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日立金属株式会社日立金属株式会社 様

取材日:2014年05月

スマートデバイス向け開発基盤構築
導入事例

業種
金属
キーワード
  • スマートデバイス
日立金属株式会社

「企業の継続的な競争力強化のため、スマートデバイスの活用は必要不可欠であり、その具体的な検討を進めるべく開発基盤構築を行いました。スマートデバイスは単なる製造現場での作業性向上にとどまらず、製品の付加価値向上のために活用できると感じています。」

特色ある高級金属製品を製造している日立金属株式会社安来工場(以下、日立金属安来工場)。日本最古の製鉄技術と言われる「たたら」の伝統技術を継承しつつ、最新技術の導入やITを活用した業務改革にも先進的に取り組まれています。

このたび、製造現場でのスマートデバイス(※1)導入に向けた開発基盤を構築し、業務アプリケーションを試作・検証されました。その経緯と今後の展望について、日立金属安来工場 工場長室 システム課長の喜田 憲幸 様にお聞きしました。

※1 スマートフォンやタブレットの総称。Web・文書閲覧、ネットワーク通信、アプリケーションによる処理など様々な用途が可能な高機能端末。

日立金属安来工場について

- 日立金属安来工場の事業内容について教えてください。

日立金属安来工場では「YSSヤスキハガネ」と呼ばれる特殊鋼を製造しています。具体的には、刃物鋼、工具鋼、自動車や航空機のエンジン部材、スマートフォン母材金属やICリードフレーム等のエレクトロニクス材等です。長い歴史の中で蓄積された知見を集約した、高度かつ精密な製鋼プロセス、圧延プロセスによって製造管理を行っており、その高い品質がお客様に支持されています。

- システム部門の役割について教えてください。

日立金属ではカンパニー制をとっており、安来工場は高級金属カンパニーの中で最も大きな工場となります。システム部門は安来工場へ集約しており、安来工場以外の吹田、鹿児島の工場システムも管理しています。また、海外の中国・韓国・タイ・台湾・シンガポールといった拠点のシステムも安来工場の仕組みをモデルとして作成し一元管理・運用を行っています。

システムが導入されていれば、ある程度の個別最適はされていますが、全体で見るとバランスの取れていない事は多いです。企業の中では、視点をより広くより大きくし全体最適化をすることが重要視されています。このためには、統一化、標準化の視点は非常に重要です。

日立金属安来工場

運用部門はどうしても細かい処理が必要であり、全体よりも問題点に注力をしてしまうことが多い。反対にシステム部門は全体バランスや流れに注力をしています。新しい考え方や運用はシステム部門から提案をすることが多く、新しい運用の先導者という役割もあると考えています。

スマートデバイス開発基盤構築の経緯と目的

- スマートデバイスの活用検討をされたきっかけを教えてください。

ここ数年のスマートデバイスの性能向上は目を見張るものがあります。端末が多機能化し、従来からのメリットであった携帯性に加えて汎用性が格段に向上したこともあり、ぜひ業務活用ができないかと模索していました。

端末に付属するデバイス機能も豊富であり活用用途も無限に広がります。

たとえば不具合情報を伝えるにはイメージ情報は絶対的な効果がありますが、これまでは、写真を送ろうと思ってもパソコン経由でなければ情報を取り込めず、汎用的な仕組みづくりを断念していました。スマートデバイスがあれば、発見した時点で写真を撮ることが可能です。常に携帯しているので、やりたい時に直ぐにやれる。これは、動きの無駄、時間の無駄を一挙に解決してくれます。

高機能部品を作っている当社では、製品個別に作業要領が異なることが多いです。作業要領書は印刷物だとファイルに何冊にもなりとても持ち歩く事はできませんが、電子辞書サイズであれば持ち歩く事ができます。確認したい時に直ぐに確認できる事は目には見えませんが大きなメリットです。また、基準改定時もデジタルデータなので、瞬時に入れ替えを行うことができ手間もかからず、今までのような差し替え管理台帳も不要です。

