DSP五協フード&ケミカル株式会社DSP五協フード&ケミカル株式会社 様

取材日:2012年07月

Mercrius(メルクリウス)
導入事例

業種
食品
キーワード
  • 食品業向け 統合データマネージメント
DSP五協フード&ケミカル株式会社

Mercriusを使って製品の出荷前検査の情報を管理する試験情報管理システムを構築しました。年間4800件の検査情報を管理しています。

食品素材、化粧品原料、医薬品原料、電子薬剤、コーディング材料の商品情報をMercriusでシステム化して管理している企業、DSP五協フード&ケミカル 生産管理部 鶴薗和之氏(写真左)、 渡壁卓司氏(写真中央)、 松岡賢一氏(写真右)に、Mercriusを使って試験情報管理システムを構築した経緯と評価について詳しく聞きました。

DSP五協フード&ケミカルについて

DSP五協フード&ケミカル株式会社(以下DSP五協)は、2010年7月1日に、大日本住友製薬株式会社フード&スペシャリティ・プロダクツ部と五協産業株式会社が事業統合しスタートした、大日本住友製薬株式会社の子会社(持株比率100%)です。
事業分野は、食品素材、化粧品原料、医薬品原料、電子薬剤、コーティング材料など。社員数は174人(2012年4月1日現在)、年商は266億円(2011年度)です。

Mercriusを使って試験情報管理システムを構築

- DSP五協では、Mercriusをどのように活用していますか。

DSP五協では、2009年に、Mercriusをベースに「品質情報管理システム(社内名称QuIC クイック)」を構築し、2012年にはMercriusを活用して「試験情報管理システム(社内名称D-LINE ディライン)」を追加構築しました。
今回は後者の試験情報管理システムの事例についてお話しいたします。

試験情報管理システムを構築するまでの経緯

- DSP五協が試験情報管理システムを新たに構築することになった経緯を教えてください。

従来の試験情報管理システムは、親会社である大日本住友製薬株式会社の製薬会社向け業務システムの一部を借用し、管理していました。
しかし、このシステムはもともと医薬品の出荷試験用に開発されたシステムだったので、食品素材などの試験情報管理には100%フィットするものではありませんでした。
その後、2010年に、大日本住友製薬株式会社が試験情報システムを刷新することになった際、DSP五協としては、これを契機に、食品・化学品分野でモノに品質情報を「プラス」し、価値をさらに高めた商品を提供するために、業務に100%フィットするシステムを自力構築することに決めました。

まず、システム選定において、複数社の候補企業の手作りあるいはパッケージ製品をベースとした構築の提案内容を比較検討しました。
その結果、JFEシステムズのMercriusを活用した提案が、業務へのフィット性や費用対効果も高く、またプライベートクラウドの採用によるグループ会社間のセキュリティとレスポンス確保という相反する条件をクリアするなど提案内容が優れていたため、これを採用するに至りました。
その後は、共同で、2011年4月からシステムの設計に着手、同年9月に暫定稼動、12月に本稼動させました。

「100%フィットするシステムを自力構築することに決めました。」松岡賢一氏

「100%フィットするシステムを自力構築することに決めました。」
松岡賢一氏

- 今回構築した試験情報管理システムの概要を教えてください。

試験情報管理システムとは、自社商品の出荷前検査を管理するためのシステムです。
DSP五協での商品の出荷前検査は、「品質試験」と「外装試験」の二つで構成されています。
品質試験では、製造した商品の品質が「食品衛生法などの法規」、「DSP五協の自社基準」、「お客様ごとの自主基準」に適合しているかどうかを検査します。
一方、外装試験では、商品の包装に破れや凹みなど、異常がないかを検査します。これら両方の試験に合格したロットに対して、試験情報管理システムからお客様から依頼があった書式で、試験成績書が発行されます。この試験成績書は、自動FAXでお客様に届けられ、それと同時に商品も出荷されます。
従来は1回の試験でも検査サンプルの授受や試験依頼などに手間がかかり、試験結果受領までに一週間以上の時間を必要としていました。
出荷前検査の実施回数は、年間では約4800回にのぼります。
この大量の出荷前試験を確実かつ効率よく管理することを目的に、試験情報管理システムを構築しました。

