであるMicrosoft Dynamics AXをベースに海外標準システムを構築することにし、2011年7月からプロジェクトを開始しました。IT改革推進部 海外プロジェクトグループリーダーの西村 誠司 氏は、Microsoft Dynamics AXを採用した理由を次のように話します。「タイの工場は自動車用鋼板のメッキラインのみで、一貫生産の製鉄所に比べれば小さな規模の工場です。一貫生産の製鉄所に比べて生産管理が必要な工程数や製品数が少ない点を考え、必要な機能や初期コスト、運用コスト、従来のシステムやデータベースとの連携やアドオンの追加のしやすさなどを総合的に判断してMicrosoft Dynamics AXが最もバランスが取れている製品だと考えました」。

JFEスチールでは、本体の基幹業務は自社開発の「J-Smile®」で対応し、海外グループ会社はMicrosoft Dynamics AXで対応するという「2 Tier構成」の考え方を採用。さらに、海外グループ会社では、パッケージの標準機能が利用できる部分はMicrosoft Dynamics AXを活用し、既存のノウハウや固有の業務部分を「J-Smile®」と連携させるようにしています。これによって、開発・運用コストを抑えるだけでなく、従来の業務で培ってきたJFEスチール独自の優位性を維持しながら、パッケージ利用による標準化の達成との両立を目指したのです。

西村 誠司 氏

「Microsoft Dynamics AXが最もバランスが取れている製品だと考えました」西村 誠司 氏

具体的には、経理および購買はMicrosoft Dynamics AXの標準の機能をできるだけ活用し、需給管理と受注はMicrosoft Dynamics AXをベースにして顧客に対応するために必要な部分をアドオンで追加するようにしました。また、データ項目数が多岐にわたる製品仕様の管理機能は「J-Smile®」側で処理するように連携させているほか、各国ごとに制度が異なる人事給与はローカルパッケージを採用し、設備や制御のしくみがラインによって異なるMES(Manufacturing Execution System)は拠点ごとの対応としています。

IT改革推進部主任部員(課長)長岡 洋平 氏は、「Microsoft Dynamics AXは、他のERPパッケージに比べてコストパフォーマンスとカスタマイズ容易さに魅力があり、かつ約40ヶ国の制度や言語に対応し、多くの国々での導入実績があったことが決め手となりました。グループ会社であるJFEマテリアル株式会社での導入実績も心強かったです」と話します。 コストやアドオン開発のしやすさだけでなく、「J-Smile®」やJFEスチールで利用されている本社統合データベースとの連携のしやすさもメリットとなりました。海外標準システムの構築と運用を行うJFEシステムズ 東京事業所 販生流システム開発部グローバルSCMグループ長の渡邉 崇は、「当初AXは、「J-Smile®」などの他のシステムと連携させるためには、非常に多くの工数がかかると考えていました。しかし、需給調整の機能は、マイクロソフトがAX向けソリューションとして認定している生産スケジューラ「Demand Solutions DSX」の標準のスケジューリング機能を活用し、Microsoft®BizTalk®Serverで連結させることで、工数をかけずに連携させることができました。一部の制御系を手作業でつなぐ必要がありましたが、今後のグローバル展開ではこれらのノウハウがわかるようになったので、工期を短くできるようになると思います」と当時を振り返ります。

長岡 洋平 氏

「多くの国々での導入実績があったことが決め手となりました」長岡 洋平 氏

Microsoft Dynamics AXをベースとした海外標準システムは14ヶ月の短期間で構築され、2013年4月のタイ工場の営業生産開始に先駆けて利用を開始し、現在まで大きなトラブルもなく安定稼動しています。

導入効果

- 短期間のスムーズな導入と安定稼動を実現
システム統制しながらグローバル展開していく

長岡氏は、Microsoft Dynamics AXを採用することで短期間での構築を実現できたことを「まだグローバル展開に慣れてない企業が、初めて構築する標準システムを14ヶ月で完成させ、1つの新しい会社の設立を支援できたことは非常に意味のあることだと思っています。また、構築後の重大なトラブルがなく、安定稼動していることも大きな成果です」と評価しています。また、西村氏も続けて次のように話します。「スクラッチで開発していたら、おそらく2~3年はかかっていたと考えられますし、予算内では収まらなかったでしょう。構築期間としては、スクラッチに比べて40%くらいの期間で収められたのではないでしょうか。また、スクラッチの場合は、初期トラブルの不安定さや構築後のメンテナンスの負荷を考慮しなければなりませんが、パッケージ製品であるMicrosoft Dynamics AXは初期段階から安定感があると感じました」。

現地のタイでも操業に合わせて迅速な開発が行われたことや、インターフェイスの親しみやすさとMicrosoft®Excel®との親和性の高さなどの使いやすさについても、高く評価されています。しかし、一方で、業務に合わせて手作りされたシステムを使い慣れているJFEスチール出身の社員にとっては、使い勝手の違いにとまどうこともあったと言います。「パッケージをどこまで作りこむかということは、我々だけでなく、多くの企業の悩みだと思います。幸い、今回検討に加わった業務側のメンバーは、「パッケージベースで標準システムを作る」という基本思想とその必要性をよく理解したうえで、その趣旨に沿った業務の設計をしてくれました。それでも、実際にシステムを使う段になると、どうしても、勝手が違ったり、使いづらいと感じる部分があるようです。ERPパッケージ標準機能に無理やり業務を合わせた結果、使えないシステムになってしまったのでは本末転倒ですし、一方で、利用者側の要求に対応して何でも作りこんでいたのでは、パッケージを導入する意味がありません。ERPパッケージの標準機能でカバーできる部分と作りこみが必須の部分の境目がどこなのか、という見極めに常に悩みながら構築を進めてきました。利用者の利便性と業務負荷とのバランスを考慮しつつ、お客様への品質保証などの観点から対応すべきところを見極める必要があります。その上で、グループ全体として統制の取れたシステムを維持・発展させてゆくことが課題です」(西村氏)。