このように、スマートデバイスは、その使い方によって沢山の価値が潜んでいます。これらを、運用とは違う視点で見つけ出すのはシステム部門の役割と考えています。

日立金属安来工場

「ものすごく価値があるがまだ形が見えないもの」それを形にしてユーザーに提供するのがシステム部門の役目だと思っています。(喜田氏)

これらの活用案を実用化していくためには、当社基幹システムと連動する機能が必要となりますが、日進月歩で進歩していくスマートデバイス関連技術は、自社のシステム部門だけで追従していくのは非常に困難でした。一方、ベンダーに丸投げで開発をすることは簡単ですが、「保守~運用~改善」もベンダーに一任させることは将来的には得策ではありません。長期的な運用を考慮し、基本的に保守は工場に継続して勤務する人にお願いするのが、柔軟な対応も可能でありメリットがあると考えています。

- スマートデバイス開発基盤構築プロジェクトへの参画にJFEシステムズを選ばれたのはなぜですか。

JFEシステムズには、2002年に原価管理システム(J-CCOREs)の導入を契機として、その後、リードタイム短縮プロジェクト、成績表システム(品質保証管理)の開発を担当していただき、2011年からは生産管理システム刷新プロジェクトに参画してもらっています。

このような背景を基に、最新技術への知見、会社としての総合技術力、組織力などを評価してスマートデバイス開発基盤構築プロジェクトへの参画をJFEシステムズへ依頼しました。

開発方針

- 開発方針について教えてください。

自社内で柔軟に変更や改善ができるように、既に存在する自社の基盤上に開発基盤を構築しました。特に重要な基幹システムとのデータ連係部分などは、既存の仕組みを活かした開発を行っています。

概念図

基幹システムと連携させるスマートデバイス通信基盤

- 通信基盤を構築される際に留意された点を教えてください。

スマートデバイス通信基盤の構築では、連携プログラムと基幹システムを疎結合させることで汎用性を高めるとともに、データ欠損を防いでいます。

この分野ではOSのバージョン間での互換性が必ずしも保証されていないのが現状です。基幹システムとの連携部分を密結合で開発してしまうと、スマートデバイス上のソフトウェアバージョンアップや機器の更新時にプログラム改修などの影響がシステム全体に及んでしまう危険性があります。それを避けるため連携部分は疎結合し、採用技術は継続性(継承性)を重要視しました。

また、工場区域は広大なため、全域で無線LANを配備するのはセキュリティやコスト面から難しいのが現状です。当社での取り扱い製品は鉄鋼ですから、鉄の影では電波も遮られてしまいます。そこで、基幹システムやファイルサーバとの通信範囲を限定し、製造現場でのデバイス操作はオフライン(非同期)とすることで業務の継続性を担保しました。移動のたびにハングアップしていては作業が進められませんから。

製造現場でのリアルタイム報告を想定した試作アプリケーション

- 今回のプロジェクトで試作したスマートデバイス向けアプリケーションを紹介してください。

刻印撮影アプリケーション

工場内の現品の移動や加工など様々な作業を行う際に、現品刻印をスマートデバイスのカメラで撮影、刻印画像データを品質記録としてファイルサーバ上に即時登録するアプリケーション。

現場作業者の登録作業の軽減と業務効率向上を支援します。

作業要領書持ち出しアプリケーション

膨大な量の作業要領書を,スマートデバイスへダウンロードし、現場で検索・閲覧できるアプリケーション。

ハンディ端末をスマートデバイスへ置き換え

原料部門等で使用しているハンディ端末の専用プログラムを汎用性の高いプログラム(システム)へ置き換えることで保守運用コストの削減を計ります。

また、よく使う機能などを「お気に入り」化するなど入力支援機能を付加することで入力作業の効率化を支援します。

ユーザビリティへのこだわり

アプリケーションのユーザインターフェース設計は非常にこだわりました。シンプルで使いやすいことが一番です。入力工数=コストと考え、極限までタップ数を減らすことを追求しました。選択画面では、スクロールやプルダウンは使用せず、ワンタッチで完了するタイルメニューを採用しました。

