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J-Smileについて

鉄鋼向基幹システム「J-Smile(新統合システム)」~「システム統合の成功事例」~

巨大製鉄会社の統合時の課題

2003年4月、変化の激しい経済環境の中で生き残りをかけて、日本鋼管と川崎製鉄が統合し、JFEスチールが誕生しました。

その際の最重要課題は、経営課題を迅速に解決し、統合のシナジー効果を早期に出すことでした。そのためにはシステム統合が不可欠であり、経営を数値でビジュアル化し、速やかに意思決定できるマネジメント環境を整えることが急務とされました。

「片寄せ型」ではなくシステムの全面再構築に挑戦

経営統合においては、いずれか一社のシステムに合わせる「片寄せ型」のシステム統合が一般的に行われていますが、JFEスチールでは、堅実な「片寄せ型」を採用せず、以下の基本コンセプトのもと、リスクを覚悟のうえでシステムの全面再構築に挑戦しました。

(1) ビジネスプロセスとマネジメントの統合と変革の実現

経営統合を機会に、ビジネスプロセス・管理指標・データの統合再設計を図ることは勿論重要ですが、それだけでは、経営課題の迅速な解決や統合効果の早期達成は実現できません。 統合効果を最大限に発揮するため、統合前の2社のシステムでは限界のあった部門間の情報共有・見える化、顧客満足度の向上、経営マネジメントの迅速化・レベルアップなどビジネスの変革を統合と同時に実現する「統合変革型」のシステム構築が必要との判断から、全面再構築に踏み切りました。



(2) 変化に柔軟かつ迅速に対応できるシステムの実現

経営の根幹を担う企業の情報システムは、ITの進歩やビジネスの変化に対応して、ビジネスの実態と情報システムを合致させるために改変が繰り返されてきました。
しかし、多くの情報システムは改変を前提に作られていなかったため、アドオン開発を重ねる毎に複雑化・ブラックボックス化が進展する、あるいは、レガシーシステムの構造制約によってITの進歩やビジネスの変化に迅速な対応ができないといった問題を抱えていました。
統合前の2社も同様の問題を抱えており、ITやビジネスの変化に柔軟かつ迅速に対応する観点からも、「片寄せ型」ではない全面再構築が必要との判断に至りました。

こうして完成した新統合システムが、J-Smile ®(JFE Strategic Modernization & Innovation Leading System)です。

ビジネスプロセスの変革を追求

J-Smileでは、顧客満足度の向上、社内業務改革、生産物流効率化などの観点からビジネスモデルを見直し、新会社としての新たな仕組みを追求しました。

(1) 営業システムモデルの再構成とサプライチェーンの連携強化

多様な販売形態に迅速に対応すべく、旧来の注文事務処理システムを、ビジネス実態に合わせた「商談・製品仕様・注文」のシステムに拡張して営業のビジネスプロセスをサポートするとともに、顧客の生産情報とJFEスチールの生産・流通情報の連携によって需給変動への迅速なアクションを可能にするSCMの仕組みを新たに構築しました。

(2) 全社設備の弾力的な最適運用とリードタイムの短縮

製鉄所では、多種多様な鉄をご使用になるお客さまのご要望にお応えして、高炉で鉄鉱石から銑鉄を造り、転炉でお客様の用途に応じた品質を成分で保証する鋼を造り、圧延ラインで様々な形状・寸法・品質に造り分けていますが、個々の工程の生産能力や特性はそれぞれ異なるため、受注データベースやシミュレーションを用いたきめ細かな生産管理のコントロールを行っています。J-Smileでは、それまで週次ベースだった各工程の稼動計画を日次化してビジネスサイクルを短縮したことに加え、お客さま毎にそれぞれの製鉄所で異なっていた製品仕様を全社で統一することにより、製鉄所間の設備の弾力的な最適運用を図り、リードタイム短縮と生産計画精度の向上を実現しました。

(3) 経営マネジメントの迅速化・レベルアップ

J-Smileでは、顧客、販売生産流通、購買、収益・コスト等の情報を統合し、コーポレートデータベース化して全社レベルでの可視化・共有化を図りました。その結果、管理指標が定量データとして経営に迅速にフィードバックされ、経営マネジメントのレベルアップや顧客満足度の向上に大きく寄与しました。