また、原田氏もパッケージ採用のコツを次のように話します。「利用者の利便性を高めることばかり考えていたら、標準システムとしての意味がなくなり、グループ全体としてのシステム統制が取れなくなってしまいます。今後の2ヶ国目や3ヶ国目では、まったく違う改善要求が出てくることも考えられるため、ガバナンスをきちんと日本で効かせて、改善すべき点を見極める必要があると思います」。

そのため、JFEスチールでは、海外拠点ごとに固有のシステムである人事給与やMESを除いてMicrosoft Dynamics AXを中心とする標準システムは日本国内のデータセンターに置き、現地からはシンクライアントで日本のサーバーに接続するようにしています。この理由について西村氏は、「グループ全体としてのシステムの統制という点と、「J-Smile®」と密な連携を取るため、物理的に「J-Smile®」がある日本に設置するほうがよいという点の2点から、判断しました。システムの改変は常に日本側で行うこととし、改善要求も標準システムとして必要かどうかを日本で判断し統制を掛けるようにしています。また、メンテナンスや管理の面でも日本で集中管理したほうが効率的でメリットがあると思っています」と説明します。

今回の構築を振り返って渡邉は、「今回の案件では、JFEスチールが中期戦略として何をするかをシステムに盛り込み、無理にERPパッケージに合わせたり、無理にスクラッチで開発せずに、両方のよい部分を取り入れていると思います。製品仕様の設定など、今までJFEスチールが培ってきたノウハウに関わる部分は、従来のシステムを利用して、海外グループ会社用のERPパッケージと連携させるといった落とし込み方は、これから海外グループ会社を展開していこうと考えている企業には非常に参考になると思います」と話します。

渡邉 崇

「ERPパッケージとノウハウが詰まった従来システムの両方の良いところを連携させることができました」渡邉 崇

システム構成
Dynamics AXを中核に、グループ間で共通利用する標準システムを構築
税制など個別対応が必要な部分は、個別テンプレートを導入

※J-CCOREsは、JFEシステムズが自社開発した原価管理パッケージです。

システム構成

「J-Smile」「Smile Port」は、JFEスチール株式会社の登録商標です。

業務領域毎の基本的な考え方

業務領域毎の基本的な考え方

今後の展望

- 今後の同品種の海外グループ会社展開において、
7~9ヶ月での導入を目指す

JFEスチールでは、タイ工場の営業生産を皮切りに、今後展開予定の海外グループ会社でも今回構築した海外標準システムを活用することを計画しています。西村氏は、今後の展開について「海外標準システムを構築した価値は、2社目や3社目で発揮できると考えています。これらで低コスト、短期間、トラブルなしで展開できることによって、より大きなメリットが生まれるでしょう。最初は14ヶ月で構築しましたが、次の工場では7~9ヶ月くらいの期間で構築することを目標にしています」と話します。また、西村氏は、「タイでは、現地の税制会計制度に対応したテンプレートを採用しています。ERPパッケージは単体で力を発揮するものではなく、テンプレートの活用や他システムとの連携で効果を発揮するものなので、本体以外のテンプレートなどを充実させ、業態や各国の税制会計制度に対応したものが出てくることに期待しています」と話を続け、海外グループ会社のシステムとしてMicrosoft Dynamics AXを採用する企業が増えて、それらの企業と情報を交流することや、グローバルにシステムを提供しているマイクロソフトのサポートへの期待を寄せています。

また、今回の構築によって、海外拠点へのシステム導入には「開発手法の確立」「グローバル人材の育成」「ガバナンス体制の構築」などの課題が見えてきたと長岡氏は話します。「今後の展開に向けては、今回の開発手法をパターン化する必要があり、ドキュメントの充実やデモンストレーションの実施でエンドユーザーの理解を深めていかなければならないと感じています。そのためには、パッケージに精通し、現地の事情や業務に詳しく、語学も堪能な人材を育成することが必要不可欠です。また、システム立ち上げ後の変更を管理するプロセスを確立して、拠点ごとの固有の仕様が増えないようにガバナンス体制を構築しておくことも重要だと考えています」。

「統合して10年が経ち、鉄鋼業を取り巻く環境が変わってきている中で、製鉄所での一貫したものづくりだけでなく、グループ会社間でのオーダーのやり取りなど、柔軟なものづくりのしくみを考えていかなければなりません。また、日本国内のシステムが相対的に古くなってきているので、これらのリプレイスも考えなければならない時期になってきています。国内では、これまで30年間スクラッチで構築したシステムを使い続けていますが、今回の海外標準システムの新たな試みを評価することによって、国内システムのリプレイスにも良い部分を反映するようにしたいと考えています」と話す原田氏。

JFEスチールは、システムの力を有効に活用しながら、今後もグローバルに事業を展開し、多くの産業の活性化を鉄鋼の力で支えていきます。

- お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。

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