さらに、製造現場でも素早く入力ができるように、人間工学視点の設計も盛り込みました。片手で操作するための、加速度センサー(※2)でのメニュー表示制御、並びに、親指の可動範囲内だけで選択できるスライサーメニューを開発しています。

また、工場内で使用している専用端末画面のナビゲーションルールや現場ユーザーの声を反映し、初めてスマートデバイスを手にするユーザーでも使いやすい画面設計を意識しました。

※2 スマートデバイスを持つ人の手の傾きや動きを検知するセンサー

イメージ図

開発期間

- 開発の進捗はいかがでしたか。

2013年11月、スマートデバイス開発基盤構築プロジェクトがスタートしました。事前検証から業務アプリケーション・通信基盤構築までの開発期間は約4カ月です。

当時は生産管理システム刷新プロジェクト対応でJFEシステムズの開発メンバーは工場内に常駐していたので、Face To Faceでコミュニケーションが取れる環境にありましたし、業務アプリケーションの試作フェーズでは、現場ユーザーにも参画して貰いアイデアを具現化していきました。

今後の展望

- 今後のスマートデバイス活用の展望をお聞かせください。

今回の開発基盤構築によってスマートデバイスと基幹システムを連携する環境が整い、「引き出し」が増えました。JFEシステムズに試作していただいた3つの試作アプリケーションは現場からも好評価が貰え、今夏には本格導入する予定です。

その他にも、工場内での現品照合などで活用の場があると思いますが、現状当社ではスマートデバイスに対応する非接触タグ(IC、NFC、RFID)やバーコードの整備が未対応です。今後活用できる環境が整えば、現在、生産管理で使用している現場端末約1000台のうち、3割以上はスマートデバイスに置き換わっていくかもしれません。

当社出荷製品にスマートデバイスに対応するタグやバーコードが整備されれば、入荷先(取引先)においてもスマートデバイスをご利用いただき、入荷情報の2重入力などを最小化することができると考えています。ネットワークがなくても会社間を超えたデータ連携システムを構築することで、製品品質以上の価値が生み出せると考えています。将来的にはグループ各社へも水平展開できればと考えています。

発想次第でさまざまな活用の可能性がありますね。

JFEシステムズへの評価

- JFEシステムズへの評価をお聞かせください。

これまでのプロジェクト対応や日々のコミュニケーションのなかで感じているのは、JFEシステムズは私たちの要望を100%汲み取ってくれる分析力・提案力が素晴らしいということです。

現場のユーザーがやりたい事とシステムでできる事にはどうしても隙間があります。そこを無視して開発を進めればオーバヘッドが発生してコスト増の原因になりかねません。JFEシステムズはその隙間をうまく埋めてくれます。

また、私達の様々なアイデアに対しても、それを実現するためのプロセスを提案できる力があるということは、それだけ持っている技術の裾野が広いということだと思います。

ここまでできるベンダーはなかなかありません。今後ともサポートをお願いします。

- お忙しい中、貴重なお話しをありがとうございました。

JFEシステムズ開発担当者より

今回、JFEシステムズでは、スマートデバイス(Android端末)の最新技術に適用するため、総合力を活かした開発を進めました。窓口である製造流通ソリューション事業部が全体設計・アプリケーション仕様設計・開発を行いつつ、データ連携部設計・開発では開発企画部、UX・スマートデバイス応用技術ではコンテンツ技術部が後方支援を行いました。

喜田様のアイデアを具体化し成果として残すために、何もないところから1を生み出すのか私たちの使命です。1から10へは自由に成長進化していただけるよう、お客様自身での継続性を重視した開発を行っています。今後も様々な側面から日立金属安来工場の最適化に貢献いたします。

※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。

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