変化に柔軟かつ迅速に対応できるシステムの実現

J-Smileの開発に当たっては、変化に柔軟かつ迅速に対応できるシステムを実現するため、データモデリングと部品組立型開発の採用をはじめとした最新のITを活用しました。

J-Smileでは、ビジネスは変化してもデータはあまり変化しないことに着目し、ビジネスの根幹をなすデータ間の関連をモデル化し、変化に強いデータ構造を追求しました。更にデータベースアクセスを全て部品化した上で、アプリケーションとデータベースを分離し、共通機能の部品化と修正を局所化できるアーキテクチャーとしている点が特徴です。さらに稼動後の局面でもアーキテクチャーを厳格に守ることにより、システム品質を高いレベルで維持できるようにしています。

これ以外にも、リアル処理化と利便性の向上を図るための全面Web型の採用、ハードウェア制約からの脱却を図るためのオープン系技術のフル活用、バッチ処理も含めた全面的なJava言語の使用、分割したサブシステムの並行開発により開発生産性を高めるインクリメンタル開発など多くの新技術に挑戦した結果、J-Smileは高度で完成度の高いシステムとなりました。

ユーザーとSIer(JFEスチールとJFEシステムズ)が一体となって、統合と変革が同時に実行できる「ビジネスプロセスと一致するシステム」、「迅速な経営判断ができるシステム」、「経営環境の変化に迅速に柔軟に対応できるシステム」、「成長し続けられるシステム」を作ってきたことは、鉄鋼版ERPをスクラッチで独自構築するに等しいことでした。


メガバンクの勘定系に匹敵する規模のシステム

JFEシステムズは、JFEスチールのこの大規模開発プロジェクトに、企画構想立案フェーズから参画し、JFEスチールと一体となって新システム(J-Smile)の構築を完遂してきました。

開発現場ではリーダーの強い指導力・決断力のもと、メンバー全員が「システムをつくることが目的でなく、システムを活かして成果を出すことが目的」という意識を共有して開発に取組みました。ユーザー(JFEスチール)と一体になった業務モデルの変革にまで踏み込んだ取り組みによって、比較的短納期で画期的な仕組みが構築できたと考えています。

2006年、データ量10TB、項目数9万件と、メガバンクの勘定系システムに匹敵する2,000万ステップの基幹系システムが完成しました。

その結果、J-Smileは日本のITをリードする統合システムの成功事例として高く評価され、経済産業省、日経BP社、世界情報サービス産業機構(WITSA)から表彰を受けました。

WITSA表彰式にて


JFEスチールの新統合システム(J-Smile)の構築とその後の変革への取組みに関しては、2011年12月に日経BP社から「ITによる業務変革の「正攻法」JFEスチールの挑戦」日経コンピュータ編:安保秀雄著として刊行され、システム開発に携わりITによる変革を志す方々の貴重な参考書となっております。

JFEグループ唯一の情報システム子会社として

J-Smileは、2006年に稼動した後も、JFEスチールの基幹システムとして、経営環境が劇的に変化する中でも安定して成長を続けており、多くの変革に寄与してきました。

JFEシステムズは、J-Smileを活かす変革のサポートを継続するなかで、2008年から2011年にかけては、J-SmileのJavaバージョンアップという既に動いているシステムの現行機能を保証しながら立ち上げる困難なプロジェクトもスムーズに完遂しました。J-Smileは、現在では累計3,000万ステップ規模のシステムに成長し、JFEスチールの変革の継続を支える基幹システムとして、安定稼動しつつ成長し続けております。

J-Smileの開発はJFEスチールの情報システム子会社であるエクサとJFEシステムズが共同であたりましたが、2011年度にJFEシステムズとエクサの鉄鋼部門が統合され、2社に分散していたJ-Smileの開発経験・ノウハウは、JFEシステムズに一元化されました。

JFEシステムズは、JFEグループ唯一の情報システム子会社として、JFEスチールとグループ企業の業務変革をIT面でサポートしています。

※「J-Smile ®」はJFEスチール株式会社の登録商標です。