システムの主な機能は、「試験項目の設定」、「品質試験の試験結果の登録」、「外装試験の結果の登録」、「総合合否判定」、「試験結果帳票出力」、「お客様への通知」の5機能となります。各機能の概要は次のとおりです。

「試験項目の設定」

試験項目は、製品ごとにその組み合わせが異なります。
試験情報管理システムでは、検査規格に変更があった場合、検査責任者は、試験項目をすぐに反映させることができます。

試験項目登録画面の一例

試験項目登録画面の一例

システム図

システム図

※1 IaaS(Infrastructure as a Service)
情報システムの稼動に必要な機材や回線などの基盤(インフラ)を、インターネット上のサービスとして遠隔から利用できるようにしたもの。また、そのようなサービス。
※2 DaaS(Desktop as a Service)
端末のデスクトップ環境をネットワーク越しに提供するサービス。クラウドコンピューティングの形態の一つ。

「品質試験結果の登録」

品質試験は、主に大日本住友製薬株式会社の子会社である試験検査業務サービスを行うニチエイ産業株式会社が実施しています。
試験結果は、ニチエイ産業株式会社の検査担当者、責任者が、直接試験情報管理システムの品質試験結果登録画面から登録します。
DSP五協は大日本住友製薬とは別のネットワーク環境を構築しており、大日本住友製薬のネットワーク環境を利用しているニチエイ産業とは同一ネットワークでシステムを利用する事ができません。
そこで、ニチエイ産業とは専用線を開設することなく、インターネットを利用して接続を要望していたところ、JFEシステムズからプライベートクラウドを利用した形態での提案があり、セキュリティ評価やレスポンス評価などを実施した結果、充分に運用に耐えられることが実証できた為、採用に踏み切りました。
試験検査業務サービス委託先が試験情報管理システムに結果を直接登録できるため、2重登録や転記ミスを防止する為の手間なども回避でき、さらに進捗管理も行えるので、品質・効率ともに高いレベルで実現できたと思っています。

「外装品質試験結果の登録」

外装試験は、DSP五協の南港物流センターで実施しています。
品質試験と同様に外装試験結果は、物流センターの担当者・責任者が直接、試験情報管理システムの外装試験登録画面から登録します。物流センターもインターネット経由での接続となっています。

「合否判定」

出荷前検査の合否は、品質試験と外装試験を合わせ総合的に判定します。
品質合否は、検査結果の数値と、商品ごとに設定している品質許容範囲の値とを比較して判定します。
外装試験では、試験情報管理システムの検査結果とともに外装写真の画像ファイルを添付することで物流センターへ行かなくとも判定が可能となりました。
このように、いずれの場合も試験情報管理システムに登録されている情報にて判定するので、合否は、正確かつ短時間に判定できます。

「試験成績書の結果出力、お客様への通知」

試験結果は、お客様への通知の要・不要の判断も含めて試験情報管理システムに証跡を残すとともに、速やかに試験成績書として帳票出力し、お客様にFAXで自動通知します。

また、お客様固有の試験成績書のマイナーチェンジに関しても、Mercriusのデザイナー機能により、自社でお客様固有の試験成績書をテンプレート化して試験情報管理システムの出力帳票として登録しているので速やかに提供できています。

試験情報管理システム開発のポイント

- 試験情報管理システムを構想、設計した際のポイントを教えてください。

試験情報管理システムを構想・設計した際のポイントは次のとおりです。

ポイント1.
品質試験だけでなく、外装試験もシステムで管理する

従来のシステムでは、品質試験による製品の品質の試験しかできませんでした。
外装試験の情報は、倉庫と紙の書類を授受することにより管理していました。
今回、構築した新システムでは、「人手による運用」を排除し、同じシステムの中で製品試験と外装試験の両方を統合的に管理することを目指しました。

ポイント2.
お客様への試験成績書を作成する業務のシステム化

従来は、お客様への試験成績書を作成する際に人手による「転記」が発生していました。
「転記」という業務には「人的コスト」「転記ミスの可能性」が伴います。転記ミスを防ぐために専門職に依存することもありました。
新システムでは、転記をなくし、特定の人に依存することなく使えることを目指しました。

ポイント3.
販売管理システムとの連携

従来のシステムでは、「試験結果データを販売管理システムに登録して、試験結果の成績表としてお客様に自動送信される」という運用でした。
登録すれば、自動的に送信されますが、年間4800回も試験を繰り返すとなると、その登録の手間は意外に多いものでした。
今回の新システムでは、登録不要で、自動的に試験結果の成績表をお客様へ送信できるようにすることを目指しました。

以上のコンセプトで設計・構築を行い、2011年9月に稼働開始。
以来、システムはトラブルなく安定して稼働しています。期待通りのシステムを作り上げることができました。

Mercriusの柔軟性への評価

- 今回の試験情報管理システムD-LINEの構築を振り返ってのご感想などあればお聞かせください。

JFEシステムズから「Mercriusを使って、試験情報管理システムを構築しましょう」と提案があったとき、Mercriusのことは、「商品情報データベース」だと思っていたので「本当にできるのかな?」という印象がありました。
しかし、よくよく説明を聞いてみると、商品情報データベースも、試験情報管理システムも、「情報を進捗管理しながら収集し、その情報を検索やExcel出力して活用する」という業務管理システムという意味では同じものであり、Mercriusを活用して構築することがDSP五協にとってベストの選択であるとの考えに至りました。
そして実際に設計・開発に着手しても、システム構築はスムーズに進み、高機能のシステムが短期間で完成しました。
JFEシステムズの提案どおりになったわけです。
Mercriusは、商品情報管理システムだけでなく試験情報管理システムとしても利用できる柔軟性の高いソフトウエアなので、さまざまな用途に転用が可能であると感じています。

「DSP五協にとってベストの選択であるとの考えに至りました。」渡壁卓司氏

「DSP五協にとってベストの選択であるとの考えに至りました。」
渡壁卓司氏

「自分たちの業務手順の棚卸し」が最も重要

- 現在、「Mercriusを使って、商品情報管理ではない別の用途のシステムを構築しようと考えている企業」に向けて、アドバイスなどあればお聞かせください。

アドバイスは大げさですので、一つの参考意見として。
今回、Mercriusは商品情報データベースとしてだけでなく、試験情報管理システムとしても十分に機能することがわかりました。
その中でも、特に自主規格が中心の会社には適用率が高いのではと感じています。
但し、Mercriusを使って、システム構築するときには、はじめに「自分たちの業務手順の棚卸し」をきちんと行うことが肝要です。
自社の業務フロー(ワークフロー)をパターン化して業務毎の手順を整理分析することで新システムの全体像を描き、新運営方式と新業務プロセスの設計を行うことで、プロトタイプを短期に作成していくことができると考えています。

今後の期待

- JFEシステムズへの今後の期待をお聞かせください。

今回、Mercriusにより、良い試験情報管理システムを構築できました。
DSP五協は、今後とも、品質管理体制を強化し、お客様に信頼される企業であり続けたいと考えています。
JFEシステムズには、優れた製品とサポートの継続提供を通じて、DSP五協の品質管理の取り組みをご支援いただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。

「DSP五協の品質管理の取り組みをご支援いただくことを希望します。」鶴薗和之氏

「DSP五協の品質管理の取り組みをご支援いただくことを希望します。」
鶴薗和之氏

- お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※ 実績紹介に記載された情報は取材時点のものであり、お客様の社名などが閲覧される時点で変更されている可能性がございますがご了承ください。

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